風営法許可は必要?業態別に確認する判定方法とチェックリスト【行政書士解説】

この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。


「ガールズバーって、風営法の許可いるの?いらないの?」
「うちのコンカフェ、このままだと無許可営業になる?」
開業相談で最も多いのが、こうした「自分の店は風営法許可が必要かどうか」という判定の悩みです。判断を誤れば無許可営業として摘発され、2025年6月28日施行の改正風営法では個人で最大1,000万円、法人で最大3億円の罰金が科されるリスクがあります。
本記事では、警察庁の最新解釈運用基準(令和7年5月30日通達)をベースに、風営法許可が必要かどうかを判定する3つの要素、業態別の判定一覧、そして自分の店舗を当てはめて判定できるチェックリストをまとめました。



結論|風営法許可の要否は「3つの要素」で決まる

風営法許可が必要かどうかは、次の3つの要素の組み合わせで決まります。


要素1|「接待」を行うかどうか
特定の客のそばで談笑・お酌などを継続して行う場合は接待に該当します。


要素2|「遊興」を行わせるかどうか
深夜にダンス・ショー・カラオケ大会などを行わせる場合は特定遊興飲食店営業の対象となります。


要素3|深夜0時を超えて酒類を提供するかどうか
0時を超えて主に酒類を提供する場合は深夜酒類提供飲食店営業届が必要です。


この3要素の組み合わせで、必要な手続きが 「風俗営業許可」「特定遊興飲食店営業許可」「深夜酒類提供飲食店営業届」「いずれも不要」 の4パターンに分かれます。


本記事では風営法の制度概要そのものについては深く触れません。風営法全体の概要については別記事で解説しています。


風営法許可が必要かを判定する3つの要素

要素1|「接待」に該当するか

風営法第2条第3項では、接待を次のように定義しています。


接待とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう」(風営法第2条第3項)
特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うこと
(出典:警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」令和7年5月30日通達


警察庁の解釈運用基準では、接待に該当する行為と該当しない行為を6つのカテゴリで具体的に示しています。


カテゴリ 接待に当たる行為 接待に当たらない行為
談笑・お酌 特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手となる・酒等を提供する行為 お酌や水割り作成後に速やかにその場を立ち去る、カウンター内で単に注文に応じて酒類を提供する行為
ショー等 特定少数の客に対して専用の客室でショー・歌舞音曲を見せる行為 ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に見せる行為
歌唱等 特定少数の客の近くにはべり、歌うことを勧奨・手拍子・拍手・一緒に歌う行為 客の近くに位置せず不特定の客に勧奨する行為、楽器演奏
ダンス 特定の客と身体接触しながらダンスをさせる行為、特定少数の客と一緒に踊る行為 ダンス教授能力を有する者が客にダンスを教授する行為
遊戯 特定少数の客と共に遊戯・ゲーム・競技等を行う行為 客一人または客同士で遊戯・ゲーム・競技を行わせる行為
身体接触 客と身体を密着させる、手を握る等の接触、客の口許まで飲食物を差し出して飲食させる行為 社交儀礼上の握手、酔客介抱、飲食物の運搬・食器片付け、荷物預かり


接待に該当する営業を行うには、「1号営業(接待飲食等営業)」の風俗営業許可が必要です。


要素2|「遊興」に該当するか

特定遊興飲食店営業とは、深夜(0時から6時まで)に、客に遊興をさせ、かつ、酒類を提供する飲食店営業のことです(風営法第2条第11項)。
遊興に該当する行為の例は次のとおりです。


客にダンスをさせる行為
DJの音楽に合わせて客にダンスをさせるナイトクラブなど


ショー・演劇・スポーツ等を見せる行為
ライブハウス、スポーツバーでの大画面観戦イベントなど


カラオケ大会・のど自慢大会等
不特定の客が参加する大会形式のイベント


スポーツ・遊戯等を行わせる行為
ダーツ大会・ビリヤード大会など


遊興と深夜0時超の酒類提供が両方ある場合は、特定遊興飲食店営業許可が必要となります。


要素3|深夜0時を超えて酒類を提供するか

深夜0時から6時までの時間帯に主に酒類を提供する飲食店は、深夜酒類提供飲食店営業届を所轄警察署に提出する必要があります(風営法第33条)。
注意すべきは次の3点です。


