シーシャのフレーバーは販売できる?物販・持ち帰りの許可を解説

この記事は、行政書士久遠事務所の代表が執筆しています。当事務所代表は、シーシャバーでの現場経験を持つ行政書士です。風俗営業許可・たばこ販売許可・飲食店営業許可を中心に、シーシャ・水たばこ業態の開業支援を専門としています。


「シーシャのフレーバーをお店で売りたい」「お客さんに持ち帰ってもらえる物販を始めたい」——こうしたご相談が最近増えています。


結論から言うと、シーシャのフレーバー(水たばこ)の販売には、たばこ販売の許可が必要です。


普通の雑貨や食品とは扱いがまったく違います。


この記事では、シーシャのフレーバーを物販・持ち帰りで売る場合に必要な許可を、財務省の公式情報をもとに整理します。これから店を開く方にも、すでに営業中で物販を足したい方にも役立つ内容です。 


シーシャ機材の販売についての許可については別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。【シーシャ機材の物販に古物商許可は必要?シーシャの物販をするときの注意点】



そもそもシーシャのフレーバーは「たばこ」なのか


まず大前提として、シーシャのフレーバーは法律上「製造たばこ」として扱われ、たばこ事業法の規制対象です。


そのため、フレーバーを消費者に販売するには、たばこ事業法に基づく許可が要ります。具体的には、製造たばこの小売販売(消費者への販売)を業として行う者は、営業所ごとに財務大臣の許可を受けなければならない、と法律で定められています(たばこ事業法第22条)。


現場の声
シーシャバーで働いていた頃、「フレーバーだけ買って帰りたい」というお客さんは想像以上に多くいました。気に入った味を家でも楽しみたいというニーズは確実にあります。ただ、ここで「じゃあ売りましょう」と安易に始めてしまうと、無許可販売になりかねません。フレーバーは雑貨ではなく「たばこ」だという感覚を、まず持っておくことが大切です。


フレーバーを売るための2つの許可ルート


シーシャのフレーバーを売るための許可には、大きく2つのルートがあります。


①自分で「たばこ小売販売業許可」を取る


これは、いわゆる「たばこ屋さん」やコンビニが取得している許可と同じものです。自分の店を営業所として、財務大臣(窓口はJT=日本たばこ産業の各支社)に申請します。


ただしこのルートには距離基準と取扱高基準という厳しい壁があります。近くに既存のたばこ販売店があると許可が下りないことが多く、シーシャ店が単独で取得するのは現実的に難しいケースが少なくありません。


②たばこ小売業者の「出張販売許可」を借りる


もう一つが、すでにたばこ小売販売許可を持っている業者(多くはシーシャのフレーバー仕入先)に、あなたの店を「出張販売所」として申請してもらう方法です。


この出張販売許可は、製造たばこ小売販売業者が、その営業所以外の場所に出張して小売販売をする際に必要な許可です(たばこ事業法第26条)。手続上は、たばこ小売業者が申請者となり、シーシャ店はその出張販売所になることに同意し、業務委託契約(覚書)を結ぶ形になります。


距離基準や取扱高基準がないため、こちらのルートを選ぶシーシャ店が多いのが実情です。


出張販売先でフレーバーの「物販・持ち帰り」はできるのか


ここが今回の核心です。「店内でシーシャを提供する」のはイメージしやすいですが、「フレーバーを箱で売って持ち帰ってもらう」物販は出張販売許可の範囲に入るのでしょうか。


答えは「できる」です。


出張販売許可が認めているのは「対面販売」であって、店内で吸わせるか持ち帰らせるかを区別していません。お客さんがフレーバーを買って持ち帰る行為も、たばこ小売業者の商品を対面で販売する行為に含まれます。


実際、フレーバーの卸売・小売を行う業者が、この出張販売の仕組みを使って取引先のシーシャ店を出張販売所として登録し、店頭でのフレーバー販売を可能にしている例があります。


