著者:行政書士 猪飼久遠 | シーシャ開業専門の行政書士
「前のシーシャバーの設備がそのまま残っている居抜き物件を見つけた。許可もそのまま引き継げるんじゃないか?」
この考えは半分正しく、半分間違いです。飲食店営業許可だけは条件次第で引き継げますが、深夜酒類やたばこは取り直しになります。
この記事では、シーシャバーの居抜き物件で開業するのに必要な手続きを許可の種類ごとに解説します。
| 許可・届出 | 引き継ぎ | ポイント |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可(保健所) | 条件付きで可能 | 前オーナーが営業中に「事業譲渡」として契約し、承継届を提出すれば引き継げる。 |
| 深夜酒類の届出(警察署) | 不可 | 名義変更・承継制度がない。新オーナーの新規届出が必要。 |
| たばこ出張販売許可 | 不可 | 許可の申請主体はたばこ小売業者側。オーナーが変わると新規契約が必要。 |
令和5年12月13日の食品衛生法改正により、事業譲渡に伴う営業許可の承継制度が整備されました。前オーナーが営業中の状態で、事業の全部を第三者に譲渡した場合、譲受人が保健所へ地位承継届を提出することで、新規の許可申請なしに営業者の名義を変更できます。
・前オーナーが営業中の店舗を「事業として」譲渡する場合に限る
・譲渡契約書など、譲渡の事実と意思を証明する書類が必要
・承継届は事業譲渡後、遅滞なく保健所に提出する
・届出後、保健所による実地検査が行われる
・届出の手数料は無料
承継が使えないケース
前オーナーがすでに営業を終了し廃業している場合は、「事業の譲渡」ではなく「設備・造作の譲渡」とみなされ、承継制度は適用されません。新オーナーとして完全新規での営業許可申請(施設検査+手数料)が必要です。
居抜き物件の多くは前オーナーが退去済みのため、実務上は新規申請になるケースがほとんどです。
深夜酒類提供飲食店営業の届出には、名義変更や承継の制度がありません。経営者が変わる場合は、新オーナーとして新規の届出が必要です。相続や法人の合併・分割の場合でも引き継げず、届出は失効します。
前オーナーがまだ営業している状態で引き継ぐ場合は、深夜営業の空白期間を作らないために以下の手順が実務上使われます。
1 新オーナーが営業開始予定日の10日前に開始届を提出
新オーナーの届出が受理される。この段階では前オーナーの届出もまだ有効。
2 受理から10日間は前オーナーの届出で営業を継続
この期間中、お店は前オーナーの届出のもとで深夜営業を続けられる。
3 10日後、新オーナー名義で深夜営業開始
前オーナーは廃業日から10日以内に廃止届を提出する。
前オーナーがすでに営業を終了しており、廃止届も出していない場合は注意が必要です。前オーナーと連絡が取れるなら、行政書士が廃止届を作成して署名・押印だけもらう形が確実です。
前オーナーと連絡がつかない場合
大家さんの上申書や新たな賃貸借契約書を警察に持参して事情を説明し、対応を相談する必要があります。管轄の警察署によって対応が異なるため、事前に所轄の生活安全課に確認してください。
シーシャバーのたばこ出張販売は、近隣のたばこ小売業者が財務省(実務上はJT窓口)に出張販売許可を申請し、シーシャバー側は出張販売所として同意する形をとります。つまり、許可の申請主体はたばこ小売業者であり、シーシャバー側ではありません。
オーナーが変わった場合、たばこ小売業者との委託関係が変わるため、新オーナーとして改めて契約を結び直す必要があります。最大のリスクは、前オーナーが契約していたたばこ店が「新しいオーナーとは契約しない」と拒否する可能性があることです。居抜き契約を結ぶ前に、前オーナーを通じてたばこ店への根回しを済ませておくのが鉄則です。
① 飲食店営業許可は前オーナーが営業中であれば承継可能。廃業済みの物件は新規申請が必要。
② 深夜酒類は引き継ぎ制度がないため必ず新規届出が必要。前オーナーの廃止届の処理を忘れずに。
③ たばこ出張販売は前オーナーのルートを紹介してもらうのが最も確実。契約前にたばこ店への挨拶を済ませる。
居抜き物件の契約を検討している段階で、行政書士に相談いただければ、前オーナーとの調整から各種届出の同時進行まで一括してサポートできます。「契約してから考えよう」では手遅れになるケースがあるため、物件が見つかった時点でご相談ください。
前オーナーとの調整・廃止届の代行・新規申請の図面作成から届出まで、ワンストップでサポートします。
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