「主に酒類を提供」しているかが判定基準
定食屋や食事メインの居酒屋で深夜営業しても、酒類が主でなければ届出は不要 
ex)牛丼屋でビールを提供するのはOK


接待行為は禁止
深夜酒類提供飲食店営業届で営業する場合、接待行為は一切禁止


風俗営業許可との併用不可
風俗営業許可と深夜酒類提供飲食店営業届は原則として併用できない


つまり、「接待をしたいなら0時まで」「0時以降も営業したいなら接待禁止」のいずれかを選ぶことになります。


取るべきか確認する判定チェックリスト

自分の店舗が風営法許可を取るべきかどうか、以下の5つの質問に答えて判定してみてください。





複数該当する場合は、いずれか一つに営業形態を絞る必要があります。風俗営業許可と深夜酒類提供飲食店営業届は原則として併用できないためです。


業態別の判定一覧

代表的な業態について、必要な手続きを整理します。あくまで一般的なケースであり、営業実態によって判定は変わります。


業態 典型的な必要手続き 判定のポイント
キャバクラ 風俗営業許可(1号) 接待が前提のため許可必須
ホストクラブ 風俗営業許可(1号) 接待が前提のため許可必須
スナック 風俗営業許可(1号) ママ・スタッフが接客に付くなら接待に該当
ラウンジ 風俗営業許可(1号) 接待形態が前提
ガールズバー 深夜酒類提供飲食店営業届(接待なしで運営) カウンター越しでも長時間特定客と話せば接待になるため要注意
ボーイズバー 深夜酒類提供飲食店営業届 同上
コンカフェ・メイドカフェ 業態により分岐 チェキ・指名・同伴があれば接待に該当する可能性高
普通のバー 深夜酒類提供飲食店営業届(0時超え時) カウンター越しの注文応対のみなら接待に該当せず
居酒屋 飲食店営業許可のみ(0時で閉店時) 0時超えで酒類主体なら深夜届
ナイトクラブ 特定遊興飲食店営業許可 深夜+遊興+酒類の3要素該当
ライブハウス 業態により分岐 深夜帯にライブ+酒類提供なら特定遊興
ダーツバー・ボードゲームバー 深夜酒類提供飲食店営業届 店員が客と一緒にプレイすると接待になる可能性
シーシャバー 業態により分岐 接客スタイル・営業時間により手続きが変わる
パチンコ店・スロット店 風俗営業許可(4号) 遊技機を設置して客に遊技させる営業
ゲームセンター 風俗営業許可(5号) 射幸心をそそる遊技機を設置


判定でグレーゾーンになりやすい業態と注意点

ガールズバー・ボーイズバー

多くのガールズバー・ボーイズバーは深夜酒類提供飲食店営業届で運営していますが、カウンター越しの接客でも「接待」と判定されるケースがあります。
警察が接待と判定しやすいポイントは次のとおりです。


指名・同伴・アフター制度がある
特定の客と特定のキャストを結びつける制度は接待を期待させる構造


1人のキャストが1人の客に長時間張り付いている
カウンター越しでも数十分にわたる継続会話は接待と判定されうる


カウンター越しで手を握る・身体接触がある
カウンターの内外を問わず身体接触は接待


客と一緒にゲーム・カラオケをする
 キャストが客と共に遊戯する行為は接待


コンカフェ・メイドカフェ

コンカフェやメイドカフェも、業態のバリエーションが多く判定が難しいカテゴリです。次の要素があれば接待と判定される可能性が高くなります。


チェキ撮影で特定キャストとペアになる
特定キャストを継続的に指名する仕組み


指名制度・キャスト別売上ランキング
 特定キャストへの好意を醸成する仕組み


キャストがテーブルに着席して会話・歌唱
明確な接待行為


バー・ダーツバー・ボードゲームバー

カウンター越しに注文に応じて酒類を提供するだけのバーは原則として深夜酒類提供飲食店営業届のみで足ります。ただし、店員が客と一緒にゲームをプレイする、特定客と長時間談笑するなどの行為があれば接待と判定されます。


判断を誤った場合のリスク(2025年6月28日改正の最新罰則)

2025年6月28日に施行された改正風営法により、無許可営業の罰則が大幅に引き上げられました。


無許可営業の罰則

区分 改正前 改正後(2025年6月28日施行)
個人 2年以下の懲役または200万円以下の罰金 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金
法人 200万円以下の罰金 3億円以下の罰金


(出典:警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」令和7年5月30日通達愛知県警察「風営適正化法に係る許可・届出手続」


特に法人の罰金額が200万円から3億円へと150倍に引き上げられた点は、店舗経営者にとって極めて重要な変更です。


罰則以外のリスク

営業停止処分
無許可営業が発覚すれば即時の営業停止命令


許可申請の不許可リスク
 過去に無許可営業歴があると、その後の許可申請で欠格事由に該当する可能性


関係法人への波及
2025年改正で、グループ法人の他法人も処分の影響を受ける場合がある


刑事手続による経営者の経歴への影響
 有罪となれば取締役の欠格事由など他事業への影響も


判定が難しい場合の確認手順

自分の店舗が許可を取るべきか判断がつかない場合は、以下の手順で確認することをおすすめします。

1. 営業形態を書き出して整理する

提供する飲食内容、接客スタイル、営業時間、内装の照度、座席配置などを書き出し、本記事のチェックリストに当てはめてみます。


2. 管轄警察署の生活安全課に事前相談する

営業所所在地を管轄する警察署の生活安全課で事前相談を受けることができます。営業形態を具体的に説明し、許可・届出の要否を確認できます。
愛知県内の場合、愛知県警察「風営適正化法に係る許可・届出手続」のページに各警察署の窓口情報があります。


3. 行政書士に相談する

判定が複雑な業態(コンカフェ・コンセプトバーなど)や、グレーゾーンに位置する営業形態については、風営法専門の行政書士に相談することで、許可取得・届出のいずれが適切かを総合的に判断できます。


まとめ|判定の3ステップ

本記事のポイントを整理します。


判定の核心は「接待・遊興・営業時間」の3要素
それぞれの該否で、風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届・不要の4パターンに分岐


「接待」の定義は警察庁の解釈運用基準が基準
6カテゴリの判定例(談笑・ショー・歌唱・ダンス・遊戯・身体接触)を踏まえて判定


カウンター越しでも接待になりうる
ガールズバー・コンカフェなどは特に注意


風俗営業許可と深夜酒類提供届は併用不可
「0時まで接待あり」か「0時以降接待なし」かの選択


2025年6月28日改正で罰則が大幅引き上げ
個人:5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、法人:3億円以下の罰金


判定に迷ったら、自己判断で営業を始める前に管轄警察署または風営法に詳しい行政書士に相談することを強くおすすめします。無許可営業のリスクは2025年改正で桁違いに大きくなっています。事前の確認が結果的に最大のコスト削減になります。


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