この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、風俗営業許可、深夜酒類提供飲食店営業開始届出、飲食店営業許可など、飲食・接客業の開業手続を取り扱っています。
深夜酒類提供飲食店営業の届出書類には、法令で定められた「法定書類」と、警察署から提出を求められることが多い「法定外書類」の2種類があります。
ネット上の必要書類リストがサイトごとにバラバラなのは、この2つが区別されずに並べられているからです。
この記事では、愛知県警察が公式に案内している書類と、実務上あわせて求められることが多い書類を分けて整理します。
愛知県警察が案内している書類は次のとおりです。これが法令にもとづく必須の書類です。
▶深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書…1通
▶①営業の方法を記載した書面
▶②営業所の平面図
▶③住民票(本籍又は国籍記載のもの)の写し
▶④法人の場合/定款及び登記事項証明書、役員に係る③の書類
出典:愛知県警察「深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出手続」
| 書類 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 営業開始届出書 | 〇 | 〇 |
| 営業の方法を記載した書面 | 〇 | 〇 |
| 営業所の平面図 | 〇 | 〇 |
| 住民票(本籍又は国籍記載)の写し | 営業者本人 | 役員に係るもの |
| 定款 | - | 〇 |
| 登記事項証明書 | - | 〇 |
コンビニ交付や窓口で住民票を請求すると、初期設定では本籍が省略されていることがあります。愛知県警察が求めているのは本籍(外国籍の方は国籍)が記載されたものです。
本籍が省略された住民票を持参すると、取り直しになります。請求時に「本籍記載」を明示して取得してください。マイナンバーが記載されたものは不要です。
上記のほかに、実務では次のような書類を求められることがあります。これらは法令上の必須書類ではありませんが、所轄の警察署から提出を依頼されるケースが多いものです。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 営業所求積図 | 営業所の面積の計算根拠を示す図面 |
| 客室等求積図 | 客室・調理場の面積の計算根拠を示す図面 |
| 求積一覧 | 各求積図の計算式と面積をまとめた表 |
| 音響・照明設備図 | 照明器具とスピーカー等の位置および一覧表 |
| 営業所周辺の地図 | 営業所の位置を示す略図。保全対象施設の記入は不要 |
| メニュー表 | 「営業の方法」の別紙。システム料金と個別の飲食代金を税込総額で記載 |
| 賃貸借契約書の写し/使用承諾書 | 営業所を使用する権原を示す資料 |
| 建物の全部事項証明書 | 営業所が自己所有の場合 |
| 飲食店営業許可証の写し | 保健所の許可を受けていることの確認 |
| 誓約書 | 所轄警察署が独自の様式を用意している場合があります |
| 委任状 | 行政書士に届出を依頼する場合 |
理由は、この手続きの構造にあります。
風俗営業の許可申請では、警察が営業所に立ち入って構造や設備を直接確認します。しかし深夜酒類提供飲食店営業は届出制であり、この実査が行われません。
その結果、警察側は書類だけで営業所の状況を把握することになります。求積図や音響照明設備図、店舗周辺の地図などが求められやすいのは、そのためです。
【実務上のポイント】
理由があって求められている書類ですから、できるだけ協力するのが望ましいと考えています。書類が整っているほど確認がスムーズに進み、結果として届出も早く終わります。
一方で、法定外書類の添付がないことだけを理由に、届出そのものを拒むことはできません。法定外書類は後から追加で提出することも可能です。初めて届出をする警察署については、事前に電話で必要書類を確認しておくことをおすすめします。所轄によって求められる書類が異なるためです。
管轄する警察署は愛知県の警察署一覧で確認できます。
書類の不備で最も多いのが、記載内容の不一致です。
▶営業所の名称は、飲食店営業許可証に記載された店名と一致していなければなりません
▶営業所の所在地は、飲食店営業許可証に記載された住所と一致していなければなりません
