シーシャバーに小さな個室を作りたいなら0時閉店|許認可から見た営業時間の決め方

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。


「深夜0時で営業を終える」という選択は、売上機会を減らすように見えます。しかし許認可の面では、内装と立地の自由度が大きく変わります。
ポイントは、深夜酒類の届出が不要になると、客室の面積・照度・見通し・用途地域という4つの制限がまとめて外れることです。


とくに個室を売りにしたいシーシャバーにとって、この差は決定的です。この記事では、0時閉店を選ぶことで得られる許認可上のメリットを整理します。



前提:届出が必要になる条件    PREMISE

深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要になるのは、午前0時以降に酒類を提供する場合です。


▶午前0時までに閉店する(酒類を提供していても届出は不要)
▶午前0時以降も営業するが、酒類を主として提供しない


どちらかに該当すれば、届出は不要です。飲食店営業許可とたばこ販売の許可だけで営業できます。


メリット① 客室の面積基準がかからない    AREA

個室の広さには、根拠の異なる2つの規制が関わります。混同されやすいので、分けて理解してください。


規制A|風営法3号営業(5㎡ライン)

風営法第2条第1項第3号は、「他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席」を設けて営む飲食店を、風俗営業のひとつとしています。


これに該当すると、営業時間を問わず風俗営業許可が必要になります。そして風俗営業の許可を受けた営業は、午前0時以降の営業が原則としてできません。


条件は「5㎡以下」と「見通しが困難」の両方です

面積だけで決まるわけではありません。5㎡以下でも他から見通せる構造なら3号営業には当たりませんし、逆に5㎡を超えていれば見通しが困難でも当たりません。
「5.1㎡以上にしておけば安全」という説明は正確ではありません。個別の判断が必要な領域なので、図面を持って警察署に確認してください。


規制B|深夜酒類の構造設備条件(9.5㎡ライン)

深夜酒類提供飲食店営業の届出をする場合、客室の床面積は9.5㎡以上でなければなりません(客室が1室しかない場合を除く)。


9.5㎡はおおよそ6畳弱です。2室作るなら、客室だけで19㎡以上が必要になります。


午前0時前に閉店するなら、この基準はかかりません。


0時閉店だから作れる「小個室」があります

▶5㎡以下かつ見通しが困難/営業時間を問わず3号営業に該当します
▶5㎡超〜9.5㎡未満深夜営業をするなら不可。0時閉店なら作れます
▶9.5㎡以上/どちらの営業形態でも作れます
2〜4人用の小さな個室を売りにしたいなら、0時閉店が現実的な選択肢になります。


面積基準の詳細はシーシャバーに個室は作れるかを解説した記事をご覧ください。


メリット② 仕切りの高さ制限がかからない    PARTITION

深夜酒類の届出をする店舗では、客室の内部に見通しを妨げる設備を設けることができません。


仕切り、ついたて、カーテン、高さがおおむね1メートル以上の設備などが該当するとされています。ボックス席を囲む高さ1.2メートルの腰壁も、この対象になり得ます。


0時閉店であればこの制限がかかりません。天井まで囲まれた完全個室も、高めの仕切りで区切った半個室も設計できます。


【実務上のポイント】
ここはシーシャバーの内装と正面からぶつかる部分です。落ち着いた空間、視線が遮られた席、薄暗い照明。どれもシーシャバーが求めたくなる要素ですが、深夜営業をするなら制限がかかります。
「雰囲気」を取るか「深夜の売上」を取るか。物件を決める前に、どちらを優先するかを決めてください。


メリット③ 照度の制限がかからない    LIGHT

深夜酒類の届出をする場合、客室の照度を20ルクス以下にすることができません。


シーシャバーは間接照明を多用する業態です。雰囲気を優先して照明を落とすと、この基準を下回ります。内装が仕上がってから測って足りなかった場合、照明の追加工事が必要になります。


