この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。
「シーシャのフレーバーを店で売りたい」「客に持ち帰ってもらえる物販を始めたい」——こうしたご相談が増えています。
結論からお伝えすると、シーシャのフレーバーを販売するには、たばこ販売の許可が必要です。雑貨や食品とは扱いがまったく違います。
この記事では、フレーバーを物販・持ち帰りで売る場合の許可を、財務省の公表資料をもとに整理します。機材の販売についてはシーシャ機材の物販に古物商許可は必要かの記事をご覧ください。
たばこ葉を使ったフレーバーは、たばこ事業法上の「製造たばこ」に当たります。
また、たばこ葉を使わないフレーバーであっても、同法第38条は「製造たばこ代用品は、これを製造たばことみなしてこの法律の規定を適用する」と定めています。代用品とは「製造たばこ以外の物であつて、喫煙用に供されるもの」です。
つまり、ノンニコチンのフレーバーも同じ扱いになります。詳しくはノンニコシーシャの許認可を整理した記事をご覧ください。
🎙 現場から
シーシャバーで働いていた頃、「フレーバーだけ買って帰りたい」というお客さんは想像以上に多くいました。気に入った味を家でも楽しみたいというニーズは確実にあります。
ただ、ここで「じゃあ売りましょう」と始めてしまうと、無許可販売になりかねません。フレーバーは雑貨ではなく「たばこ」だという感覚を、まず持っておいてください。
たばこ屋やコンビニが取得しているものと同じ許可です。自分の店を営業所として申請します(たばこ事業法第22条)。
ただし距離基準と取扱高基準があり、近くに既存のたばこ販売店があると難しくなります。詳しくはたばこ小売販売業許可の距離基準・取扱高基準の記事をご覧ください。
すでに小売販売業許可を持っている事業者(多くは仕入先)に、自分の店を出張販売の場所として許可を取ってもらう方法です(同法第26条)。
申請者は協力事業者で、シーシャバー側は出張販売の場所となることに同意し、業務委託の内容を明らかにした書類を用意します。
距離基準の適用の仕方が異なるため、繁華街ではこちらを選ぶ店が多くなります。詳しくはたばこ出張販売許可の記事をご覧ください。
ここが本題です。「店内でシーシャを提供する」のと「フレーバーを箱で売って持ち帰ってもらう」のは、扱いが違うのでしょうか。
出張販売の許可が認めているのは対面販売であり、店内で吸わせるか持ち帰らせるかを区別するものではありません。客がフレーバーを買って持ち帰る行為も、対面での販売に含まれます。
【実務上のポイント】
ただし、収益面では別の論点があります。
たばこは小売定価が認可制であるため、出張販売の形では、小売店向けの仕入価格で調達できるとは限りません。結果として、仕入と販売の差が小さくなり、物販としての利幅が取りにくいことがあります。
フレーバーの対面販売を本格的に行っている店の多くは、自店で小売販売業許可を取得しています。物販を売上の柱にしたいなら、この点を踏まえて許可のルートを選んでください。
重要な落とし穴があります。
財務省の審査基準では、出張販売の場所として認められるのは「劇場、旅館、飲食店、駅、事務所その他これらに準ずる閉鎖性があり、かつ、消費者の滞留性の強い施設内の場所」とされています。
そのうえで、出張販売の場所が「小売業を営むための店舗である場合」には許可を受けることができないとされています。
つまり、フレーバーを売ることが主目的の物販店は、それ自体が小売店舗にあたり、出張販売の対象から外れます。
これは、より厳しい要件をクリアして許可を得ている小売販売業者との公平を保つための制度設計です。
【実務上のポイント】
「物販中心の小さなシーシャ店をやりたい」というご相談を受けることがありますが、ここは注意が必要です。
客が滞在してシーシャを吸うという飲食店としての実態があれば、その場でのフレーバー販売は出張販売の枠組みで整理できます。
一方、シーシャの提供を行わず物販だけで成立させようとすると、想定していた許可の枠組みから外れる可能性があります。
開業の設計段階で、「自店は飲食・提供を伴う店舗なのか、それとも物販専業なのか」を明確にしておいてください。
喫煙目的施設の要件は「対面による販売」です。また、たばこの販売方法には制度上の制約があります。通販を検討する場合は、必ず事前に財務局へ確認してください。店内での対面販売とは別の論点になります。
販売はしていないことになりますが、そうすると店として「たばこの対面販売」をしていない状態になります。喫煙目的施設の要件を満たせず、屋内は原則禁煙になります。持ち込みで許可を回避する設計は成り立ちません。
たばこ事業法の罰則の対象になります。加えて、喫煙目的施設の要件を「たばこを販売する者による対面販売」で満たしている以上、無許可の販売はその前提を崩すことになります。店内で喫煙させること自体ができなくなります。
▶シーシャのフレーバーは、たばこ事業法上の規制対象。販売には許可が必要
▶ノンニコチンでも、製造たばこ代用品として同じ扱いになる
▶許可は「自分で小売販売業許可を取る」か「協力事業者の出張販売許可を使う」の2ルート
▶出張販売でも、店内での持ち帰り販売はできる
▶ただし小売定価の制度があるため、物販としての利幅は取りにくい
▶フレーバー物販「専門」の店は、出張販売の場所として認められない
▶物販を柱にしたいなら、自店で小売販売業許可を取る検討が必要
制度を正しく理解すれば、物販は売上の柱のひとつになり得ます。逆に、許可を曖昧にしたまま始めると、無許可販売のリスクを抱えることになります。
開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめをご覧ください。
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