「保健所には正式名称、警察には通称」といった書き分けはできません。また、住所は賃貸借契約書で正確に確認してください。建物の一部を借りている場合は、部屋番号まで記載します。
個人の氏名・住所は住民票のとおりに、法人の名称・所在地・代表者氏名は登記事項証明書のとおりに記載します。
営業開始届出書
備考欄を確認して必要事項を記載するよう案内されていますので、記入前に必ず備考欄を読んでください。日付は届出当日に記入するため、空欄のまま持参するのが実務的です。
営業の方法を記載した書面
営業時間、提供する飲食物、料金の表示方法などを記載します。書き方は「営業の方法」の書き方を解説した記事で詳しく説明しています。
営業所の平面図
作成方法と記載すべき内容は図面の書き方を解説した記事にまとめています。求積図・音響照明設備図もあわせて解説しています。
定款・登記事項証明書(法人)
登記事項証明書は法務局で取得します。定款の写しは、末尾に「現在の定款の写しに相違ありません」という旨と日付、法人名、代表者氏名を記載しておくと確認がスムーズです。
【実務上のポイント】
法人の場合、住民票は役員全員分が必要になります。役員が複数いて遠方に住んでいる方がいる場合は、取得だけで1〜2週間かかることがあります。
なお、愛知県警察の風俗営業許可の案内では、添付書類の発行・作成日は申請日から3か月以内のものと明記されています。深夜酒類提供飲食店営業の案内には同様の記載がありませんが、証明書は現状を示すものである以上、届出の直前に取得しておくのが無難です。
愛知県警察は、次のとおり案内しています。
申請者が、別の営業所について既に愛知県公安委員会に届出をして深夜における酒類提供飲食店営業を営んでいる場合には、申請者に関する書類のうち添付する必要のない書類があります。
すでに愛知県内で届出をして営業している事業者が2店舗目を出す場合、申請者本人に関する書類(住民票や法人書類など)の一部を省略できる可能性があります。省略できる範囲は届出先の警察署に確認してください。営業所ごとの書類(平面図、営業の方法)は当然に必要です。
届出書と添付書類は正本1通で足りますが、提出する前に一式コピーを取っておいてください。
▶後日、店名や構造設備を変更したときの変更届で、前の内容の確認に必要になる
▶窓口で交付される「申請・届出受領書」とあわせて保管する
▶受領書は、届出をした事実を示す唯一の公的な資料になる
愛知県警察の公式案内には記載がないため、法令上の必須書類ではありません。ただし、届出書には営業所の床面積・客室の総床面積・各客室の床面積を記載する欄があり、その根拠を示す資料として求められることが多い書類です。
「必要か不要か」ではなく「所轄がどう運用しているか」で決まる書類ですので、届出先の警察署に事前確認するのが確実です。
必要ありません。求められているのは本籍(外国籍の方は国籍)の記載です。請求時に「本籍記載あり・マイナンバー記載なし」で取得してください。
深夜酒類提供飲食店営業は届出制であり、風俗営業のような欠格事由の規定はありません。住民票については国籍が記載されたものを用意します。所轄によっては在留カードの写し(表裏とも)を求められることがあります。
ただし、在留資格によっては日本での就労や事業経営に制限があります。在留資格の内容については出入国在留管理庁または専門家に確認してください。
法定書類ではありませんが、添付を求められることが多い書類です。チャージやセット料金などのシステム料金と、個別の飲食代金を、いずれも税込の総額で明記します。「時価」や「応相談」といった表記は避け、金額を書いてください。「営業の方法」の別紙として添付します。
▶法定書類は、届出書+営業の方法+営業所の平面図+住民票(法人は定款・登記事項証明書・役員分の住民票)
▶住民票は本籍(外国籍の方は国籍)記載のものが必要
▶求積図・音響照明設備図・周辺地図・メニュー・契約書などは法定外書類だが、求められることが多い
▶実査がないため、警察は書類だけで営業所を把握する。だから書類が増える
▶法定外書類がないことだけを理由に、届出を拒むことはできない
▶所轄によって求められる書類が異なるため、事前に電話で確認する
▶営業所の名称・所在地は、飲食店営業許可証の記載と一致させる
▶提出前に必ず一式の控えを取り、受領書とあわせて保管する
書類の点数自体は多くありません。難しいのは平面図と「営業の方法」を自分で作る部分です。証明書の取得と並行して、早めに着手してください。
図面の作成から届出書一式の作成、警察署への提出まで対応しています。書類の一部だけのご相談でも構いません。