たばこ販売許可の審査2か月に何をするか|シーシャバー開業の助走期間

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。


たばこ販売許可の審査には約2か月かかります。「2か月も待つのか」と思われるかもしれませんが、この期間は待つだけの時間ではありません。
ポイントは、飲食店営業許可さえあれば、たばこ許可が下りる前でも飲食店としての営業は始められることです。この2か月を助走期間に変えられるかどうかで、開業後の立ち上がりが変わります。


この記事では、審査期間の正体と、並行して進めるべきことを整理します。



「標準処理期間2か月」の起算点    PERIOD

たばこ販売許可の標準処理期間は、「申請書を受理した日の属する月の末日から2月以内」とされています。



注意したいのが起算点です。受理された日からではなく、「申請月の末日から」数え始めます。


月の前半に申請したほうが実質的に早く進みます

5月1日に申請しても、5月28日に申請しても、起算点はどちらも5月31日です。
つまり、月初に申請すれば実質的に約3か月分の余裕がある一方、月末に申請すればちょうど2か月ということになります。書類が揃ったら、月をまたぐ前に出してください。


2か月で終わらないこともあります

標準処理期間は行政が自主的に定めた目安であり、法的な期限ではありません。審査の内容によっては、これを超えることもあります。
開業日から逆算して、なるべく早い段階で申請するのが鉄則です。


審査期間中に何が起きているか    PROCESS

申請者から見れば待っているだけですが、その間に次のような流れが進みます。


▶①JT支社が申請書類を受理する(形式の確認。不備があれば補正を求められます)
▶②JTの担当者が予定営業所を訪問して現地調査を行う
▶③財務(支)局が許可基準への適合を審査する
▶④許可・不許可の決定が通知される
▶⑤許可の場合は登録免許税を納付する(小売販売15,000円/出張販売3,000円)


申請者側でできるのは、現地調査に立ち会うことくらいです。だからこそ、この期間を他の準備に充てる必要があります。


現地調査で見られること

小売販売業許可と出張販売の許可では、確認されるポイントが異なります。


  小売販売業許可 出張販売の許可
申請者 店舗の経営者 協力するたばこ小売販売業者
確認の重点 最寄りのたばこ販売店との距離、地域の区分の判定、営業所の位置 出張販売場所の現況(販売場所・設備・外観)
審査のハードル 距離基準と取扱高基準があり高め 比較的通りやすい
登録免許税 15,000円 3,000円


【実務上のポイント】
小売販売業許可では、地域の区分(繁華街か市街地かなど)の判定が現地調査で行われます。申請前の段階では、どの区分になるかが確定しません。
そのため、契約前にJT支社や財務局へ「この場所で距離基準を満たしそうか」を相談しておくことをおすすめします。物件を決めてから不許可になるリスクを減らせます。
どちらの許可で進めるかの判断は小売販売と出張販売のどちらを選ぶべきかの記事をご覧ください。


並行して進められること    PARALLEL

たばこ許可の審査中に手が止まっていれば、開業が2か月まるまる遅れるのと同じです。次の手続きはすべて並行して進められます。


飲食店営業許可(保健所)

たばこ許可とは管轄も審査もまったく別です。事前相談・図面作成・申請・現地検査と進めておけば、たばこ許可の結果が出る頃には手元にある状態を作れます。詳しくは飲食店営業許可の記事をご覧ください。


深夜酒類提供飲食店営業の届出(警察署)

午前0時以降に酒類を提供するなら必要です。飲食店営業許可が下りたらすぐ届出を出すのが効率的です。届出から10日で営業を始められます。詳しくは深夜酒類提供飲食店営業届出の記事をご覧ください。


消防関係の手続き

消防署への事前相談は早い段階で行ってください。シーシャバーは炭を扱うため、火気の管理について説明を求められます。防火管理者の選任が必要な場合は、講習の日程も押さえておいてください。詳しくは防火管理者選任届の記事をご覧ください。


