著者:行政書士 猪飼久遠 | シーシャ開業専門の行政書士
シーシャバーを開業する際、多くの人が「立地」や「内装デザイン」に意識を集中させます。しかし、実際に営業許可が下りるかどうかを左右するのは、もっと地味で見落とされがちなポイントです。
それが――調理場の設備要件です。
特にシーシャバーは、「飲食店」としてはやや特殊な業態であるため、一般的なカフェやバーと同じ感覚で設計すると、保健所の審査で思わぬ指摘を受けるケースが少なくありません。
実際に多いのが、「内装は完璧なのに、調理場の要件で不合格になる」というパターンです。
数百万円をかけて結局シーシャバーをオープンできないといったことがあり得ます。
シーシャバーの開業で「営業許可が取れるか不安」「1槽シンクで足りるのか分からない」「内装は進んでいるが設備が基準を満たしているか不安」「シーシャ器具の洗浄や炭の扱いがどう見られるのか不明」「工事後のやり直しが怖い」といった悩みを抱えている方に向けて、本記事では調理場設備で落ちやすいポイントや保健所の実際のチェック内容、シーシャ特有の注意点と対策を、実務に基づいて分かりやすく解説します。
調理場と客室は、間仕切り等で物理的に区画されていなければなりません。
壁とドアの設置が最も確実ですが、スウィングドアやウエスタンドアなどの簡易的な間仕切りでも認められます。カーテンは間仕切りとして認められません。
シーシャバーの場合、おしゃれな空間づくりのためにカウンターだけで仕切りたいというオーナーが多いのですが、カウンターだけでは区画とは認められません。最低限、スウィングドア等の設置を想定しておいてください。
法改正前は「幅45cm×奥行36cm×深さ18cm以上の2槽シンク」が全国一律で必要でした。改正後は**「使用目的に応じた大きさ及び数」**に変わり、柔軟になりました。
ここがシーシャバーの設備計画に大きく関わる部分です。
| 営業内容 | シンクの目安 |
| 料理を提供する(食材を洗って調理する等) | 2槽シンク必須+給湯設備 |
| ドリンク提供のみ(乾き物・レンジ惣菜程度) | 1槽シンクでも可(食器具の洗浄用) |
| シーシャ+ドリンク(軽食なし) | 1槽シンクで可の場合が多いが、必ず事前確認 |
多くのシーシャバーは「シーシャ+ドリンク+軽食(乾き物やデザート程度)」の営業形態です。食材を洗って調理する工程がなければ1槽シンクでも許可が下りる可能性がありますが、保健所の担当者によって判断が分かれる部分ですので、事前相談で必ず確認してください。
※自治体によってはシーシャを洗う専用のシンクの設置を求められる場合があります。
「あとからメニューを増やしたい」という希望がある場合は、最初から2槽シンクと給湯設備を設置しておくことを強くお勧めします。あとから工事すると数十万円の追加費用がかかります。
改正食品衛生法で最も多くの店舗が影響を受けた項目です。従業員用の手洗い器の水栓が、洗浄後の手の再汚染を防止できる構造でなければなりません。
具体的には、水を止める際にハンドルに触れなくてよい構造です。
最も簡単・安価に対応できるのがレバー式への交換です。既存のハンドルをレバーに付け替えるだけで対応できる場合がほとんどです。
居抜き物件は要注意です。前の店舗がハンドル式の手洗い器のままだった場合、そのままでは許可されません。事前確認を怠って検査で不合格になるケースが実際にあります。
| 設備項目 | シーシャバーでの注意点 |
|
床・ |
調理場の床と壁の下1mまでは防水素材が必要。コンクリート打ちっぱなしの天井は客室はOKだが、調理場はNGになることがある(ホコリの落下・ネズミの侵入経路) |
| 換気設備 | 調理場に換気扇が必要。窓で自然換気する場合は網戸を設置。※客室のシーシャ用換気とは別に調理場専用の換気が必要 |
| 冷蔵設備 | 必須。冷凍設備は任意。ドリンクを提供するなら最低限の冷蔵庫が必要。家庭用冷蔵庫でも可だが、温度計がない場合は設置する |
| 保管設備 | 食材の保管用に戸棚等を設置。虫やネズミの害を防げる構造であること。食器棚は法改正で必須ではなくなったが、衛生管理上は設置が望ましい |
| 行為場所 | 更衣室は必須ではないが、着替えた服を入れる更衣箱等を調理場の出入りがしやすい場所に設置する |
| トイレ | 従業員の人数に応じた数が必要。客用との共用可。調理場から直接つながる構造はNG。トイレ内またはすぐ近くに手洗い器が必要 |
