シーシャ開業の費用はいくら?|初期投資600万〜1,300万円のリアルな内訳を行政書士が解説

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点にシーシャバーの開業支援を取り扱う行政書士です。約2年半、名古屋市内のシーシャバーで勤務してきました。


「シーシャバーの開業って、結局いくらかかるのか」——ご相談で最も多い質問です。「300万円で始められる」という記事も見かけますが、換気設備と運転資金を織り込んだ数字とは思えません。
ポイントは、コストを最も左右するのが換気設備であり、そこを削ると営業そのものが成り立たなくなることです。


この記事では、名古屋市の繁華街に15坪の店舗を構えることを想定し、物件取得から運転資金まで含めた費用を整理します。



開業費用の目安    TOTAL


15坪・名古屋市繁華街を想定した場合

600万円 〜 1,300万円
居抜きの最安モデルで600万円が下限。スケルトンから換気設備にこだわると800〜1,000万円が現実的な着地です。


▶①換気設備がコストの分岐点/シーシャ特有の排煙と一酸化炭素対策に、通常の飲食店以上の費用がかかります
▶②許可の組み合わせで費用が変わる/飲食店営業許可に加え、たばこ販売許可、深夜酒類、消防の届出
▶③運転資金の確保/集客が安定するまでの半年分を初期投資に組み込むことが、資金ショートの回避につながります


費用の全体像    BREAKDOWN


項目 居抜き スケルトン 備考
物件取得費 100万円 250万円 保証金・礼金・仲介手数料等
内装・設備工事 150万円 450万円 換気・排煙設備が最大の変動要因
備品・什器 100万円 200万円 シーシャ本体15〜20台、ソファ等
許可申請・報酬 20万円 40万円 行政書士報酬+実費
初期在庫・広告 30万円 50万円 フレーバー、酒類、HP制作
運転資金(6か月) 200万円 350万円 家賃、人件費、光熱費
合計 600万円 1,340万円  


①物件取得費|100万〜250万円    PROPERTY

保証金(敷金)・礼金・仲介手数料・前家賃で構成されます。名古屋市の繁華街(栄・錦・名駅)で10〜15坪なら、家賃は月15万〜25万円が相場感です。


シーシャバーの物件探しは、通常の飲食店より条件が厳しくなりがちです。煙と匂いが出る業態のため、オーナーが入居を嫌がる、保証金を多めに求められるといったことが起こります。


🎙 現場より
繁華街のビル上階(2〜3階)が現実的な選択肢です。1階の路面店は家賃が跳ね上がりますし、シーシャバーの客層は隠れ家感を求める傾向があるので、上階でもハンデになりにくい。むしろ雑居ビルの上階のほうが、オーナーも煙に寛容なことが多いです。


契約前に必ず確認すべき3点

▶用途地域が深夜営業に適合しているか
▶契約書に深夜営業を制限する特約がないか
▶換気ダクトの工事が可能か
これらは契約後に判明すると取り返しがつきません。詳しくは賃貸契約書チェックリストの記事出店できないエリアの記事をご覧ください。


②内装・設備工事|150万〜450万円    INTERIOR

最もコストが変動する項目で、その変動要因が換気設備です。


換気設備はシーシャバーの「肺」です

シーシャは炭を使って加熱するため、一酸化炭素が発生します。通常の飲食店の換気設備では能力が足りず、客席と作業スペースの両方に十分な給排気を確保する必要があります。


換気を削ると、スタッフの健康リスクが上がるだけでなく、保健所や消防署の指導につながることもあります。


工事項目 居抜き スケルトン
換気・排煙設備 50万〜100万円 150万〜250万円
電気・照明工事 20万〜40万円 50万〜80万円
給排水工事 10万〜20万円 30万〜50万円
内装仕上げ(壁・床・天井) 30万〜60万円 100万〜200万円
防音工事(必要に応じて) 20万〜40万円 30万〜60万円


スケルトンからの場合、坪単価は30万〜50万円が相場感です。ただし換気設備の仕様とビルの構造(ダクトの取り回し)で大きく上下します。


🎙 現場より
夏場は炭の熱がスタッフに直撃します。換気が弱い店では、実際に体調を崩すリスクがある。ワンオペ・2オペが多いシーシャ店では逃げ場がないので、空調と換気の能力は「快適さ」ではなく「働けるかどうか」の問題です。内装業者を選ぶとき、シーシャバーの施工実績があるかを必ず聞いてください。実績がないと換気の設計を甘く見積もられます。


