この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、風俗営業許可、深夜酒類提供飲食店営業開始届出、飲食店営業許可など、飲食・接客業の開業手続を取り扱っています。


深夜に営業する飲食店では、午後10時から翌午前6時までの間、18歳未満の方を接客に入れることも、お客様として店内に入れることもできません。
これは風営法の規定で、深夜酒類提供飲食店営業の届出をしているかどうかに関係なく適用されます。


さらに労働基準法にも別の年齢制限があります。この記事では、2つの法律がどう重なるのか、例外はあるのかを整理します。



結論:22時から翌6時は不可です    CONCLUSION


風営法第32条第3項

飲食店営業を営む者が、当該営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において、18歳未満の者を客に接する業務に従事させ、又は客として立ち入らせることは禁止される。ただし、施行規則第102条に規定する営業には、この規定の適用はない。

出典:風営法第32条第3項/同法施行規則第102条/警察庁「解釈運用基準」(令和7年5月30日付け通達)第28中3


▶対象は「飲食店営業を営む者」。深夜酒類提供飲食店営業の届出の有無を問わない
▶禁止されるのは午後10時から翌午前6時まで(午前0時からではありません)
▶従業員として接客させることも、客として立ち入らせることも禁止


「深夜」の定義は午前0時からですが、この年齢規制は午後10時からです。2時間のずれに注意してください。


適用が除外される営業    EXCEPTION

施行規則第102条に規定する営業には、この規定が適用されません。解釈運用基準は、その内容を次のように説明しています。


内容
第1号 営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むもの(風営法第2条第13項第4号に規定するものと同一)
第2号 コーヒー、ケーキその他の茶菓類等を提供する営業。ただし午後10時以後に酒類を提供する場合(自動販売機による販売を含む)は除かれる


解釈運用基準は、第2号の「コーヒー、ケーキその他の茶菓類」について次のように説明しています。


▶コーヒー、紅茶、ジュース等の飲物
▶ケーキ、パフェ、アイスクリーム、おしるこ等の菓子類
▶それ以外の飲食物とは、通常食事の際食べる主食以外の飲食物(フライドチキン、サラダ、たこ焼き等)


出典:警察庁「解釈運用基準」第28中3


お酒を出すなら、この例外は使えません

第2号には重要なただし書きがあります。このような飲食物を提供する飲食店営業であっても、午後10時以後に酒類を提供する場合は、同号に規定する飲食店営業から除かれるとされています。自動販売機による販売も含まれます。
つまり、深夜酒類提供飲食店営業の届出をしているバーやスナックは、この例外に当てはまりません。年齢規制がそのまま適用されます。


深夜帯も主食を提供し続けるラーメン店や定食屋であれば第1号に当たり得ますが、その場合はそもそも深夜酒類提供飲食店営業の届出も不要になる可能性があります。詳しくは居酒屋に届出が必要かを整理した記事をご覧ください。


労働基準法にも制限があります    LABOR

風営法とは別に、労働基準法第61条第1項は、使用者は満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならないと定めています。


法律 禁止される時間帯 禁止される内容
風営法第32条第3項 午後10時〜翌午前6時 客に接する業務への従事/客としての立入り
労働基準法第61条第1項 午後10時〜午前5時 満18歳未満の者を使用すること(業務内容を問わない)


【実務上のポイント】
2つの法律は、禁止する内容も時間帯も異なります。風営法は「客に接する業務」を対象とし、労働基準法は業務内容を問いません。
つまり、「接客ではなく洗い場だけなら大丈夫」という理屈は、風営法はクリアしても労働基準法には抵触します。深夜帯に18歳未満の方を働かせることは、実務上できないと考えてください。
なお、労働基準法の制限は午前5時までですが、風営法の制限は午前6時までです。厳しいほうに合わせて運用するのが安全です。


「営業の方法」に書く内容    FORM

届出の際に提出する「営業の方法」(別記様式第48号)には、18歳未満に関する欄が2つあります。


▶18歳未満の者を従業者として使用すること(する・しない)/「する」の場合はその者の従事する業務の内容を具体的に記載
▶18歳未満の者を客として立ち入らせること(する・しない)/「する」の場合は、保護者が同伴しない18歳未満の者を客として立ち入らせることを防止する方法を記載


