シーシャバーが出店できないエリア|用途地域の調べ方【愛知県・名古屋市】

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。


シーシャバーには、営業できない地域があります。物件を契約した後で営業できないと分かっても、敷金・礼金・仲介手数料は原則として戻りません。内装工事に着手していれば、その費用も失われます。
ポイントは、愛知県のルールが「営業できる地域」ではなく「営業できない地域」を列挙する形になっていることです。ここを逆に覚えていると、営業できる物件を自分で除外してしまいます。


この記事では、用途地域の調べ方と、契約前に確認すべきポイントを愛知県・名古屋市を例に解説します。物件の内見に行く前に読んでおいてください。



結論:深夜に酒類を出すなら「第一種地域」は不可    ANSWER


第一種地域では営業できません

第一種地域とは、都市計画法で定める次の7つの用途地域です。
第一種低層住居専用地域/第二種低層住居専用地域/第一種中高層住居専用地域/第二種中高層住居専用地域/第一種住居地域/第二種住居地域/田園住居地域


出典:愛知県警察「深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出手続」(2026年9月時点)


これは「営業できる地域」ではなく「営業できない地域」のリストです


「商業地域と近隣商業地域だけが営業可能」という説明を見かけますが、正確ではありません。第一種地域に含まれていない地域、たとえば準住居地域や、用途地域の指定がない区域は、この規制の対象外です。


用途地域 深夜0時以降の酒類提供
第一種低層住居専用地域 できない
第二種低層住居専用地域 できない
第一種中高層住居専用地域 できない
第二種中高層住居専用地域 できない
第一種住居地域 できない
第二種住居地域 できない
田園住居地域 できない
準住居地域 第一種地域に含まれない
近隣商業地域 第一種地域に含まれない
商業地域 第一種地域に含まれない
準工業地域 第一種地域に含まれない
工業地域 第一種地域に含まれない
工業専用地域 第一種地域に含まれないが、建築基準法上、飲食店を建てられません


実際には、シーシャバーのほとんどが商業地域または近隣商業地域に立地しています。ただ「準住居地域だから諦める」必要はありません。個別に確認する価値があります。


午前0時前に閉店する場合    EARLY CLOSE

深夜0時以降の営業をしないなら、風営法上の規制はかかりません。法律上は一般的な飲食店と同じ扱いになります。


ただし、建築基準法による制限は別に残ります。住宅系の用途地域では、そもそも飲食店を建てられる規模に制限があるためです。


住居系地域における飲食店の規模制限

▶第一種低層住居専用地域/店舗兼住宅で、店舗部分の床面積が50㎡以下かつ延べ面積の2分の1未満のもの
▶第二種低層住居専用地域/店舗兼住宅で店舗部分が50㎡以下かつ延べ面積の2分の1未満のもの。喫茶店なら店舗床面積15㎡以下で2階以下
▶第一種中高層住居専用地域/500㎡以下で2階以下
▶第二種中高層住居専用地域/1,500㎡以下で2階以下
▶田園住居地域/その地域で生産された農産物を使用する場合は2階以下・500㎡まで。使用しない場合は2階以下・150㎡まで
▶第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域/上記のような規模制限はかかりません


住宅街でシーシャカフェを開きたい場合は、保健所だけでなく、市町村の建築指導課・都市計画課にも確認してください。


名古屋市での調べ方    HOW TO

名古屋市内で物件を検討している方に必ず使っていただきたいのが、名古屋市都市計画情報提供サービスです。名古屋市が公式に提供している地図システムで、住所を入力すればその土地の用途地域が表示されます。



(マップの色と、サイドバーの凡例が対応しています。)


シーシャバーが集まる地域の位置関係が分かるように印を付けました。水色で囲んだ範囲が名古屋駅周辺、黄色が大須周辺、緑が丸の内・栄・錦にあたります。(丸の内の上にあるオレンジの区画には名古屋城があります。)


いずれのエリアも主に商業地域で、深夜に酒類を提供する営業ができる地域です。


マップを右側の千種・覚王山方面へ動かすと、住居系の地域が一気に増えます。このエリアでは、深夜に酒類を提供するシーシャバーは営業できません。このエリアで開業したいなら、午前0時前に閉店する業態に切り替えるなど、ビジネスモデル側を合わせる必要があります。


大須・名駅エリアの「裏道の罠」

マップをよく見ると、名駅の西側などで、商業地域の赤色に混じって黄色やオレンジの区画が網の目のように入り組んでいるのが分かります。


ここが最大の落とし穴です。「家賃が安くて広い、裏路地の隠れ家物件」を見つけて契約したものの、大通りから1本入っただけで用途地域が切り替わっていて、深夜営業ができなかったということが、この境界線上で起こります。


