間借りでシーシャバーは名義貸し?適法に開業する2つの方法を行政書士が解説

この記事は、行政書士久遠事務所の代表が執筆しています。当事務所代表は、シーシャバーでの現場経験を持つ行政書士です。風俗営業許可・たばこ販売許可・古物商許可・飲食店営業許可を中心に、シーシャ・水たばこ業態の開業支援を専門としています。


「知り合いのシーシャバーを、営業時間の一部だけ間借りして自分もシーシャを提供したい」——開業資金を抑えたい方から、こうしたご相談をよくいただきます。物件取得や内装工事のコストがかからず、既存店の設備をそのまま使えるため、一見すると手軽で合理的な始め方に見えます。


しかし、やり方を一つ間違えると「たばこ小売販売業許可の名義貸し」に該当し、あなただけでなく、場所を貸した店舗(許可を持っている側)まで処分の対象になり得ます。


この記事では、間借りでシーシャバーを始めたい方に向けて、名義貸しにならずに適法に営業する2つの方法と、その過程でつまずきやすいNGパターンを、行政書士が一次情報をもとに整理します。


またシーシャ開業の全体像については以下の記事で解説しています。
シーシャバー開業に必要な許可まとめ【飲食店営業許可、たばこ販売許可、風営法まで解説】|愛知県名古屋市


そもそも、なぜ「間借りシーシャ」は名義貸しになりやすいのか


結論から言えば、間借りが危ういのは「たばこの販売許可は営業所ごと・営業主体ごとに必要」という原則があるからです。


シーシャで使うフレーバー(シーシャ用たばこ)は、たばこ事業法上の「製造たばこ」に当たります。お客さんにシーシャを提供して代金をもらう行為は、法律上「製造たばこの小売販売」です。そのため、シーシャバーを営むには、その営業所について製造たばこ小売販売業の許可(たばこ事業法第22条)が必要になります。


ここで重要なのが「営業所ごと」という考え方です。財務省の製造たばこ小売販売業許可等取扱要領では、営業所を「製造たばこの小売販売を反復継続して行う施設又は設備」と定義しています。つまり許可は、あくまで「その許可を受けた人が、その営業所で販売する」ことを前提に与えられているのです。


したがって、許可を持つ店舗の名義のまま、実質的には別の人(あなた)が自分の商売としてシーシャを販売すれば、「許可を受けていない人が販売している」状態になります。これがまさに名義貸しの構図です。


【実務上のポイント】
実際の店舗運営では、「タバコ(フレーバー)を誰が仕入れて、その日の売上が誰の懐に入るのか」で実態は一目瞭然です。名目上どんな契約になっていても、フレーバーを自分で持ち込み、自分のお客さんから代金を受け取り、その売上が自分のものになっているなら、それは「自分の営業」です。ここが名義貸し判定の一番のポイントになります。


名義貸しかどうかは「3つの主体」で判断する


間借りが名義貸しに当たるかを見極めるとき、契約書のタイトルや「間借り」という呼び方は関係ありません。実態として、次の3つが誰に帰属しているかで判断されます。


営業主体は誰か

その時間帯、お客さんに対して「営業している」のは店舗なのか、あなたなのか。看板・接客・メニュー決定を実質的に誰が握っているか。


売上は誰に帰属するか

その時間の売上が、いったん誰のものになるか。あなたが受け取り、そこから店に何%か払う形なら、売上帰属はあなた側です。


仕入れ主体は誰か

提供するフレーバーを誰が仕入れ、在庫リスクを誰が負っているか。あなたが自分でフレーバーを用意しているなら、仕入れ主体はあなたです。


この3つがすべて店舗側にあるなら、それは「店の営業」であり、店の許可でカバーされます。逆に、この3つがあなた側に寄っているのに、たばこ販売許可は店の名義のまま——という状態が、典型的な名義貸しです。


適法にやる方法① 店の営業として入る(業務委託・雇用型)


一つ目のルートは、あなたが独立した営業主体にならず、完全に店舗の営業として中に入る形です。


この形では、シーシャの提供はあくまで店舗の営業として行われ、売上も全額いったん店舗に帰属します。フレーバーの仕入れ・在庫管理・価格決定も店舗が行い、あなたはその店舗から業務委託料や日当・給与を受け取る立場になります。あなたの報酬が「売上の何%」という設計であっても、売上の帰属先が明確に店舗であれば、あなたは受託者・従業員という位置づけになります。


この形なら、たばこの販売はすべて許可を持つ店舗が行っていることになるため、あなた自身が別途たばこ販売許可を取る必要はありません。


ポイントは売り上げの帰属(売上がいったん誰のものになるか)を明確にすることです。あなたが直接お客さんから代金を受け取り、自分の取り分を確保してから残りを店に渡す運用にしてしまうと、実態は「あなたの営業」に近づき、業務委託の建前が崩れて名義貸しリスクが出てきます。レジ・売上管理を店舗側に一元化しておくことが、この形を守る生命線です。