深夜に酒類を提供する店であれば、いずれも「しない」を選ぶのが基本になります。書き方は「営業の方法」の書き方を解説した記事で詳しく説明しています。


年齢確認は採用時に行ってください    CHECK

風営法第36条は、従業者名簿の備付けを義務づけています。解釈運用基準は、深夜酒類提供飲食店営業について次のように整理しています。


解釈運用基準 第35中1(2)

「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業」や「深夜」において営む「飲食店営業」について、従業者名簿の記載を要する従業者とは、午後10時以降又は深夜において当該営業に係る業務に従事する従業者のみならず、全ての従業者である


【実務上のポイント】
採用時に公的な身分証明書で生年月日を確認し、記録に残す運用にしてください。「本人が18歳以上だと言っていた」では説明になりません。
また、名簿に記載するのは深夜帯のスタッフだけではなく全従業者です。昼のランチタイムだけ働くスタッフも対象になります。開業後の義務については届出後にやることをまとめた記事で解説しています。


20歳未満への酒類提供は別の問題です    ALCOHOL

年齢に関する規制は、18歳と20歳の2つの基準があります。混同しないでください。


年齢 内容
18歳未満 午後10時から翌午前6時まで、客に接する業務への従事・客としての立入りが禁止
20歳未満 時間帯を問わず、酒類を提供してはならない


「営業の方法」には、20歳未満の者への酒類の提供を防止する方法を記載する欄があります。店内への掲示と身分証明書による年齢確認を、開店前に運用として固めておいてください。


よくある質問    FAQ

Q.18歳の高校生は雇えますか?

風営法第32条第3項は18歳未満を対象としているため、18歳に達していればこの規定の対象外です。労働基準法第61条も満18歳未満が対象です。したがって法律上は雇用できますが、高校生の深夜労働については、学校の規則や保護者の同意など別の配慮が必要です。また、20歳未満への酒類提供の禁止は当然に適用されます。

Q.22時前までのシフトなら、17歳のスタッフを入れられますか?

風営法第32条第3項が禁止しているのは午後10時から翌午前6時までの時間です。それ以前の時間帯であれば、この規定の対象にはなりません。ただし、労働基準法上、18歳未満の者には労働時間や休日についても別の制限があります。シフトが22時をまたがない運用を徹底できるかを確認してください。

Q.保護者と一緒なら、18歳未満のお客様は入店できますか?

風営法第32条第3項は、午後10時から翌午前6時までの時間に18歳未満の者を客として立ち入らせることを禁止しており、保護者の同伴による例外は定められていません。深夜に酒類を提供する店では、保護者同伴でも入店させられないと考えてください。

Q.外国籍のスタッフを雇う場合、確認すべきことはありますか?

在留資格と在留期間の満了日を必ず確認してください。在留資格によっては就労に制限があり、資格外活動の許可が必要になる場合があります。また、資格外活動の許可を受けていても、風俗営業や性風俗関連特殊営業に従事することは許可されません(解釈運用基準第35中2(2))。詳細は出入国在留管理庁または専門家に確認してください。

まとめ    SUMMARY

▶深夜に営業する飲食店では、午後10時から翌午前6時まで18歳未満を接客業務に従事させられない
▶同じ時間帯に、18歳未満を客として立ち入らせることもできない
▶この規定は届出の有無を問わず、飲食店営業を営む者に適用される
▶主食提供営業と茶菓類提供営業は適用除外だが、午後10時以後に酒類を提供する場合は除外されない
▶労働基準法第61条は、業務内容を問わず満18歳未満の午後10時〜午前5時の使用を禁止している
▶従業者名簿には、深夜帯以外も含めた全ての従業者を記載する
▶20歳未満への酒類提供は、時間帯を問わず禁止
▶採用時に公的な身分証明書で生年月日を確認し、記録に残す


年齢に関する規制は、採用の段階でルールを固めておけば防げる問題です。シフトの組み方と身分証確認の運用を、開店前に決めてください。


届出手続きとあわせて、開業後に必要になる運用のご相談も承っています。