著者:行政書士 猪飼久遠 | シーシャ開業専門の行政書士
「過去に前科があるけど、シーシャバーを開業できるのか?」という相談を受けることがあります。
結論から言うと、犯罪歴があっても開業できるケースは多いです。 重要なのは「何の法律に違反したか」と「いつの話か」の2点です。この記事では、シーシャバー開業に必要な許可ごとの欠格事由を正確に解説します。
欠格事由とは、許可や届出を受けられない条件のことです。欠格事由に該当する場合、申請しても許可が下りません。重要なのは、欠格事由は許可の種類ごとに別々に定められているという点です。
シーシャバーの開業には主に「飲食店営業許可」「深夜酒類提供飲食店営業の届出」「たばこ小売販売許可」の3つが関係します。それぞれで欠格事由の内容が異なります。
飲食店営業許可の欠格事由は、食品衛生法第55条に定められています。
食品衛生法第55条(欠格事由)
食品衛生法またはこれに基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
ここで重要なのは、欠格事由の対象が「食品衛生法違反」に限定されている点です。
食品衛生法以外の犯罪歴は欠格事由にならない
飲食店営業許可における欠格事由はあくまで「食品衛生法違反」のみです。それ以外の犯罪歴は、飲食店営業許可の欠格事由にはなりません。また、食品衛生法違反であっても、刑の執行終了から2年が経過していれば申請できます。
深夜0時以降にお酒を提供する営業をする場合、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。
・深夜酒類の届出には欠格事由の定めがない
深夜酒類提供飲食店営業の届出には、法律上、欠格事由の定めがありません。ただし、この届出は飲食店営業許可を取得していることが前提です。飲食店営業許可の欠格事由に該当する場合は、そもそも許可が取れないため、届出もできません。
シーシャのフレーバー(製造たばこ)を店頭で販売する場合、たばこ小売販売許可が必要です。
たばこ小売販売許可の欠格事由(たばこ販売の場合は拒否事由)はたばこ事業法第23条に定められています。
たばこ事業法第23条(拒否事由)
たばこ事業法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
飲食店営業許可と同様に、欠格事由の対象は「たばこ事業法違反」に限定されています。
たばこ事業法以外の犯罪歴は欠格事由にならない
たばこ小売販売許可の欠格事由はあくまで「たばこ事業法違反」のみです。それ以外の犯罪歴は欠格事由にはなりません。また、たばこ事業法違反であっても、刑の執行終了から2年が経過していれば申請できます。
| 許可・届出の種類 | 欠格事由(拒否事由)となる犯罪 | 期間 |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 食品衛生法違反のみ | 罰金以上の刑・執行終了から2年以内 |
| 深夜酒類提供飲食店営業の届出 |
欠格事由の定めなし |
― |
| たばこ小売販売許可 | たばこ事業法違反のみ | 罰金以上の刑・執行終了から2年以内 |
欠格事由の基準は「罰金以上の刑」です。罰金刑も懲役刑もどちらも該当します。一方で、罰金より軽い「科料」や「拘留」は欠格事由に含まれません。
執行猶予期間中は「執行を受けることがなくなった日」に該当しないため、欠格事由に該当します。執行猶予が満了してから2年が経過した後に申請できます。
2年の経過は欠格事由の解消であり、許可が「必ず下りる」ことを保証するものではありません。他の許可要件(設備基準・立地条件など)も満たす必要があります。また、個別のケースによって判断が異なる場合があるため、不安な場合は事前に専門家に相談することをおすすめします。
シーシャバー開業における欠格事由のポイントは2つです。
欠格事由の2つのポイント
① 何の法律に違反したかが重要。飲食店営業許可は食品衛生法違反のみ、たばこ小売販売許可はたばこ事業法違反のみが欠格事由。それ以外の犯罪歴は対象外。
② 刑の執行終了から2年が経過しているかが基準。2年を過ぎていれば欠格事由には該当しない。
「犯罪歴があるから開業できない」と諦める前に、何の法律に違反したのか・いつの話なのかを確認してください。多くのケースで開業の道は開かれています。個別の状況については、お気軽にご相談ください。
本記事は一般的な解説です
欠格事由の判断は個別の状況によって異なります。過去の犯罪歴がある場合は、申請前に必ず専門家に確認することをおすすめします。