この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、シーシャバーの開業支援を取り扱っています。約2年半のシーシャバー勤務経験があります。
「シーシャバーは暗い雰囲気にしたいが、明るさの基準はあるのか」——開業相談で必ず出る質問です。
結論からお伝えすると、深夜0時以降に酒類を提供するシーシャバーには、営業所内の照度を20ルクス以下としないという条件があります。
しかも、調光器(スライダックス)を付けていること自体が問題になる場合があります。この記事では、20ルクスの実際の明るさ、測定の考え方、そして雰囲気を保ちながら基準を満たす方法を整理します。
午前0時以降に酒類を提供する場合、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。その構造設備の条件のひとつが照度です。
営業所内の照度が20ルクス以下とならないように維持するため必要な構造又は設備を有すること
つまり、店内の照度が20ルクスを下回らないよう、構造または設備で確保しておく必要があります。
シーシャバーは煙の演出や雰囲気づくりのために店内を暗くしたいケースが多い業態です。しかし20ルクスを切ると、この条件を満たせません。
ルクスという単位はイメージしにくいと思います。
▶20ルクス/向かいに座っている人の表情や手元の動きは分かるが、新聞を読むのは難しい程度
▶シーシャの煙が映える暗さでありつつ、客が安全に動ける明るさ
つまり20ルクスは、「シーシャバーらしい暗さ」を演出するうえで下限ぎりぎりの明るさです。
風営法第2条第1項第2号は、「客席の照度を10ルクス以下として営む」飲食店を風俗営業のひとつとしています。
これに該当すると、営業時間を問わず風俗営業許可が必要になり、午前0時以降の営業が原則としてできなくなります。
「もっと暗くしたい」という方向に進むと、業態そのものが変わってしまいます。
照度は店内のどこを測っても同じ数値になるわけではありません。光源に近いほど高く、遠いほど低くなります。
測定する場所は、客席の状況に応じて次のように考えられています。
| 客席の状況 | 測定する場所 |
|---|---|
| テーブル等の飲食物を置く設備がある | その設備の上面、およびその高さで客が通常利用する部分 |
| 椅子だけの客席 | 椅子の座面、およびその高さで客が通常利用する部分 |
| 椅子もない客席 | 客が通常利用する場所の床面 |
シーシャバーはテーブル席が中心なので、ほとんどが1番目に当てはまります。
【実務上のポイント】
重要なのは、店内で最も暗い場所を基準に考える必要があるという点です。
「入口付近の席は25ルクスあるが、奥の席は12ルクス」という状態は、条件を満たしていることになりません。
照度は照度計で測れます。数千円程度から購入できます。スマートフォンのアプリでも測れますが精度にばらつきがあるため、開業前は照度計で確認することをおすすめします。窓のない地下や、奥まった席のあるレイアウトでは、想像より低くなりがちです。
照明の明るさを段階的に変えられる調光器は、雰囲気づくりに便利な設備です。しかし深夜営業をするシーシャバーでは、扱いに注意が必要です。
調光器があること自体が直ちに問題になるわけではありません。判断の軸は、最も暗い位置まで下げたときに20ルクスを下回るかどうかです。
▶最低照度でも20ルクスを上回る構造/調光器の設置は問題になりません
▶最低位置にすると20ルクスを下回る構造/操作できないよう物理的に固定する必要があります
警察庁の解釈運用基準では、客席で基準に満たない照度に自由に変えられる調光設備を設けることは認められないとされています。
つまり「変えられること」自体が問題とされています。だからこそ、変えられないように固定するという対応になります。
検査のときだけ明るくして、普段は暗く営業する。こうした運用を防ぐためです。「設備として20ルクス以下にできない構造」であることが求められます。
▶①撤去して通常のスイッチに交換する
▶②最低位置でも20ルクスを上回る照明に変更する
▶③つまみを操作できないよう物理的に固定する
コストと工事の手間を考えれば、開業時の内装段階で②の設計にしておくのが最も無駄がありません。
「20ルクスを守る必要があるのは分かった。でも明るい店にはしたくない」——これがシーシャバーのオーナーの本音だと思います。
現場で取り入れられている方法をいくつか挙げます。
同じ照度でも、白色光より電球色のほうが暗く感じます。シーシャバーらしい温かみのある雰囲気と、数値の確保を両立しやすくなります。
1つの強い光源で照らすより、複数の弱い光源で全体を照らすほうが、煙が映えやすく、なおかつ全席で照度を確保しやすくなります。
「一番暗い席」が生まれにくい配置になる点も利点です。
各テーブルに小さな照明を置けば、テーブル上面の照度が確実に上がります。測定される場所そのものを明るくできるので、実務的に効果があります。
本物のキャンドルは火災のリスクがあります。LEDのキャンドルライトで演出しつつ、メインの照明で照度を確保するという組み合わせが現実的です。
【実務上のポイント】
照度と並んで問題になるのが「見通しを妨げる設備を設けないこと」という条件です。
薄暗い照明と、視線を遮る高い仕切り。シーシャバーが求めたくなる要素は、どちらも深夜営業の条件とぶつかります。
この2つは同時に設計する必要があります。詳しくは個室は作れるかを解説した記事をご覧ください。
届出の際に測定が行われるかどうかは、所轄によって運用が異なります。ただし、届出後に立入りが行われ、その場で照度を測られることがあります。
▶まず指導を受け、改善期限を示されます
▶改善されない場合や違反が続く場合は、行政処分の対象になり得ます
照明を落として営業したほうが雰囲気は出るかもしれませんが、一度指摘を受ければ、その後の関係に影響します。
開業の時点で、構造として20ルクスを確保しておくのが最も合理的です。後から照明を入れ替えるのは、費用も工事の手間もかかります。
深夜酒類の届出をしないのであれば、この条件はかかりません。ただし、客席の照度を10ルクス以下として営業すると、風営法2号営業に該当します。暗くする方向には別の線があることに注意してください。0時閉店のメリットは午前0時で閉める3つのメリットの記事をご覧ください。
条件は「20ルクス以下とならないように維持するため必要な構造又は設備を有すること」です。営業中に基準を下回る状態にすれば、条件を満たしていないことになります。そもそも下げられない構造にしておくことが求められている、と理解してください。
テーブルの上面など、実際に測定される場所で測ってください。そのうえで、店内で最も暗い席を確認しておくことが重要です。入口付近だけ測って安心すると、立入りのときに奥の席で足りないという事態になります。
▶深夜営業をするシーシャバーは、照度を20ルクス以下としないことが条件
▶測定はテーブル上面など、客が通常利用する部分で行われる
▶店内で最も暗い場所を基準に考える必要がある
▶10ルクス以下にすると風営法2号営業に該当し、業態が変わる
▶調光器は「最低照度でも20ルクスを上回るか」で判断される
▶下回る構造なら、操作できないよう固定する必要がある
▶電球色、複数光源、テーブルランプで雰囲気と数値を両立できる
照度は内装の段階で決まる要素です。オープン後に照明を入れ替えるのは大きなコストになります。物件契約後・内装工事前の段階で、照度の設計を含めてご相談ください。
開業に必要な手続きの全体像はシーシャバー開業に必要な許可まとめ、届出の要件は深夜酒類提供飲食店営業届出の記事をご覧ください。
照度の設計から届出まで、内装業者との連携も含めて対応しています。
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