内装工事・設備の導入

審査中に工事を進め、設備を入れ、保健所の検査を通しておく。こうすれば、たばこ許可が下りた日から営業を始められる状態になります。


許可後は速やかに営業を開始する必要があります

たばこ事業法上、正当な理由がないまま許可を受けてから一定期間内に営業を開始しない場合、許可の取消しの対象になり得ます。
「許可は取れたが内装工事が終わっていない」という状態は避けてください。たばこ許可の申請時期と工事のスケジュールは、必ず連動させて計画してください。


審査中に「バー営業」で助走をつける    PRE-OPEN

見落とされがちですが、たばこ販売許可がなくても、飲食店営業許可があれば飲食店としての営業は始められます。


つまり、審査中にバーとして先に開店し、ドリンクを提供しながら客を集めることができます。シーシャの提供は許可が下りるまでできませんが、その間に認知を作っておけば、解禁のタイミングで一気に動き出せます。


▶SNSでの発信/営業中の雰囲気を発信し、シーシャ開始への期待感を作る
▶プレオープン/知人を招いて口コミの種をまく
▶Googleビジネスプロフィールの整備/店舗情報を登録し、口コミを集め始める
▶オペレーションの慣らし/スタッフの動き方を本番前に固める


【実務上のポイント】
最後の項目が実は大きいところです。シーシャのセットアップと炭の交換は、慣れるまで時間がかかります。
ドリンクだけの営業で接客とレジの流れを固めておけば、シーシャ解禁後に覚えることを減らせます。いきなり全部を同時に始めるより、負荷が下がります。オペレーションの考え方はスタッフは何人必要かの記事、集客の組み立てはシーシャバーの集客の記事をご覧ください。


許可が下りる前にシーシャを提供してはいけません

許可を受けずに製造たばこの小売販売を業として行えば、たばこ事業法の罰則の対象になります。
さらに、たばこの対面販売がなければ健康増進法上の喫煙目的施設の要件を満たせないため、店内で喫煙させること自体ができません。
「もうすぐ許可が下りるから」という理由でのフライングは、絶対に避けてください。


2か月のスケジュール例    SCHEDULE


時期 やること
申請直後 保健所へ事前相談、消防署へ事前相談、内装工事の着工
1か月目 JTの現地調査に立会い。内装工事を進める。SNSアカウントの開設
1か月半 飲食店営業許可の申請・現地検査。Googleビジネスプロフィールの登録
2か月目 飲食店営業許可の取得。バー営業を開始。深夜酒類の届出
たばこ許可の交付後 シーシャの提供を開始


この流れを最初から設計しておくことが、最も無駄のない進め方です。


よくある質問    FAQ


Q. 審査を早める方法はありますか

ありません。ただし、書類の不備があれば補正で時間が延びるため、最初から正確に整えることが実質的な短縮になります。また、月の前半に申請すれば起算点までの日数が加わるので、その分だけ余裕が生まれます。


Q. 現地調査には必ず立ち会う必要がありますか

日程はJTから連絡が来ます。店舗の状況を説明できる方の立会いが求められます。出張販売の場合、申請者は協力事業者ですが、調査の対象は自店です。日程の調整は早めに済ませてください。


Q. 不許可になったらどうなりますか

行政不服審査法にもとづく不服申立てができます。ただし、そこから覆すのは容易ではありません。とくに小売販売業許可は距離基準の問題なので、物件を変えない限り結論は変わりません。だからこそ、契約前の事前相談が重要になります。


まとめ    SUMMARY

▶標準処理期間は「申請書を受理した日の属する月の末日から2月以内」
▶起算点が月末なので、月の前半に申請したほうが実質的に早い
▶標準処理期間は目安であり、超えることもある
▶審査中に飲食店営業許可・消防手続き・内装工事を並行で進める
▶飲食店営業許可があれば、たばこ許可の前でもバーとして営業できる
▶許可後は速やかに営業を開始する必要があるため、工事と連動させる
▶許可が下りる前のシーシャ提供は絶対に行わない


2か月の待ち時間を助走期間に変えられるかどうかで、開業後の売上の立ち上がりが変わります。


開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめをご覧ください。


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