【実務上のポイント】
深夜酒類提供飲食店営業の届出をする場合、客室の照度を20ルクス以下にできません。シーシャバーは暗めの雰囲気を好む業態ですが、基準を下回ると届出が受理されません。
照明計画は内装設計の段階で織り込んでください。仕上がってから測って足りなかった場合、追加工事が必要になります。構造設備の条件は深夜酒類提供飲食店営業届出の記事で解説しています。


③備品・什器|100万〜200万円    EQUIPMENT


品目 数量目安(15坪) 費用
シーシャ本体 15〜20台 40万〜80万円
ソファ・テーブル・椅子 席数に応じて 30万〜80万円
炭焼き器(バーナー) 2〜4台 5万〜15万円
冷蔵庫・製氷機・シンク 各1台 15万〜30万円
食器・グラス・灰皿等 一式 5万〜10万円
POSレジ・決済端末 1セット 5万〜10万円


🎙 現場より
シーシャ本体は1台2万〜7万円くらいの幅があります。安すぎるものは吸い心地が悪くて、客の満足度に直結します。開業時に全台をハイエンドにする必要はないですが、メイン機として5台くらいは品質の良いものを入れておいたほうがいい。炭焼き器は壊れやすいので予備を含めて多めに。消耗品だと割り切ってください。


④許可申請・報酬|20万〜40万円    LICENSE


許可・届出 実費 報酬の目安 必要な場合
飲食店営業許可 名古屋市16,000円
愛知県18,000円
5万〜8万円 ほぼ全店
たばこ出張販売許可 登録免許税3,000円 5万〜15万円 店内で喫煙させる場合
深夜酒類提供飲食店営業の届出 なし 8万〜15万円 午前0時以降に酒類提供
消防関係の届出 なし 3万〜5万円 全店


個別に依頼すると合計21万〜43万円程度、セットで依頼すれば20万〜40万円というのが一般的な水準です。


【実務上のポイント】
許可申請の費用を「節約できる項目」と考える方がいますが、シーシャバーの場合は許可の取り方を間違えると開業そのものができなくなります。
たばこ販売許可がなければ喫煙目的施設として成立せず、深夜酒類の届出が通らなければ深夜の酒類提供ができません。どちらも売上の根幹に関わります。
なお、飲食店営業許可や消防の届出は書式が比較的シンプルなので自力でも対応できます。難易度が高いのは、たばこの出張販売許可(協力事業者の確保が前提)と、深夜酒類の届出(図面の基準が厳しい)です。


⑤初期在庫・広告|30万〜50万円    STOCK


フレーバーの初期在庫

開業時に揃えるフレーバーは20〜30種類が目安です。50gパックで1,500〜2,000円程度。20種を2パックずつで6万〜8万円といったところです。常連がつくまでは定番を中心に揃え、反応を見ながら入れ替えるのが堅実です。


酒類の初期在庫

深夜酒類の営業をする場合、初期仕入れに10万〜15万円程度。シーシャバーはドリンクの回転率が低い傾向があるため、在庫は絞って始めるのが鉄則です。


広告・HP制作

Googleビジネスプロフィールへの登録は無料で、必須です。Instagram運用も初期費用ゼロで始められます。HP制作は簡易なもので5万〜15万円。シーシャバーの集客はSNSとGoogleマップが主戦場なので、HPに大金を投じる優先度は高くありません。


⑥運転資金(6か月分)|200万〜350万円    CASH

開業直後から黒字になる店はまずありません。集客が安定するまでの半年分の固定費を、初期投資に組み込んでおいてください。


月額固定費 目安(15坪・名古屋市繁華街)
家賃 15万〜25万円
人件費 20万〜45万円
光熱費(換気の常時稼働を含む) 5万〜10万円
フレーバー・炭等の仕入れ 5万〜10万円
月額合計 45万〜90万円


6か月分で270万〜540万円。初期投資としては最低200万円、標準で350万円を計上してください。残りは開業後の売上で賄う前提です。


人件費を甘く見積もらないでください

アルバイト1名のフルシフトは、時給1,200円×12時間×30日でおよそ45万円/月です。
「最初はオーナーが全部やるから人件費ゼロ」という計画を立てる方がいますが、12時間×30日のワンオペは持続できません。シフトの一部をカバーする1名分(月20万〜45万円)は見込んでおかないと、開業直後にオーナーが倒れて店が回らなくなります。必要な人数の考え方はスタッフは何人必要かの記事をご覧ください。


