シーシャバーで電子シーシャは売れる?販売許可とニコパフ違法性を解説

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。


シーシャバーの店頭で電子シーシャを扱いたい、というご相談が増えています。持ち帰り需要が見込める商材ですが、成分によって適用される法律が変わります。
最も重要なのは、ニコチン入りの製品は、たばこ販売許可を持っていても販売できないという点です。たばこ事業法ではなく薬機法の問題だからです。


この記事では、電子シーシャを3つのパターンに分けて、扱えるものと扱えないものを整理します。



電子シーシャとは    WHAT

電子シーシャとは、リキッド(液体)を電気で加熱し、発生した蒸気を吸引するデバイスを指します。VAPE、ポータブルシーシャ、使い捨てVAPEなどとも呼ばれます。


項目 従来のシーシャ(水たばこ) 電子シーシャ
原料 たばこ葉または代用品+糖蜜+香料 リキッド(グリセリン・プロピレングリコール・香料など)
加熱方式 炭による加熱 電気による加熱
ニコチン たばこ葉使用のものは含有 国内流通品はニコチンを含まないものが中心


3つのパターンに分かれます    PATTERN


①たばこ葉を使用しているもの

加熱式たばこのように、たばこ葉を原料に使用している製品です。


たばこ事業法上の「製造たばこ」に当たります。販売するにはたばこ小売販売業許可または出張販売の許可が必要です。通常のシーシャと同じ扱いになります。


②たばこ葉は使っていないが、ニコチンを含むもの

リキッドにニコチンを添加した製品です。海外では一般的に流通しています。


国内での販売・譲渡は薬機法違反になります

ニコチンは医薬品の成分として扱われます。これを含む製品を人体に使用させる目的で販売するには、医薬品医療機器等法(薬機法)にもとづく承認が必要です。
現在、この種の製品で国内承認を受けたものは確認できません。したがって、店頭販売・通販・店内提供のいずれも行うことはできません。無償で譲る場合も同じです。


個人が自己使用の目的で輸入すること自体は別の話ですが、それを他人に販売・譲渡した時点で問題になります。


③たばこ葉もニコチンも含まないもの

国内で流通している電子シーシャの多くがこのタイプです。主な成分はグリセリン、プロピレングリコール、水、香料などです。


▶たばこ葉を使っていないため、たばこ事業法の「製造たばこ」には当たらない
▶ニコチンを含まないため、薬機法の医薬品にも当たらない


【実務上のポイント】
ここで論点になるのが、たばこ事業法の「製造たばこ代用品」に当たるかどうかです。
同法第38条は「製造たばこ代用品は、これを製造たばことみなしてこの法律の規定を適用する」と定め、代用品を「製造たばこ以外の物であつて、喫煙用に供されるもの」としています。
炭で加熱して煙を出すハーバル系のシーシャフレーバーは、これに当たると考えられます。一方、リキッドを電気で加熱して蒸気を吸うタイプが「喫煙用に供されるもの」に当たるかは、判断の分かれ得る領域です。
取り扱いを検討する場合は、具体的な製品を示して財務局に確認してください。ハーバル系フレーバーの扱いはノンニコシーシャの許認可を整理した記事で解説しています。


たばこ販売許可があっても売れないものがあります    CAUTION

「たばこ販売許可を持っているから、ニコチン入りの電子たばこも売れるのでは」という誤解が非常に多くあります。


この2つは、まったく別の法律の話です。


許可・法律 対象 所管
たばこ販売許可
(たばこ事業法)
製造たばこおよび製造たばこ代用品 財務局・JT支社
医薬品の承認
(薬機法)
ニコチンを含む製品 厚生労働省


たばこ販売許可は、ニコチン入りリキッドの販売を認めるものではありません。


【実務上のポイント】
2026年3月には、ニコチン入りの電子たばこを販売したとして薬機法違反での摘発が報じられました。「知人に譲った」という程度でも対象になり得ます。
無承認医薬品の販売については、薬機法に重い罰則が定められています。店頭で扱わないことはもちろん、スタッフが個人的に譲るような行為も起きないよう、明確にルール化しておいてください。


仕入れで確認すべきこと    PURCHASE


▶「ニコチン0%」「たばこ葉不使用」を成分表示で必ず確認する
▶海外から個人輸入した製品を店頭で販売しない
▶フリマアプリやSNSで流通している製品を仕入れない
▶客から「ニコチン入りはないか」と聞かれても取り扱わない
▶同じブランドでも、海外版と国内版で成分が異なることがある


ブランド名だけで判断しないでください

同じブランドの同じシリーズでも、海外向けの製品にはニコチンが含まれているものがあります。
「有名なブランドだから大丈夫」ではなく、実際に仕入れる製品の成分表示で確認してください。信頼できる国内の仕入先を使うことが、最も確実な防御になります。


販売時の注意点    SELL


年齢確認

店内の全部を喫煙目的室にしているシーシャバーでは、そもそも20歳未満の者が立ち入れません。ただし、持ち帰り販売を店頭の別区画で行うような場合は、年齢確認の運用を決めておいてください。


誇大な表示をしない

「健康にいい」「禁煙効果がある」といった表示は、景品表示法や薬機法に抵触する可能性があります。成分の事実の記載にとどめてください。


店内での使用ルール

電子シーシャが健康増進法上の「たばこ」に当たるかどうかにかかわらず、店内での使用ルールは明確にしておくべきです。喫煙しない区画を設けている場合は、電子シーシャの可否も掲示しておいてください。


よくある質問    FAQ


Q. 客が持ち込んだニコチン入り製品を店内で吸わせるのは

販売・譲渡には当たりませんが、店として推奨したり、使用を前提としたサービスを提供したりすれば話が変わります。また、店内での使用ルールを決めていなければ、他の客とのトラブルにもつながります。取り扱わない方針であれば、持ち込みの扱いもあわせて決めておいてください。


Q. たばこ販売許可がなくても電子シーシャは売れますか

製品によります。たばこ葉を使っているもの、製造たばこ代用品に当たるものは許可が必要です。どちらにも当たらないと整理できる製品であれば許可は不要ですが、その判断を自己流で行うのは危険です。具体的な製品を示して財務局に確認してください。


Q. 個人輸入した製品を店で売ってもいいですか

やめてください。個人輸入は自己使用を前提とした制度です。それを販売に回した時点で、成分によっては薬機法違反になります。成分表示が日本語でない製品は、内容の確認自体が難しくなります。国内の仕入先を使ってください。


まとめ    SUMMARY

▶たばこ葉を使った製品は、たばこ販売許可が必要
▶ニコチンを含む製品は薬機法の問題。たばこ販売許可があっても販売できない
▶たばこ葉もニコチンも含まない製品は、製造たばこ代用品に当たるかが論点
▶ハーバル系フレーバー(炭で加熱)と電子シーシャ(リキッドを電気加熱)では検討の筋道が違う
▶ブランド名ではなく、実際の製品の成分表示で確認する
▶海外版と国内版で成分が異なることがある
▶効能をうたう表示はしない


電子シーシャは持ち帰り需要が見込める商材ですが、成分の確認を怠ると重い違反につながります。取り扱いを決める前に、具体的な製品を示して確認してください。


開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめ、フレーバーの物販についてはシーシャのフレーバーは販売できるかの記事をご覧ください。


取り扱う製品ごとに、必要な手続きを整理してご案内します。


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