シーシャバーのたばこ出張販売許可|申請手順と必要書類を行政書士が解説【協力店の探し方も】

著者:行政書士 猪飼久遠 | シーシャ開業専門の行政書士


シーシャバーの開業で「店内でお客様にたばこを販売したい」「店を喫煙できる空間にしたい」と考えたとき、実的な選択肢がたばこの出張販売許可です。


この記事では、出張販売許可の申請手順・必要書類・要件、そして制度解説だけではわからない申請実務のリアルを、行政書士の視点でまとめました。


・シーシャバー開業で必要なたばこの販売許可。「出張販売と小売販売、どちらを選ぶべきか」は別記事(→「小売販売vs出張販売」選ぶべきはどちらか?)で詳しく解説しています。
・たばこ小売販売許可についてはシーシャバーのたばこ小売販売業許可|距離基準・取扱高基準と申請の流れ【行政書士解説】で詳しく解説しています。
・小売販売業許可の詳細は、財務省「製造たばこの小売販売業の許可」のページに掲載されています。



そもそもなぜこの許可が必要なのか

2020年4月に改正健康増進法が全面施行されて以降、原則として飲食店での喫煙は禁止されました。しかし、一定の条件を満たす施設は「喫煙目的店(喫煙目的施設)」として例外的に店内喫煙が認められています。


喫煙目的店の条件のひとつが「たばこの対面販売を行っていること」です。
つまり、たばこの販売許可がなければ対面販売ができず、喫煙目的店にもなれず、結果として店内でシーシャを吸わせること自体が違法になります。


⚠️ たばこ販売許可はシーシャバーの生命線

たばこの販売許可は、シーシャバーにとって「営業形態の根幹を支える許可」です。飲食店営業許可や深夜酒類の届出だけでは、シーシャを提供する法的根拠が成立しません。



出張販売許可の申請手順

制度の概要

手続名 製造たばこの小売販売業の出張販売の許可
手続根拠 たばこ事業法第26条
手続対象者 製造たばこの小売販売業者で、その営業所以外の場所に出張して小売販売業をしようとする者
審査基準 たばこ事業法、たばこ事業法施行規則、製造たばこ小売販売業許可等取扱要領
標準処理期間 申請書を受理した日の属する月の末日から2月以内
手数料 なし(許可を受けた場合は登録免許税3,000円の納付が必要)
不服申立方法 行政不服審査法に基づく不服申立てによる
提出先 小売販売業の許可を受けている営業所の最寄りのJT支社
提出方法 持参、郵送又は宅配便等
受付時間 月〜金曜日(祝祭日除く)9:00〜17:40

たばこ販売許可についての

申請の流れ

①たばこ小売業者を見つける

出張販売許可の申請者は「たばこ小売業者」です。シーシャバーのオーナーではありません。まず協力してくれるたばこ小売業者を見つけるところからスタートします(後述の「たばこ小売業者の探し方」を参照)。

②申請書類の作成・提出

たばこ小売業者が申請書類一式を作成し、小売販売業の許可を受けている営業所の最寄りのJT支社に持参、郵送又は宅配便等により提出します。

⚠️ 提出先を間違えやすいポイント

提出先は出張販売をしようとする店舗(シーシャバー)の所在地を管轄するJT支社ではなく、小売業者の営業所所在地の最寄りのJT支社です。申請書の記載方法は、同じJT支社に相談できます。許可制度全般の相談先は、営業所の所在地を管轄する財務(支)局又は財務事務所等です。

③JTによる現地調査

申請書類に問題がなければ、出張販売を行う店舗の現地調査が行われます。JTの検査官が、たばこの販売場所や喫煙設備(灰皿等)、店舗の外観などを確認し、写真を撮影します。調査自体は10分程度で終了します。

④財務局による審査

現地調査の資料等に基づき、財務(支)局にて審査が行われます。

⑤許可・登録免許税の納付

許可となった場合、許可通知書が届きます。最寄りのJT支社より納付書と登録免許税領収証書提出書を受け取り、金融機関等にて3,000円を納付後、領収証書を貼り付けてJT支社に提出して手続き完了です。不許可の場合は行政不服審査法に基づく不服申立てが可能です。


必要書類

出張販売許可申請書(たばこ事業法施行規則別紙様式第21号)に、以下の書類を添付します。


  • 1. 当該場所で製造たばこを販売できる旨を証明する書類
  • 出張販売先が自己の所有に属さないときに添付。様式は任意(財務省HPに参考書式あり)。実質的にはシーシャバー側オーナーの同意書です。
  • 2. 出張販売場所を示す図面(必須)
  • 必ず添付。店舗の間取り図で、テーブル・カウンター等の配置やたばこ販売スペースの位置を明記。自動販売機を設置する場合は設置予定場所も明示。
  • 3. 二十歳未満の者の喫煙防止に係る誓約書(様式第18号)
  • 許可申請者以外の者が営業又は管理を行う場所に自動販売機を設置しようとするときに添付。
  • 4. 業務委託の内容を明らかにした書類
  • 出張販売場所で業務委託により製造たばこの販売を行うときに、必要に応じて添付。小売業者とシーシャバーオーナーの間の覚書等。