【実務上のポイント】
光熱費も見落とされがちです。シーシャバーは換気設備を営業時間中ずっと回し続けます。夏場はエアコンと換気の同時稼働で電気代が跳ね上がります。見積もりは多めに取っておいてください。


資金調達の選択肢    FUNDING


日本政策金融公庫の創業融資

開業資金の調達方法として、現実的な選択肢のひとつが日本政策金融公庫の創業融資です。


制度が改編されています

かつての「新創業融資制度」は廃止され、創業支援の制度は再編されています。融資限度額や自己資金の要件も改定されているため、古い記事に書かれた金額や条件をそのまま前提にしないでください。
最新の制度内容・要件は、日本政策金融公庫の公式サイトまたは窓口でご確認ください。


融資を受けるには創業計画書の提出が必要です。ここで重要なのは、シーシャバーという業態の収益性を分かりやすく説明することです。客単価、回転率、フレーバーの原価率、月間の来客見込みを、具体的な数字で示す必要があります。


その他の調達手段

自治体の制度融資や、信用金庫の融資も選択肢に入ります。いずれの場合も、創業計画書と収支シミュレーションの質が審査を左右します。


回収シミュレーション    RETURN

開業費用600万円のケースで試算します。


項目 数値
客単価 3,500〜4,000円(シーシャ+ドリンク1〜2杯)
1日の来客数 15人(平日10人・週末20人の平均)
月間売上 3,750円 × 15人 × 26日 = 約146万円
月間経費 約70万〜90万円
月間利益 約56万〜76万円
600万円回収の目安 約8〜11か月


順調にいけば1年以内に回収できる計算です。ただしこれは「毎日15人来る」前提であり、開業直後はこの数字に届かないのが普通です。だからこそ運転資金6か月分が必要になります。


🎙 現場より
名古屋の繁華街でも、平日の夜に15人来れば「まあまあ」です。週末に20人を超えればいいほう。シーシャは滞在時間が長い(1〜2時間)ので回転率は低い。客単価3,500〜4,000円はシーシャ1台+ドリンク1〜2杯のリアルな数字です。ここから上げるなら、フードの追加かプレミアムフレーバーの導入が必要になります。


開業費用でやりがちな3つの失敗    MISTAKE


①換気設備をケチる

最もやってはいけない判断です。煙がこもれば客が離れ、スタッフの健康にも影響します。保健所や消防署の指導で追加工事が必要になれば、結局もっと費用がかかります。


②許可申請を後回しにする

内装工事を先に始めて許可申請を後回しにするパターンです。たばこの出張販売許可は、協力事業者の選定から許可までを含めると数か月かかります。内装が完成しても許可がなければ営業できません。工事と許可申請は同時並行で進めてください。詳しくはたばこ出張販売許可の記事をご覧ください。


③運転資金を計上せずに開業する

「開業資金=初期投資」だと思い込んで、運転資金をゼロで始めるケースです。開業後3か月は売上が読めません。月45万〜90万円の固定費を払えなくなって半年で閉店、というのは珍しい話ではありません。


まとめ    SUMMARY

▶15坪・名古屋市繁華街で600万〜1,300万円が目安
▶コストを最も左右するのは換気設備。居抜きでも50万〜100万円、スケルトンなら150万〜250万円
▶許可申請は実費と報酬あわせて20万〜40万円程度
▶運転資金6か月分(200万〜350万円)を初期投資に組み込む
▶人件費は「オーナーが全部やる」前提で組まない
▶深夜営業をするなら照度20ルクスの基準を照明計画に織り込む
▶公庫の創業融資は制度が改編されている。最新の要件を確認する


開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめをご覧ください。


参考情報
・日本政策金融公庫 創業計画書等の様式
・厚生労働省 受動喫煙対策
・財務省 製造たばこの小売販売業の許可
※金額はいずれも2026年9月時点の目安です。物件・工事内容によって大きく変動します。


開業スケジュールと費用の見通しを立てる段階からご相談いただけます。


初回相談は無料です

「この予算で開業できるか」という確認だけでも構いません。LINEなら夜間・土日も対応します。


\『開業費用の相談』と送るだけ/