シーシャバーを共同で経営する際の注意点については以下の記事で詳しく説明しています。
シーシャバーの共同経営は名義貸しになる?たばこ許可・飲食店許可の名義設計と注意点


適法にやる方法② 自分名義でたばこ販売許可を取得する(独立営業主体型)


「やはり自分の店として、自分の売上でやりたい」という場合は、あなた自身がその場所について、自分名義のたばこ販売許可を取得するのが本筋です。


ただし、同じ店舗内で複数の事業者がそれぞれたばこ販売許可を取れるかは、単純ではありません。たばこ販売許可には、営業所の位置に関する距離基準(近くの既存販売店との距離)や、取扱予定高が一定の標準に達するかといった審査基準があり、同一建物・同一区画で複数許可が下りるかはケースバイケースです。


また、恒常的にその場所で販売するのではなく、一時的・臨時的に別の場所で販売する形であれば、出張販売の許可(たばこ事業法第26条)という枠組みも検討対象になります。どの枠組みが使えるかは、営業の頻度・態様によって変わります。


いずれにせよ、この設計は事前に管轄の財務局へ相談することが必須です。予定営業所の所在地を管轄する財務(支)局が相談窓口になっているため、「この場所で、この形で、自分名義の許可が取れるか」を申請前に確認しておく必要があります。


【実務上のポイント】いろいろなハードルが存在
すでにたばこ販売を取得済みの物件で再度、新しい名義で取得するのは現実的ではありません。たばこ小売販売許可だけではなく距離制限がないたばこ出張販売許可でも同様です。物件オーナーとの協議、既存店舗との協議など様々なハードルがあります。


【要注意】これが典型的な名義貸しパターン


ご相談で一番多く、そして一番危ういのが、次のような形です。


「たばこ販売許可は取らない。営業時間の一部を借りて、その時間のシーシャの売上は自分がもらう。フレーバーや機材は店から借りて(お金を払って)使う。売上の何%かを店に渡す」


この形は、先ほどの「3つの主体」で見ると、営業主体・売上帰属・仕入れ主体のいずれもあなた側に寄っています。それなのに、たばこ販売許可は店の名義のまま。これはまさに「許可を持つ店の名義を借りて、実質はあなたが自分の商売をしている」状態です。


このとき店に払う「何%か」は、実態としては名義使用料(名義を借りる対価)と評価されやすく、名義貸しの認定を後押しする要素になってしまいます。「短時間だから」「週1回だけだから」といった時間の長短は関係ありません。その時間、誰の営業として販売が行われているかで判断されます。


「無料イベント」ならセーフ? 対価性の落とし穴


「お金をもらわず、知人に振る舞うだけの無料イベントなら問題ないのでは」という発想もよくあります。ここも慎重な見極めが必要です。


純粋に私的な集まりで、対価が名目・実質ともに一切なく、店舗の営業とも切り離されている——という範囲であれば、それは「販売」ではないため、たばこ販売許可の問題は基本的に生じません。


一方で、次のような場合は「無料」の看板があっても対価性ありと見られ、グレーからアウトに傾きます。


実質的な対価が別の名目で発生している

入場料・チャージ・会費・ドリンク代などを取り、その中にシーシャ提供が組み込まれている場合。名目が無料でも、全体として対価を得ていると評価され得ます。


店舗の集客・宣伝手段になっている

店舗の営業時間内で、集客や販促として行っている場合。実態は店の営業の一部と見られやすくなります。「今回は無料、次回から有料」という呼び水も同様です。


加えて、店舗が仕入れたフレーバーを使って不特定の人へ提供するイベントを繰り返せば、店の営業行為の延長と見られる余地も出てきます。安全に「問題なし」と言えるのは、お金の流れが完全にゼロで、私的な範囲にとどまり、店の営業と明確に切り離されている場合に限られる、と考えておくのが無難です。


まとめ:間借りシーシャは「契約設計」と「許可判断」で決まる


間借りでシーシャバーを始めること自体は、違法でも不可能でもありません。問題は、その営業形態を「店の営業として入る」か「自分名義で許可を取る」か、どちらかに明確に寄せられているかです。

一番危ないのは、「売上は自分・許可は店の名義・料率だけ店に払う」という中間の設計です。手軽に見えて、名義貸しとして許可者もろとも処分対象になりかねません。


どちらのルートを選ぶにしても、業務委託契約や間借り契約で「営業主体・売上帰属・仕入れ主体」をどう定めるか、そして自分名義で許可を取る場合は距離基準や区画をどうクリアするかが、成否を分けます。ここは自己判断で進めず、専門家と財務局への事前確認を挟むことを強くおすすめします。

間借りシーシャの営業形態・契約設計についてのご相談は行政書士久遠事務所へ

「この間借りの形は名義貸しにならないか」「業務委託契約をどう作ればいいか」「自分名義でたばこ販売許可が取れるか」——シーシャバーの現場経験と許可実務の両面から、あなたのケースに合わせて整理します。まずはお気軽にご相談ください。


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