※添付書類の原本還付を請求する場合は、原本還付申請書(様式第33号)と送付費用分の郵便切手(郵便料金+簡易書留料金)等を提出。


出張販売許可の要件(出張販売場所側)

シーシャバー側が満たすべき要件


☐喫煙を主目的とする施設で、たばこの対面販売が行われていること
☐通常主食と認められる食事を主として提供しないこと(おつまみ程度はOK)
☐受動喫煙防止の設備基準を満たすこと(煙が施設外に流出しない構造)
☐二十歳未満の者の立入り・雇用をしないこと
☐たばこの販売場所が店舗の外から見えない位置にあること



制度解説だけではわからない話

たばこ小売業者の探し方──飛び込みでは見つからない

出張販売許可で最初にぶつかる壁が「協力してくれるたばこ小売業者をどう見つけるか」です。


制度上は、既存のたばこ小売業者が申請する形になります。しかし、近所のたばこ屋やコンビニに飛び込みで「うちの店の出張販売先になってもらえませんか」と頼んでも、断られる可能性は高いです。先方にとってメリットがほとんどない上に、手続きの手間と責任だけが発生するためです。


実際には、行政書士がたばこ小売業者を紹介するケースが主流になっています。出張販売許可を専門的に扱っている行政書士は、すでに協力関係のあるたばこ小売業者のネットワークを持っていることが多く、マッチングから申請書類の作成、JTへの提出までを一括で対応できます。


代理申請は行政書士のみ

2026年1月以降、行政庁への代理申請は行政書士のみが行えるよう規制が強化されています。資格のない代行業者がたばこ小売業者の紹介と申請手続きをセットで請け負っているケースも散見されますが、行政書士法に抵触する可能性があります。依頼先が行政書士資格を持っているかどうかは必ず確認してください。


もうひとつ押さえておくべきなのは、出張販売許可はたばこ小売業者に紐づくという点です。小売業者が廃業すれば出張販売許可も自動的に抹消され、喫煙目的店の根拠が消滅します。この廃業リスクの詳細と対策については、別記事(→「小売販売vs出張販売」選ぶべきはどちらか?)で詳しく解説しています。

【実務上のポイント】ノンニコチンフレーバーも規制対象

シーシャ用のたばこ葉は「製造たばこ」または「製造たばこ代用品」に分類されます。製造たばこ代用品とは、製造たばこ以外の物であって喫煙用に供されるものを指し、ノンニコチンのフレーバーであっても、たばこ事業法の規制対象です。


行政書士の実務から──申請を通すために知っておくべきこと

複数許可の申請タイミング戦略

シーシャバーの開業には、たばこ販売許可のほかにも複数の許可・届出が必要です。これらをどの順番で、どのタイミングで進めるかで、開業までの期間が大きく変わります。


許可・届出 管轄 タイミング
たばこ出張販売許可 JT→財務局 内装設計確定後すぐ(最も時間がかかる)
飲食店営業許可 保健所 内装工事完了後に検査→即日〜数日で交付
深夜酒類提供飲食店営業届出 警察署 工事中に準備、開業10日前までに届出
防火対象物使用開始届 消防署 使用開始7日前まで


【実務上のポイント】

出張販売許可が最も時間がかかるケースが多いため、これを起点にスケジュールを逆算することが重要です。物件契約後すぐにたばこ小売業者の選定と申請準備を開始→内装設計確定で図面作成・出張販売許可提出→並行して保健所事前相談・深夜酒類届出準備→工事完了後に保健所検査・消防届出→出張販売許可の審査結果を待って開業。標準処理期間の2か月を超えることも珍しくありません。余裕をもって3〜4か月前には動き始めてください。


許可取得後に必要なこと

・たばこ出張販売許可書等の関係書類を店舗に保管
・店舗入口に「喫煙目的室の設置」標識を掲示
・喫煙できる場所であることを示す標識を掲示
・二十歳未満の者の立入り不可の標識を掲示
・たばこの販売・仕入れを記載した帳簿を保存



※喫煙目的店の具体的な条件は都道府県によって異なる場合があります。詳細は各都道府県や最寄りの保健所にお問い合わせください。


シーシャの開業・たばこ販売許可についてご相談ください

行政書士久遠事務所では、シーシャバーの現場経験を持つ行政書士が、フレーバー販売・たばこ販売許可・飲食店営業許可・風俗営業許可まで一貫してサポートします。


「自分の店はどの許可が必要か」「どの許可をとればいいかわからない」など、お気軽にご相談ください。


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