シーシャバーの飲食店営業許可に必要な図面|3種類の内容と描き方

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。


飲食店営業許可の申請には、施設の構造・設備を示す図面の添付が必要です。窓口でもらう申請書一式に図面用の用紙が入っていますが、何をどこまで描けばいいのか戸惑う方がほとんどです。
ポイントは、図面は「うちの設備はこうなっています」と書面で伝えるための資料だということです。設計図面のような正確さより、必要な設備が揃っていることが分かるかどうかが重要です。


この記事では、必要な図面の種類と、差し戻しの原因になりやすい点を整理します。



図面の提出は必須です    REQUIRED

飲食店営業許可の申請では、「施設の構造及び設備を示す図面」の添付が求められます。提出しなければ申請が受理されません。


保健所が図面を見るのは、現地検査の前に、施設の構造が基準を満たしているかを書面で確認するためです。


事前相談には図面を持っていってください

多くの保健所が、申請前の事前相談を受け付けています。この段階で図面(ラフでも構いません)を持参すると、設備の配置や不足点を具体的に指摘してもらえます。
図面なしで口頭だけの相談になると、一般的なアドバイスしか返ってきません。とくにシーシャバーは保健所にとって件数の多い業態ではないため、図面があるかどうかで相談の質が変わります。


求められる図面は3種類    THREE


図面 描く内容 目的
①施設の構造及び設備を示す図面 店内の間取りと設備の配置 施設の基準を満たしているかの確認
②営業施設付近の見取図 店舗周辺の道路・目印 現地検査で施設の場所を特定するため
③敷地及び建物の平面図 建物全体のフロア図と店舗の位置 建物内のどの区画が対象かを特定するため


求められる図面や様式は自治体によって異なります。記載例は申請先の公式サイトで確認してください。名古屋市の場合は食品取扱施設 営業許可のページに案内があります。


①施設の構造及び設備を示す図面

3つのうち最も重要で、最も手間がかかるものです。店内の間取りを描いたうえで、設備の位置を記載します。


▶調理台・シンク(流し)・手洗い設備
▶冷蔵庫・食器棚・保管設備
▶換気設備(給気・排気)
▶ガス栓・水道の位置
▶トイレ・更衣場所
▶客席・カウンター・調理場の区画


方位(北がどちらか)と縮尺の記載も必要です。保健所の用紙は方眼になっているので、1コマが何メートルかを自分で決めて描きます。


②営業施設付近の見取図

店舗周辺の簡易な地図です。道路や近くの目印になる建物を描き入れ、店舗の場所が分かるようにします。


手描きで構いません。地図サービスを印刷して店舗位置に印を付ける方法もありますが、扱いが自治体によって異なるため事前に確認してください。


③敷地及び建物の平面図

ビルや商業施設のテナントとして入る場合に必要です。建物全体のフロア図を描き、申請対象の区画に印を付けます。


複数階にわたる場合や、大きなビルの場合は関係するフロアの記載を求められることがあります。建物が大きくて描ききれない場合は、管理会社や不動産会社から入手した図面の写しを添付する方法もあります。事前に相談してください。


シーシャバーで注目されやすい点    SHISHA

図面の形式自体は業態を問わず共通ですが、シーシャバーでは次の点が見られやすくなります。


手洗い設備の位置と構造

調理場とトイレ付近の両方に手洗い設備が必要です。シーシャバーは調理スペースを最小限にした設計になりがちですが、手洗い設備を省くことはできません。


また、水栓が再汚染防止構造(レバー式など)になっているかも確認されます。図面に設備名を書くだけでなく、この点も説明できるようにしておいてください。


調理場と客席の区画

客席と調理場が区画されていることが必要です。カウンター越しのオープンな構造であっても、図面上で「ここからここまでが調理場」と分かるように描いてください。


カウンターだけでは区画として認められません。詳しくは保健所検査の設備ルールの記事をご覧ください。


換気設備の記載

シーシャバーは客席の換気設備が大きくなりますが、図面に記載すべきは調理場の換気設備です。客席の煙対策とは別に、調理場に独立した換気が必要になります。


【実務上のポイント】
シーシャバーの図面でよくあるのが、客席の換気ダクトばかり詳しく描かれていて、調理場の換気扇が描かれていないというケースです。
この2つは別物です。設計事務所や内装業者に依頼する場合も、この点を伝えておいてください。


