著者:行政書士 猪飼久遠 | シーシャ開業専門の行政書士
「深夜0時で営業を終わる」という選択は、売上機会を減らすように見えて、実は許認可・内装・立地の面で大きなメリットをもたらします。特に個室を作りたいシーシャバーにとっては、0時閉店が設計の自由度を大きく広げます。
この記事では、0時閉店を選ぶことで得られる許認可上のメリットを整理します。
「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必要になる条件は、「深夜0時以降」かつ「酒類を主として提供する」の両方が揃った場合のみです。(風営法・風営法施行規則第99条)
つまり、深夜0時までに閉店するシーシャバーであれば、酒類を提供していても届出は不要。飲食店営業許可とたばこ関連許可だけで営業できます。
深夜酒類届出が不要になる条件
・深夜0時までに閉店する(酒類の有無にかかわらず)
・深夜0時以降も営業するが酒類を主として提供しない(ソフトドリンク・シーシャのみ等)
どちらかに該当すれば、深夜酒類提供飲食店営業開始届出は不要です。
個室の広さには、実は2つの異なる規制が存在します。それぞれ根拠法が違うため、混同しないことが重要です。
「見通すことが困難」かつ「5㎡以下」の個室を設けると、風営法3号の「区画席飲食店」に該当し、風俗営業許可が必要になります。風営法第2条第1項第3号 風俗営業許可を取得すると深夜0時以降の営業が原則禁止になるため、事実上シーシャバーとしての経営が成り立ちません。
→ 個室は必ず5.1㎡以上にする必要があります。これは0時閉店・深夜営業を問わず共通のルールです。
深夜酒類届出をする場合、客室が複数ある店舗では各室の床面積が9.5㎡以上でなければなりません。風営法施行規則第99条第1号 9.5㎡はビジネスホテルのシングルルーム程度の広さで、2室なら合計19㎡以上の客室面積が必要になります。
→ 0時閉店(深夜酒類届出不要)なら、この9.5㎡ルールは適用されません。
0時閉店で生まれる「個室の黄金ゾーン」
5.1㎡〜9.4㎡の小個室は、0時閉店の店舗でしか作れません。
・5㎡以下 → 風営法3号に抵触(0時閉店・深夜営業を問わず不可)
・5.1〜9.4㎡ → 深夜酒類届出ありでは9.5㎡ルール違反 / 0時閉店なら作れる
・9.5㎡以上 → どちらの業態でも作れる
2〜4人用の小さな個室を売りにしたいシーシャバーは、0時閉店が唯一の選択肢になります。
深夜営業にしたいなら個室は9.5㎡以上必要
深夜0時以降も酒類をメインで提供する場合、個室(客室)が2室以上あればそれぞれ9.5㎡以上必要です。(風営法施行規則第99条第1号 )小規模店舗では事実上、複数の個室を設けることが困難になります。
深夜酒類届出をする店舗では、客室内に「見通しを妨げる設備」を設けることが禁止されています。(風営法施行規則第99条第2号 )高さ1メートル以上の仕切り・パーテーション・腰壁はすべてこれに該当します。
BOX席を囲む高さ1.2メートルの腰壁も、天井まで囲まれた個室と同じ扱いになるため注意が必要です。
0時閉店であればこの制限がないため、面積基準さえ満たせば、天井まで囲まれた完全個室も、高めの仕切りで区切られた半個室も自由に設計できます。シーシャバーらしい落ち着いた内装を実現しやすくなります。
深夜酒類届出が必要な業態は、住居系の用途地域では原則として営業が禁止されています。
具体的には第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域などが該当します。
0時閉店で深夜酒類届出が不要であれば、こうした立地制限を受けません。住宅街に近い物件や、家賃が安い準住居地域の物件なども選択肢に入ります。ただし、飲食店営業許可自体にも用途地域の確認が必要なため、物件選びの際は所轄の保健所・消防署に事前確認することをおすすめします。
| 項目 | 0時閉店(深夜届出なし) | 0時以降営業(深夜届出あり) |
|---|---|---|
| 個室の広さ | 制限なし |
各室9.5㎡以上(複数室の場合) |
| 仕切りの高さ | 制限なし |
1m以上の仕切り禁止 |
| 立地制限 | 飲食店が開ける地域なら可 | 住居系用途地域では原則不可 |
| 届出手続き | 不要 | 警察署への届出(開業10日前まで) |
| 図面作成 | 不要 | 求積図・照明音響図など複数必要 |
こんな店舗なら0時閉店がおすすめ
・個室・半個室を売りにしたい店舗
・落ち着いた内装・高めの仕切りにこだわりたい
・住宅街や準住居地域での開業を検討している
・開業コストを抑えて手続きをシンプルにしたい
・ファミリー・女性客など早めの時間帯をターゲットにしている
深夜0時で閉店するという選択は、売上の面では一見デメリットに見えますが、個室の自由な設計・仕切りの制限なし・立地制限の緩和という許認可上の大きなメリットがあります。特に個室を売りにしたいシーシャバーにとっては、0時閉店を選ぶことで内装の自由度が格段に上がります。コンセプトと営業時間を一緒に考えることが、開業成功の鍵です。
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