| 廃棄物容器 | プラスチック製で蓋つきのゴミ箱を設置 |
| 清掃用具 | 調理場専用の清掃用具を用意し、保管場所・手順を決めておく |
シーシャバーでよくある失敗例:客室の雰囲気づくりにこだわるあまり、調理場の設備を後回しにして検査で不合格──という事態は珍しくありません。おしゃれな空間も大事ですが、調理場が基準を満たさなければ営業許可は出ません。
なぜ事前相談が重要なのか
事前相談は法律上の義務ではありません。しかし、シーシャバーの場合は事前相談を強くお勧めします。というよりも、事前相談なしで進めることはリスクが高すぎます。
理由は2つです。
理由1:シーシャバーは保健所にとっても「よくある業態」ではない
ラーメン店や居酒屋であれば、保健所の担当者も勝手がわかっています。しかし、シーシャバーは比較的新しい業態です。「シーシャの炭はどこで扱うのか」「ボウルの洗浄設備はどう位置づけるのか」など、担当者が判断に迷うことがあります。事前相談で営業内容を具体的に説明し、必要な設備について合意を得ておくことで、検査時のトラブルを防げます。
理由2:内装工事の後から設備を変更すると、時間とお金が大幅にかかる
事前相談の段階であれば、「シンクの位置をこう変えてください」「手洗い器をもう1つ追加してください」といった指導にも柔軟に対応できます。工事完了後に同じ指摘を受けると、壁を壊して配管をやり直すことになり、追加で数十万円の費用と数週間の遅延が発生します。
・内装図面(案)──調理場の配置、シンク・手洗い器・冷蔵庫の位置を記入したもの
・メニュー構成(案)──シーシャのほかに何を提供するか(ドリンクのみか、軽食も出すか)
・営業時間の予定──深夜営業する場合は、保健所とは別に警察署への届出が必要になるため、ここで全体像を把握してもらう
・シーシャの炭を加熱する場所が調理場の区画内にない →炭用のヒーター(コンロ)を調理場内に設置するか、客席に設置する場合の衛生管理方法を事前に相談
・ボウル・ホースの洗浄をどこで行うか
→調理場のシンクとは別にバックヤードで洗浄する場合でも、衛生面の説明が求められることがある
・客席の換気設備と調理場の換気を混同
→調理場には独立した換気設備が必要。シーシャの煙を排出するための客席換気とは別
現地検査では、保健センターの担当者が店舗を訪問し、申請時に提出した図面と実際の設備を照合します。
・調理場:シンク・手洗い器・冷蔵庫・保管設備・換気設備・床壁天井の素材等
・トイレ周り:手洗い器の有無、調理場との隔離構造
・更衣場所(更衣室を設ける場合)
単に設備が「置いてある」だけでは不十分です。担当者は実際に水を流し、お湯が出るか確認します。シンクの排水が正常に流れるか、手洗い器の水栓がレバー式等の再汚染防止構造になっているか──これらを実地で確認します。
申請時に提出した図面と実際の設備配置が異なっていても、必要な設備がすべて揃っていれば原則として許可されます。大幅に異なる場合は、完成後の図面に差し替えれば問題ありません。
ただし、「必要な設備が足りない」のは不合格です。再検査となり、設備を整えたうえで改めて検査を受けなければなりません。
・1槽シンクで足りるのか
・シーシャ器具の洗浄はどう扱われるのか
・炭の取り扱いはどこまで求められるのか
これらは法律に明確な答えが書かれているわけではなく、保健所ごとの運用に委ねられている部分が大きいのが実情です。
だからこそ、自己判断で進めてしまうと、「完成後に不適合が発覚する」というリスクが常につきまといます。
当事務所では、シーシャバーを含む特殊業態の営業許可に関して、
・事前相談の同行または代行
・図面段階での設備チェック
・保健所との調整まで一貫してサポートしています。
特にシーシャバーは、一般的な飲食店と異なる指摘を受けやすいため、初期設計の段階での関与が結果を大きく左右します。
「この内容で許可が取れるのか不安」「保健所にどう説明すればいいかわからない」 といった段階でも問題ありません。
無駄な工事ややり直しを防ぐためにも、設計前・工事前のタイミングで一度ご相談ください。
行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠
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