自分で描くか、依頼するか    DIY


  自分で描く 依頼する
向くケース 店舗面積が小さく、設備がシンプル。時間に余裕がある 間取りが複雑。深夜酒類の届出も同時に進める。時間がない
費用 かかりません(保健所の用紙に手描き) 依頼費用に含まれることが多い
注意点 事前相談で修正指示を受ける前提で描く 内装図面がある場合、流用できるか確認する


深夜酒類の届出も予定しているなら注意してください

深夜酒類提供飲食店営業の届出を同時に進める場合、警察署に提出する図面と保健所に提出する図面では、求められる記載事項が異なります。
警察署に出す図面は面積の計算根拠が分かるものが求められるため、保健所用の図面をそのまま使えないことがあります。両方の基準を満たす図面を最初から作っておくほうが、二度手間になりません。


差し戻しの原因になりやすい3点    MISTAKE


①縮尺と方位の記載漏れ

1コマが何メートルに相当するか、北がどちらかを必ず記入してください。これがないと、受付の段階で差し戻されます。


②設備の名称が書かれていない

四角や丸を描いただけでは、何の設備か分かりません。「冷蔵庫」「手洗」「流し」「換気扇(排気)」など、すべての設備に名称を書き込んでください。


③図面と実際の施設が一致していない

現地検査では、提出した図面と実際の設備を照合します。配置がずれていると確認に時間がかかります。


ただし、必要な設備がすべて揃っていれば、多少の違いで不合格になるわけではありません。大きく異なる場合は、完成後の図面に差し替えれば足ります。


【実務上のポイント】
飲食店営業許可は内装工事の完成前でも申請できます。そのため、申請時の図面は「完成予定」の状態を描くことになります。
工事の途中で仕様が変わることはよくあるので、変更が生じたら早めに保健所へ伝えてください。検査当日に初めて分かる、という状態を避けられます。


よくある質問    FAQ


Q. 内装業者の図面をそのまま使えますか

そのまま使えることもありますが、記載事項が足りないことが多くあります。内装図面は施工のための図面なので、手洗い設備の位置や換気扇の種別といった、保健所が見たい情報が省かれていることがあります。不足分を書き足す形で使うのが現実的です。


Q. 手描きでも受け付けてもらえますか

受け付けてもらえます。保健所の用紙は方眼になっており、手描きを前提とした様式です。きれいさより、必要な設備がすべて記載されていて位置関係が分かることのほうが重要です。


Q. 図面はいつ作ればいいですか

内装の設計と同時に作るのが理想です。事前相談にラフ図面を持参し、指摘を受けたうえで設計に反映する。この順番であれば工事後の手戻りを避けられます。工事が終わってから図面を描き始めると、そこで初めて不足に気づくことになります。


まとめ    SUMMARY

▶飲食店営業許可の申請に図面の添付は必須
▶設備配置図・周辺見取図・建物平面図の3種類が求められる
▶縮尺と方位、すべての設備の名称を必ず記載する
▶シーシャバーでは手洗い設備、調理場の区画、調理場の換気が見られやすい
▶客席の煙対策と、調理場の換気は別物として描く
▶深夜酒類の届出も進めるなら、警察署用の図面も見据えて作る
▶事前相談にラフ図面を持ち込むのが、最も確実な進め方


飲食店営業許可の手続き全体はシーシャバーの飲食店営業許可の記事、設備の基準は保健所検査の設備ルールの記事をご覧ください。


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