著者:行政書士 猪飼久遠 | シーシャ開業専門の行政書士
シーシャバーを開業する場合、店舗の規模によって「防火管理者」の選任が必須となります。多くの開業者がこの手続きを見落としてしまい、営業開始間際になって慌てることになります。この記事では、防火管理者選任届の要件、必要な資格、申請方法をわかりやすく解説します。
シーシャバーは飲食店に分類されます。飲食店の場合、収容人員が30人以上なら防火管理者の選任が必須です。ここで重要なのが「収容人員」の定義です。
収容人員=客席数だけではない
多くの開業者が誤解していますが、収容人員には客席数だけでなく全従業員(正社員・アルバイト・パートを含む)も加算されます。これは消防法施行規則第1条の3に基づいて算定されます。
例)客席20席 + オーナー1名 + 正社員2名 + アルバイト8名 = 合計31人 → 防火管理者選任義務あり
つまり、見た目は小さな店舗でも、スタッフが多ければ防火管理者の選任が必要になります。
防火管理者には「甲種」と「乙種」の2つの資格があります。名古屋市では、飲食店など不特定多数が出入りする施設について、以下の基準で判定されます。
| 区分 | 必要な条件 | 講習日数 |
|---|---|---|
| 甲種 | 建物全体で収容人員30人以上かつ延べ面積300㎡以上 | 2日 |
| 乙種 | 建物全体で収容人員30人以上かつ延べ面積300㎡未満 | 1日 |
シーシャバーはほとんどが300㎡未満の小規模店舗なので、乙種防火管理者で対応できることがほとんどです。ただし、甲種防火対象物(大型ビル等)内の小規模テナントでは、乙種になるケースもあります。
防火管理者に選任される者は、消防局が実施する防火管理講習を修了し、修了証を取得していることが必須です。自分で資格を持たずに誰かを選任することはできません。
名古屋市の場合、防火管理講習は日本消防設備安全センター名古屋事務所で定期的に開催されています。
甲種防火管理講習(2日):5,500円
乙種防火管理講習(1日):4,500円
※ オンライン型や他の自治体では料金が異なる場合があります。最新料金は各開催案内でご確認ください。
① 講習申込み(開催予定日の15日前までに)
② 講習受講(甲種2日、乙種1日)
③ 修了証取得
④ 消防署に防火管理者選任届を提出
申込みは窓口、郵送、電子申請サービスから可能です。
防火管理者を選任したら、所轄の消防署に届出を行う必要があります。名古屋市の場合、以下の3つの方法で提出できます。
| 提出方法 | 提出先 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 窓口 | 建物所在地の消防署本署(予防課) | 平日 8:45~17:15 |
| 郵送 | 建物所在地の消防署本署(予防課) | 随時 |
| 電子申請 | 名古屋市電子申請サービス | 24時間 |
窓口または郵送の場合は、届出書と防火管理講習修了証の2部ずつが必要です。電子申請の場合は副本の交付がありません。
防火管理者選任届を出す際に必要な書類は以下の通りです。
・防火管理者選任(解任)届出書
・防火管理講習修了証の写し(または経歴書など資格を証明するもの)
窓口または郵送の場合は各2部必要(副本返却用)
電子申請の場合は副本の交付がないため、窓口での提出が困難な場合は電子申請がおすすめです。
防火管理者に選任されると、以下の義務が発生します。
・消防計画の作成と消防署への届出
・消防用設備の点検・整備
・定期的な防火訓練の実施
・従業員への防火教育
・来店客への防火安全の注意喚起
単に資格を取得するだけでなく、継続的に防火管理業務を適切に遂行する責任があります。
⚠️ 重大な法令違反
防火管理者の選任義務があるにもかかわらず選任しない、または届出をしない場合、消防法に基づく行政指導や是正命令の対象になる可能性があります。重大な場合は営業停止命令や営業許可取り消しのリスクもあります。
防火管理者選任届は、飲食店営業許可や深夜酒類届出と比べると目立たない手続きですが、消防法で義務付けられた重要な届出です。開業を検討する段階で、自分の店舗が該当するかどうかを確認し、必要に応じて講習を受講しておくことをおすすめします。
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