
この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
風俗営業(社交飲食店など)の許可は、誰でも取れるわけではありません。風営法は「この事由に当てはまる人には許可してはならない」という欠格事由を定めています。条文は専門用語が多く読みにくいため、この記事では主な欠格事由を具体例つきで整理します。
申請前にここを見落とすと、許可が下りず申請取下げになることもあります。最初の確認がとても重要です。
・誰に欠格事由が問われるのか
欠格事由は、申請者(法人の場合は代表者と役員全員)と、店ごとに必ず置く管理者(店舗責任者)の両方について審査されます。申請時だけでなく、許可が下りる時点でも該当していないことが必要です。
(参照: 日本法令外国語訳DB「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第4条)
破産手続開始の決定を受け、まだ復権していない人は許可を受けられません。免責許可が確定するなどして復権すれば、欠格事由ではなくなります。「過去に破産したことがある」だけでは該当しません。
この事由は2段階で考えます。まず、罪の種類を問わず1年以上の拘禁刑(懲役・禁錮)を受け、刑の執行が終わってから5年を経過しない人は許可を受けられません。
加えて、法律が定める特定の罪については、1年未満の拘禁刑や罰金刑であっても、5年を経過しないと許可を受けられません。「罰金だから大丈夫」とは限らない点に注意が必要です。
(参照: 日本法令外国語訳DB「風営法」第4条第1項第2号)
・例:傷害事件で懲役1年6か月の判決を受け、出所から3年しか経っていない
・例:無許可で風俗営業をして罰金刑を受け、まだ5年経っていない
・該当しない例:刑の執行が終わってから5年以上が経過している
罰金刑でも5年欠格となる「特定の罪」には、風営法上の一定の罪のほか、次のような他の法律の罪も含まれます。
罰金刑でも欠格となりうる主な罪(一例)
・刑法の一定の罪(賭博場開張等図利、わいせつ、略取・誘拐など)
・売春防止法第2章の罪(勧誘・周旋・場所の提供など)
・児童買春・児童ポルノ法の罪
・労働基準法・職業安定法・船員職業安定法・労働者派遣法の一定の罪
・出入国管理及び難民認定法・技能実習法の一定の罪
・組織的犯罪処罰法・性的姿態撮影処罰法(令和5年法律第67号)の一定の罪
※ここに挙げたのは一部です。対象となる罪は条文に細かく列挙されているため、過去に刑事処分を受けたことがある場合は、その罪が該当するか個別に確認する必要があります。
アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤の中毒者は許可を受けられません。
心身の故障により風俗営業の業務を適正に行えない者として国家公安委員会規則で定める場合が該当します。
不正などで風俗営業の許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない人は許可を受けられません。法人の場合、取消しに関わった当時の役員も同様に扱われます。さらに、取消処分の聴聞が公示された後に廃業して処分を免れようとした者なども、5年間は欠格となります。
(参照: 日本法令外国語訳DB「風営法」第4条第1項)
・例:以前経営していた店が違反で許可取消しになり、3年しか経っていない
・例:許可を取り消された法人で、取消しの直前に取締役だった
・例:取消処分の手続中に廃業届を出して処分を回避した
集団的または常習的に暴力的不法行為などを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者(いわゆる暴力団関係者など)は許可を受けられません。
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は、原則として許可を受けられません。
法人で申請する場合、役員のうち1人でも上記の欠格事由に該当する者がいると、その法人は許可を受けられません。代表者だけでなく、取締役など役員全員を確認する必要があります。
2025年(令和7年)11月28日施行の改正で、第4条の欠格事由に次の3つが追加されました。悪質なホストクラブ等への対策が背景にあります。
(参照: 衆議院「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律」)
・親会社などのグループ法人が許可を取り消され、5年を経過しない法人
・警察の立入りが行われた後、許可取消処分の聴聞前に許可証を返納し、5年を経過しない者
・暴力的不法行為を行うおそれがある者が、事業活動に支配的な影響力を持つ者
これらは、自社が処分を受けても子会社で許可を取り直したり、立入り後に自主的に廃業して処分逃れをしたりする事例に対応するための追加です。
管理者については、上記のうち申請者と共通する事由に加えて、未成年者は管理者になれません。また、管理者は店ごとに必要なため、他の風俗営業店との兼任は原則できません(一定の条件下で複数営業所の統括管理が認められる場合を除く)。
・外国人が申請・管理者になる場合
外国人は欠格事由とは別に、在留資格による就労制限を受けます。「経営・管理」の在留資格は申請者にはなれても管理者にはなれないと解されているなど、在留資格ごとの確認が必要です。
欠格事由は、申請者・役員・管理者のいずれかが一つでも該当すると許可が下りません。法や規則に明示されているため、面談の段階で該当しないかを確認でき、見落とせば不許可や取下げ、さらには損害賠償につながることもあります。2025年改正で事由が追加された点もふまえ、最新の条文で確認することが大切です。
自分や役員、予定している管理者が欠格事由に当たらないか不安な場合は、風営法を専門に扱う行政書士にご相談ください。
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