0時閉店ならこの制限がかからないため、照明計画の自由度が上がります。


メリット④ 立地の選択肢が広がる    AREA2

愛知県では、深夜に酒類を提供する営業は「第一種地域」でできません。第一種地域とは、次の7つの用途地域です。


第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域 第二種住居地域
田園住居地域  


出典:愛知県警察「深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出手続」(2026年9月時点)


なお、準住居地域は第一種地域に含まれません。準住居地域を「深夜営業できない地域」として挙げている記事を見かけますが、正確ではありません。


0時閉店なら、この制限自体がかかりません。住宅街に近い物件や、繁華街より賃料の抑えられる立地も選択肢に入ります。


【実務上のポイント】
ただし、建築基準法上の制限は別に残ります。住居専用地域では、そもそも飲食店を建てられる規模に制限があります。
「深夜営業をしないから、どこでも開ける」わけではありません。物件を検討する際は、市町村の建築指導課・都市計画課にも確認してください。詳しくはシーシャバーが出店できないエリアの記事をご覧ください。


比較表    TABLE


項目 0時前に閉店 0時以降に酒類提供
客室の面積 9.5㎡の基準はかからない 各室9.5㎡以上(1室のみの場合を除く)
仕切りの高さ 制限なし 見通しを妨げる設備は不可
照度 制限なし 20ルクス以下にできない
立地 第一種地域の制限なし 第一種地域では営業できない
警察署への手続き 不要 営業開始の10日前までに届出
図面 飲食店営業許可の図面は必要 加えて求積図等が必要
5㎡以下の客席 見通しが困難であれば、いずれの場合も風営法3号営業に該当します


0時閉店が向いている店    FIT


▶個室・半個室を売りにしたい
▶落ち着いた照明や高めの仕切りにこだわりたい
▶住宅街や、繁華街から少し外れた立地を検討している
▶開業コストと手続きを抑えたい
▶昼から夜にかけての時間帯をターゲットにしている


【実務上のポイント】
逆に、錦・栄エリアのように深夜帯が売上の大半を占める立地では、0時閉店は現実的でないことが多くあります。
エリアの客層と営業時間はセットで考えてください。名古屋市内でも立地によってピーク時間帯が違います。詳しくは名古屋のシーシャバーの客層の記事をご覧ください。


よくある質問    FAQ


Q. 後から深夜営業に切り替えられますか

届出自体は後からできます。ただし、店舗の構造が条件を満たしていなければ受理されません。小さな個室を複数作った後では、面積基準を満たせず切り替えられないことがあります。将来の可能性があるなら、設計の段階で想定しておいてください。


Q. 0時以降もソフトドリンクだけで営業するのはどうですか

酒類を主として提供しないのであれば、届出は不要です。ただし「主として提供しない」かどうかの判断は、メニュー構成や実際の注文の傾向から見られます。アルコールメニューを置く場合は、想定メニューを持って警察署に相談してください。


Q. 0時閉店なら年齢の制限もなくなりますか

なくなりません。店内で喫煙させる場合、健康増進法により20歳未満の者を喫煙できる場所に立ち入らせることができません(客・従業員とも)。これは営業時間とは無関係です。詳しくは未成年の立入りと掲示の記事をご覧ください。


まとめ    SUMMARY

▶0時閉店なら深夜酒類の届出が不要になる
▶客室9.5㎡の面積基準がかからない
▶見通しを妨げる設備の制限がかからない
▶照度20ルクスの制限がかからない
▶第一種地域の立地制限がかからない
▶ただし5㎡以下で見通しが困難な客席は、営業時間を問わず3号営業に該当する
▶建築基準法上の規模制限は別に残る


深夜の売上と、内装・立地の自由度はトレードオフです。どちらを取るかは、狙う客層とエリアによって変わります。コンセプトと営業時間を一緒に決めてください。


開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめ、業態の違いはシーシャカフェとシーシャバーの違いの記事をご覧ください。


営業時間とコンセプトの検討段階から、許認可の観点でアドバイスします。


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