コラム:タバコ出張販売許可でもシーシャフレーバーは販売できるが…


タバコ出張販売許可を取得していれば、シーシャフレーバーを販売すること自体は可能です。


しかし、たばこ製品は法律により販売価格が定められているため、出張販売許可のみでは小売店向けの卸価格で仕入れることができません。そのため、仕入れ価格に利益を上乗せして販売することが難しく、実質的には送料や管理コストを負担して販売しているような状態になってしまいます。


このような理由から、シーシャフレーバーを店舗で対面販売しているシーシャ店はそれほど多くありません。実際に対面販売を行っている店舗の多くは、たばこ小売販売業許可を取得して営業しています。



注意:フレーバー「物販だけ」の店は出張販売所になれない


ただし、重要な落とし穴があります。


 フレーバーを売るためだけの物販店は、出張販売所として認められません。


財務省の審査基準である「製造たばこ小売販売業許可等取扱要領」では、出張販売所として認められる場所を次のように定めています。


劇場、旅館、飲食店、駅、事務所その他これらに準ずる閉鎖性があり、かつ、消費者の滞留性の強い施設内の場所


そのうえで、出張販売場所が「小売業を営むための店舗である場合」は許可を受けることができない、と明記されています。
この「小売業を営むための店舗」とは、たばこ許可の有無を問わず、物品販売を業とする店舗全般を指します。つまりフレーバーを売ることが主目的の物販店は、それ自体が「小売店舗」に当たり、出張販売所の対象から外れるのです。


これは、より厳しい要件をクリアして許可を得ている正規のたばこ小売業者との競合を避けるための制度設計です。


コラム:物販中心のシーシャ店で注意すべき許可の考え方


コンビニは一般的にすべて「たばこ小売販売業許可」を取得しており、いわゆる出張販売許可の枠組みとは異なります。これは、コンビニのような店舗は流動性が高く、継続的な対面販売・常時営業が前提となるため、出張販売の対象としては想定されていないためです。その結果、たばこ出張販売許可のみでは、対面でのたばこ販売が認められないケースが大半となります。


実務上、「物販メインの小さなシーシャ屋をやりたい」という相談を受けることがありますが、この点は特に注意が必要です。お客さんが店舗に滞在し、シーシャを吸うという飲食店としての実態がある場合、その場でのフレーバー物販は一定の整理のもとで運用されることがあります。


一方で、シーシャの提供を行わず、物販のみで成立させようとする場合には、出張販売の枠組みから外れてしまう可能性があり、想定していた許可体系とずれが生じることがあります。


そのため開業設計の段階で、「自店が飲食・提供を伴う店舗なのか、それとも物販専業なのか」という実態を明確にしておくことが、後々のトラブル回避につながります。


まとめ:フレーバー物販を始める前のチェックポイント


シーシャのフレーバーを売るうえで押さえるべき点を整理します。



フレーバー(水たばこ)は「製造たばこ」であり、販売には許可が必要
許可は「自分で小売販売許可を取る」か「仕入先業者の出張販売許可を借りる」の2ルート
シーシャバー店内なら、持ち帰りを含むフレーバー物販は出張販売の範囲でできる
ただしフレーバー物販「専門」の店は、出張販売所として認められない



シーシャの物販は、制度を正しく理解すれば店舗の売上の柱の一つになり得ます。逆に許可関係を曖昧にしたまま始めると、無許可販売のリスクを抱えることになります。開業前・物販導入前の段階で、自店の実態に合った許可ルートを確認しておきましょう。



シーシャの開業・物販の許可についてご相談ください
行政書士久遠事務所では、シーシャバーの現場経験を持つ行政書士が、フレーバー販売・たばこ販売許可・飲食店営業許可・風俗営業許可まで一貫してサポートします。「自分の店はどの許可が必要か」「物販を足したいが大丈夫か」など、お気軽にご相談ください。

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