シーシャバーに防火管理者は必要?収容人員30人の数え方と甲種・乙種の違い

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。


シーシャバーを開業する場合、店舗の規模によって防火管理者の選任が必要になります。保健所や警察署の手続きに比べて目立たず、営業開始の直前になって慌てるケースが多い手続きです。
ポイントは、収容人員には客席数だけでなく従業員も含まれ、甲種・乙種の判定は建物全体の延べ面積で行われることです。小さな店舗でも該当します。


この記事では、選任が必要になる条件、必要な資格、届出の方法を整理します。



選任が必要になる条件    CONDITION

シーシャバーは消防法上、飲食店に分類されます。飲食店の場合、収容人員が30人以上であれば防火管理者の選任が必要です。


ここで重要なのが「収容人員」の数え方です。


収容人員は客席数だけではありません

収容人員には、客席の数に加えて従業員の数(正社員・アルバイト・パートを含む)が加算されます。
例:客席20席+オーナー1名+正社員2名+アルバイト8名=31人 → 選任義務あり
見た目は小さな店舗でも、スタッフが多ければ該当します。算定方法は消防法施行規則に定められています。


【実務上のポイント】
アルバイトの人数は、同時に勤務する人数ではなく在籍している人数で数えることになります。シフト制で1日2〜3名しか出勤していなくても、登録スタッフが10名いれば10名として算入される考え方です。
「うちは狭いから関係ない」と判断せず、実際に数えてみてください。算定に迷う場合は、管轄の消防署(予防課)に確認するのが確実です。


甲種と乙種の違い    TYPE

防火管理者の資格には甲種と乙種があります。飲食店のように不特定多数が出入りする施設(特定防火対象物)では、次のように区分されます。


区分 条件 講習日数
甲種 収容人員30人以上かつ延べ面積300㎡以上 2日
乙種 収容人員30人以上かつ延べ面積300㎡未満 1日


延べ面積は「建物全体」で判定します

ここを間違えている説明をよく見かけます。延べ面積は自分の店舗の面積ではなく、建物全体の延べ面積で判定されます。
つまり、15坪の小さなシーシャバーでも、入居している雑居ビル全体が300㎡以上であれば甲種が必要になります。
シーシャバーは繁華街の雑居ビル上階に入ることが多い業態です。「小規模だから乙種で足りる」とは限りません。物件が決まったら、建物全体の延べ面積を確認してください。


資格の取り方    QUALIFY

防火管理者に選任される人は、防火管理講習を修了して修了証を取得している必要があります。資格を持たない人を選任することはできません。


▶①講習に申し込む(開催日の一定期間前までの申込みが必要です)
▶②講習を受講する(甲種2日、乙種1日)
▶③修了証を受け取る
▶④消防署に防火管理者選任届を提出する


【実務上のポイント】
講習の受講料と開催日程は、実施機関や自治体によって異なります。甲種は2日間の拘束になるため、開業準備と重なると調整が難しくなります。
物件が決まって延べ面積が確認できた段階で、すぐ日程を押さえてください。最新の日程・料金・申込方法は、管轄の消防署または講習の実施機関でご確認ください。


選任届の提出方法    SUBMIT

防火管理者を選任したら、所轄の消防署へ届出をします。名古屋市の場合、次の方法があります。


方法 提出先 備考
窓口 建物所在地の消防署(予防課) 副本の返却あり
郵送 建物所在地の消防署(予防課) 副本の返却あり
電子申請 名古屋市電子申請サービス 副本の交付はありません


必要書類

▶防火管理者選任(解任)届出書
▶防火管理講習修了証の写し(または資格を証明するもの)
▶窓口・郵送の場合は、副本返却用に各2部


受付時間や部数の扱いは自治体によって異なります。提出前に管轄の消防署へご確認ください。


選任した後の業務    DUTY

資格を取って届出をすれば終わり、ではありません。防火管理者には継続的な業務が発生します。


▶消防計画の作成と消防署への届出
▶消防用設備等の点検・整備
▶消火・避難訓練の定期的な実施
▶従業員への防火教育
▶火気の使用または取扱いに関する監督


シーシャバーは炭火を扱う業態です。火気の管理は、他の飲食店以上に具体的な体制が求められます。消防計画の書き方はシーシャバーの消防計画の記事で解説しています。


選任しなかった場合    RISK

選任の義務があるのに選任しない、または届出をしない場合、消防法にもとづく指導や命令の対象になります。


【実務上のポイント】
実務上、より現実的なリスクは立入検査で指摘を受けることです。飲食店は消防の立入検査の対象になります。
「開業のときに誰も言わなかったから」という説明は通りません。選任義務があるかどうかを判断するのは営業者の責任です。物件が決まった段階で、収容人員と建物の延べ面積を確認してください。


よくある質問    FAQ


Q. オーナー自身が防火管理者になれますか

なれます。講習を受けて修了証を取得すれば選任できます。スタッフに取らせると、退職のたびに選任し直しと届出が必要になります。食品衛生責任者と同じく、オーナー自身が取得しておくほうが実務的です。


Q. 収容人員が30人未満なら何もしなくていいですか

防火管理者の選任は不要ですが、他の消防関係の手続きは残ります。防火対象物使用開始届出、火を使用する設備等の設置届出などです。とくにシーシャバーは炭を扱うため、消防署への事前相談は早い段階で行ってください。


Q. 建物全体の延べ面積はどうやって調べますか

建物の管理会社やオーナーに確認するのが早い方法です。物件の内見や契約の際に聞いておいてください。判断に迷う場合は、住所を伝えて管轄の消防署に確認することもできます。


まとめ    SUMMARY

▶飲食店は収容人員30人以上で防火管理者の選任が必要
▶収容人員には客席数だけでなく従業員も含まれる
▶甲種・乙種の判定は「建物全体」の延べ面積で行う
▶雑居ビルに入るシーシャバーは、小規模でも甲種になることがある
▶選任される人は防火管理講習の修了が必須
▶選任後は消防計画の作成、設備の点検、訓練の実施などの業務が発生する
▶オーナー自身が取得しておくほうが管理しやすい


開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめ、必要な人数の考え方はスタッフは何人必要かの記事をご覧ください。


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