以下は名古屋市中村区太閤通あたりの拡大図です。



【実務上のポイント】
「栄エリアだから大丈夫」「大須だから商業地域のはず」という思い込みは危険です。
物件の住所を入力し、最大までズームして、敷地がどの色の上に乗っているかを自分の目で確認してください。この作業だけで、数百万円規模の損失を避けられることがあります。
名古屋市以外の市町村にも同様のサービスがあります。ない場合は市町村の都市計画課へ問い合わせれば確認できます。


用途地域以外に確認すべき4つ    CHECK

用途地域はあくまで入口です。シーシャバーの物件では、あと4つ確認してください。


①ダクトを外部に出せるか

シーシャバーは煙の量が多く、換気設備の能力が営業の質に直結します。ダクトを建物の外に出せない物件では、そもそも成立しません。詳しくはシーシャバーの換気設備と法律の記事をご覧ください。


②建物オーナーの承諾

法令上の要件を満たしていても、近隣との関係で営業が難しくなることはあります。煙と臭いの問題は、上階や隣接テナントとの間で起きやすいものです。


物件を決める前に、管理会社やオーナーに「シーシャバーとして使用すること」を明確に伝え、書面で承諾を得ておいてください。確認すべき契約条項は賃貸契約書チェックリストの記事にまとめています。


③たばこの販売許可が取れる立地か

見落とされがちですが、店内で喫煙させるには健康増進法上の喫煙目的施設に当たる必要があり、その要件のひとつがたばこの対面販売です。


自店でたばこ小売販売業許可を取ろうとする場合、既存のたばこ販売店との距離基準が問題になります。用途地域とは別の観点で、立地が影響します。詳しくは小売販売と出張販売のどちらを選ぶべきかの記事をご覧ください。


④想定するレイアウトが入る広さか

深夜に酒類を提供する場合、客室を仕切って分けると、それぞれが9.5㎡以上でなければなりません。個室や半個室を複数設けたいなら、物件の広さから逆算して何室作れるかを先に確認する必要があります。


「気に入った物件だが、思っていた席数が入らなかった」というのは内見の段階で防げます。面積基準の詳細はシーシャバーに個室は作れるかを解説した記事をご覧ください。


不動産業者の「飲食店OK」だけでは足りません    AGENT

不動産業者は物件を扱うプロですが、風営法や健康増進法の専門家ではありません。


重要事項説明書に用途地域の記載はありますが、それが営業にどう影響するかまで説明されるとは限りません。「前も飲食店だったから大丈夫ですよ」という言葉を鵜呑みにして契約し、深夜営業を断念することになる。これは実際に起こり得ることです。


▶物件を仮押さえした段階で、住所と図面を専門家に確認させる
▶契約書に署名する前であれば、まだ選択肢が残っている
▶当事務所ではシーシャバーの事情を理解している不動産業者のご紹介もできます(紹介手数料はいただきません)


よくある質問    FAQ


Q. 前のテナントが深夜営業のバーでした。同じことができますか

用途地域という点では、同じ場所であれば同じ結論になります。ただし深夜酒類提供飲食店営業の届出は、営業者ごとに行うものです。前のテナントの届出を引き継げるわけではありません。構造設備の条件も、レイアウトを変えれば改めて確認が必要です。居抜きで引き継ぐ場合の手続きは居抜き物件の記事をご覧ください。


Q. 用途地域は変更できませんか

用途地域は市町村が都市計画として定めるもので、個別の店舗の都合で変更できるものではありません。物件側を変えるか、営業スタイル側を変えるかの二択になります。


Q. 名古屋市以外でも調べられますか

多くの市町村が同様の都市計画情報の地図サービスを公開しています。見つからない場合は市町村の都市計画課へ問い合わせれば確認できます。愛知県内でも市町村によって窓口が異なるので、物件の所在地からご確認ください。


まとめ    SUMMARY

▶深夜0時以降に酒類を提供するなら、第一種地域(7つの用途地域)では営業できない
▶準住居地域や用途地域無指定区域は第一種地域に含まれない
▶午前0時前に閉店するなら風営法の制限はかからないが、建築基準法上の規模制限は残る
▶名古屋市都市計画情報提供サービスで、最大ズームして敷地の位置を確認する
▶道路1本で用途地域が切り替わることがある
▶用途地域のほか、ダクト・オーナーの承諾・たばこ許可の立地・想定レイアウトが入る広さも確認する
▶不動産業者の「飲食店OK」は、深夜営業の可否を保証するものではない


開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめ、深夜営業の手続きは深夜酒類提供飲食店営業届出の記事をご覧ください。


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