シーシャバーの消防計画の書き方|炭火と深夜少人数営業の記載ポイント【名古屋市】

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。


防火管理者に選任されたら、消防計画を作成して消防署へ届け出る必要があります。「何を書けばいいのか分からない」という声をよくいただきます。
ポイントは、名古屋市が飲食店向けの作成例を公開しているので、それをベースに自分の店の実情へ落とし込めばよいということです。ゼロから書く必要はありません。


この記事では、各項目の意味と、シーシャバーならではの記載ポイントを解説します。



消防計画は「実情に合わせて」作るもの    PURPOSE

消防計画は、消防署に提出するために作る書類ではありません。火災が起きたとき、誰が何をするのかをあらかじめ決めておくためのものです。


形だけ整えた計画は、いざというときに機能しません。自分の店の営業実態に合わせて書いてください。


名古屋市の作成例を使ってください

名古屋市は、飲食店等向けの消防計画作成例をWord形式で公開しています。
名古屋市「消防計画作成例・地震防災規程作成例ダウンロード」
まずこれをダウンロードして、記入から始めるのが最も効率的です。白紙から書き起こす必要はありません。


消防計画に書く主な項目    ITEMS


▶①自衛消防の組織(役割分担)
▶②火気使用箇所の管理方法
▶③避難経路・避難口の管理
▶④消防用設備等の維持管理
▶⑤従業員への防火教育の計画
▶⑥消火・避難訓練の実施計画
▶⑦地震発生時の対応
▶⑧防火管理維持台帳の整備


項目ごとの書き方    HOW TO


①自衛消防の組織

火災が発生したとき、誰が119番通報し、誰が初期消火を担当し、誰が客の避難誘導をするのかを具体的に書きます。


「防火管理者が全部やる」ではなく、スタッフごとに役割を割り当ててください。


②火気使用箇所の管理

シーシャバーの主な火気は炭火です。次の点を具体的に記載します。


▶炭の着火場所はどこか
▶炭の保管場所と保管方法
▶使用中の監視体制
▶閉店時の消火確認の手順
▶火元責任者は誰か


火元責任者は、防火管理者が兼ねても構いません。


③避難経路・避難口の管理

避難経路図を添付し、廊下や非常口の前に物を置かないというルールを明記します。


個室のあるシーシャバーでは、個室ごとの避難経路も明確にしておいてください。視線を遮る仕切りは、避難時には障害物にもなります。


④消防用設備等の維持管理

消火器や自動火災報知設備などについて、点検の時期と担当を書きます。点検の記録も残す必要があります。


⑤従業員への防火教育

いつ、どのような内容で教育を行うかを書きます。シーシャバーは入れ替わりのあるアルバイトが多い業態なので、採用時の教育を計画に組み込んでおくと実効性が上がります。


⑥消火・避難訓練

飲食店のような特定防火対象物では、消火訓練と避難訓練を年2回以上実施することとされています。いつ、どのような内容で実施するかの計画を書き、実際に行った記録も残してください。


⑦地震発生時の対応

地震が起きたときの初動、客の誘導、火気の停止手順などを記載します。


南海トラフ地震臨時情報への対応が必要です

かつての「東海地震注意情報」「警戒宣言」を前提とした記載は、現在の運用と合いません。東海地震の予知を前提とした情報発表の仕組みは見直され、現在は南海トラフ地震臨時情報による対応に移行しています。
古いひな型を流用すると、この部分が現行と食い違います。必ず名古屋市が公開している最新の作成例をお使いください。


名古屋市では、消防計画とは別に地震防災規程の届出が必要になる場合があります。該当するかどうかは所轄の消防署(予防課)にご確認ください。


⑧防火管理維持台帳

点検の記録、訓練の記録、教育の記録などをまとめて保管する台帳です。作って終わりではなく、運用の記録を残していく部分です。


シーシャバー特有の記載ポイント    SHISHA


深夜・少人数営業時の対応

シーシャバーは深夜に営業することが多く、スタッフが1〜2名になる時間帯があります。


「従業員が少ない時間帯に火災が発生したら、誰がどう対応するのか」を具体的に想定して書いてください。役割分担表が5名体制を前提に作られていても、深夜3時に1名しかいなければ機能しません。


【実務上のポイント】
営業時間帯ごとに体制を分けて書くのが実務的です。「18時〜24時は3名体制」「24時以降は1〜2名体制」というように、実態に即した書き分けをしてください。
1名しかいない時間帯なら、初期消火より通報と避難誘導を優先する、といった判断まで決めておくことに意味があります。必要な人数の考え方はスタッフは何人必要かの記事をご覧ください。


炭の取り扱い

シーシャバーで最も具体性が求められる部分です。着火から廃棄までの流れを書いてください。


▶着火は専用の炭焼き器で行い、可燃物から離す
▶使用済みの炭は金属製の容器で完全に消火してから廃棄する
▶閉店時は炭焼き器の電源とすべての炭の状態を確認する
▶確認は誰が行い、どこに記録するか


閉店時の消火確認は、記録に残す形にしておくことをおすすめします。スタッフが交代しても運用が続きます。


換気設備の扱い

シーシャバーは大きな換気設備を稼働させています。火災時に換気を止めるのか動かし続けるのかは、消防署と相談して決めておいてください。ダクトは煙の経路にもなります。


提出と変更届    SUBMIT

消防計画ができたら、消防計画作成(変更)届出書に添付して、所轄の消防署(予防課)へ提出します。


様式は改定されることがあるため、提出前に最新の様式を確認してください。


また、スタッフ体制や店舗のレイアウトが変わった場合など、計画の内容に変更が生じたときは変更の届出が必要です。


【実務上のポイント】
消防計画は「一度出したら終わり」の書類ではありません。席のレイアウトを変えた、営業時間を変えた、スタッフ体制が変わった。こうした変更のたびに、計画と実態がずれていきます。
年に一度は読み返して、いまの店の実態と合っているか確認してください。


よくある質問    FAQ


Q. 作成例をそのまま出してもいいですか

おすすめしません。作成例はあくまでひな型です。シーシャバーの場合、炭火の管理と深夜少人数営業という2点は、一般的な飲食店のひな型ではカバーされません。ここだけでも自分の店の実態に書き換えてください。


Q. 訓練は本当に年2回やらないといけませんか

特定防火対象物では、消火訓練と避難訓練を年2回以上実施することとされています。大がかりなものである必要はありません。消火器の位置と使い方をスタッフ全員で確認する、避難経路を実際に歩いてみる。記録を残すことが重要です。


Q. 防火管理者の選任義務がない店でも消防計画は必要ですか

消防計画の作成義務は防火管理者の選任と結びついています。選任義務がなければ、計画の作成義務も生じないのが原則です。ただし、防火対象物使用開始届出などの手続きは別に必要です。選任が必要かどうかは防火管理者選任届の記事で確認してください。


まとめ    SUMMARY

▶名古屋市が公開している飲食店向けの作成例をベースにする
▶自衛消防の組織は、スタッフごとに役割を割り当てて書く
▶シーシャバーの火気は炭火。着火から廃棄までを具体的に記載する
▶消火・避難訓練は年2回以上。記録を残す
▶地震対応は南海トラフ地震臨時情報にもとづく現行の運用に合わせる
▶深夜の少人数営業時にどう動くかを、時間帯ごとに書き分ける
▶レイアウトや体制が変わったら変更の届出をする


「消防署に出すために書く」のではなく「実際に使える計画を作る」という意識で取り組んでください。それが結果的に、店とスタッフを守ります。


開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめをご覧ください。


消防計画の作成から届出まで、消防関係の手続きをまとめて対応しています。


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