この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、風俗営業許可、深夜酒類提供飲食店営業開始届出、飲食店営業許可など、飲食・接客業の開業手続を取り扱っています。
届出をして営業を始めた後も、店名を変えたり内装を変えたりしたときは、変更届が必要です。
期限は変更のあった日から10日以内(法人の名称・住所・代表者氏名は20日以内)。営業をやめたときの廃止届は10日以内です。
この記事では、どんな変更に届出が必要で、どこからが「軽微な変更」として不要になるのかを、愛知県警察の案内と警察庁の解釈運用基準にもとづいて整理します。
▶氏名又は名称及び住所(法人にあっては、その代表者氏名)
▶営業所の名称
▶営業所の構造及び設備の概要(軽微な変更を除く)
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 変更届(原則) | 変更のあった日から10日以内 |
| 変更届(法人の名称・住所・代表者の氏名に係るもの) | 変更のあった日から20日以内 |
| 廃止届 | 廃止の日から10日以内 |
出典:愛知県警察「深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出手続」/風営法第33条第2項
いずれも「変更してから」の期限です。営業開始の届出が10日前という事前の期限だったのに対し、変更届・廃止届は事後の届出になります。
変更届出書(別記様式第19号)の記載欄は次のとおりです。
▶届出者の氏名又は名称及び住所(法人はその代表者の氏名)
▶営業所の名称/営業所の所在地
▶営業の種別
▶変更年月日
▶変更事項(新・旧)
▶変更の事由
変更事項は「新」と「旧」を対比して書く形式です。書ききれない場合は別紙に記載して添付します。
変更届では「旧」の内容を正確に書く必要があります。開業時に提出した届出書の控えが手元にないと、以前どう記載していたのかが分からず、作成が止まります。
届出時に交付された「申請・届出受領書」と、届出書一式の控えは必ず保管してください。飲食店営業許可証と同じ場所にまとめておくのが確実です。
構造・設備の変更については、軽微な変更は届出が不要とされています。この範囲について、警察庁の解釈運用基準が具体的な考え方を示しています。
営業所の内部を仕切るための設備とは、壁、ふすまのほか、カーテン、ついたて等をいうものであり、その変更には破損箇所の原状回復、色の塗り替え等を含まない。
照明設備の変更には、照度につき同性能の電球等の更新を含まない。客の利用に供しない調理室等の場所の照明設備の更新については、客室等に影響がない限り届出を要しない。
音響設備の変更には、音に影響のない同性能のデッキ、プレーヤー、画像装置の変更までは含まれない。
出典:警察庁「解釈運用基準」(令和7年5月30日付け通達)第29中2
整理すると、次のようになります。
| 届出が必要と考えられるもの | 届出を要しないとされているもの |
|---|---|
| 壁、ふすま、カーテン、ついたて等の間仕切りを新たに設ける、位置を変える | 破損箇所の原状回復、色の塗り替え |
| 照明設備の種類や配置を変える | 照度につき同性能の電球等の更新 |
| 客室の照明に影響する変更 | 客の利用に供しない調理室等の照明設備の更新(客室等に影響がない限り) |
| 音響設備の種類や配置を変える | 音に影響のない同性能のデッキ、プレーヤー、画像装置の変更 |
【実務上のポイント】
判断の分かれ目は「客室の状態が変わるかどうか」です。切れた電球を同じものに替える、壁の傷を直す、といった維持管理の作業は届出の対象になりません。
一方、レイアウト変更、席数の増減、間仕切りの追加、照明の演出を変えるといった内装工事は、届出書に記載した「営業所の構造及び設備の概要」を変えるものです。改装を計画している場合は、工事の前に届出先の警察署に相談してください。工事後に「届出が必要でした」と分かるより、はるかに手間がかかりません。
なお、構造設備の変更を届け出る際は、変更後の状態を示す図面を求められることがあります。図面の作り方は図面の書き方を解説した記事をご覧ください。
| ケース | 考え方 |
|---|---|
| 店名を変えた | 「営業所の名称」の変更。10日以内に変更届。飲食店営業許可の店名変更もあわせて必要です |
| 引っ越して自分の住所が変わった | 「氏名又は名称及び住所」の変更。10日以内に変更届 |
| 結婚して姓が変わった | 同上。10日以内に変更届 |
| 法人の代表取締役が交代した | 「法人の代表者氏名」の変更。20日以内に変更届 |
| 法人の本店を移転した | 「法人の住所」の変更。20日以内に変更届 |
| 内装を改装して席の配置を変えた | 「営業所の構造及び設備の概要」の変更にあたる可能性があります。工事前に確認を |
| 個人事業から法人になった | 営業者が別の主体になるため、変更届では対応できません |
| 店舗を別の場所に移転した | 変更届の対象事項に営業所の所在地は含まれていません |
個人事業から法人成りした場合、営業者は個人から法人という別の主体に変わります。同じ人が代表を務めていても、届出上は別の営業者です。
店舗を移転した場合、愛知県警察が案内する変更届の対象3事項に「営業所の所在地」は含まれていません。届出は営業所ごとに行うものであるためです。
いずれのケースも、変更届で処理できるとは限りません。従前の営業についての廃止届と、新たな届出が必要になる可能性があります。手続きの進め方は、実行する前に届出先の警察署に確認してください。移転先が別の警察署の管轄なら、届出先も変わります。
管轄する警察署は愛知県の警察署一覧で確認できます。移転にあたっては、移転先が深夜営業できる用途地域かどうかもあわせて確認してください。
営業を廃止したときは、廃止の日から10日以内に廃止届出書を提出します。
▶提出先は、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課
▶期限は廃止の日から10日以内
▶深夜酒類提供飲食店営業の届出には許可証がないため、返納する証書はない
▶飲食店営業許可(保健所)の廃業届は別途必要
【実務上のポイント】
閉店時は、警察への廃止届と保健所への廃業届を別々に出す必要があります。所管が違うため、片方だけ出して終わりにしてしまうケースがあります。
また、物件を次のテナントに引き継ぐ場合、あなたの廃止届が出ていないと次の営業者の届出に影響が出ることがあります。閉店の段取りに、この2つの届出を必ず入れてください。
できるだけ早く提出してください。期限を過ぎているからといって提出できなくなるわけではありませんし、放置するほど状況は悪くなります。届出をしていない状態が続けば、実態と届出内容が食い違ったまま営業していることになります。まず届出先の警察署に連絡して、状況を伝えたうえで手続きを進めてください。
廃止届は営業を廃止したときの手続きです。再開の予定がある一時的な休業と、営業の廃止は異なります。ただし、長期の休業を予定している場合の扱いについて公式な案内は確認できませんので、届出先の警察署に相談してください。
愛知県警察の深夜酒類提供飲食店営業のページでは、変更届について様式へのリンクと期限が案内されており、添付書類の指定は記載されていません。ただし、変更の内容によっては、その事実を確認できる資料を求められる可能性があります(構造設備の変更なら図面、法人の変更なら登記事項証明書など)。提出前に警察署に確認してください。
深夜に酒類を提供する営業をやめるのであれば、深夜酒類提供飲食店営業を廃止したことになります。廃止届の提出について、届出先の警察署に確認してください。飲食店営業許可のほうは、営業を続ける限りそのまま有効です。
▶変更届の対象は、氏名・名称・住所(法人は代表者氏名)/営業所の名称/営業所の構造及び設備の概要(軽微な変更を除く)の3つ
▶期限は変更のあった日から10日以内。法人の名称・住所・代表者氏名は20日以内
▶廃止届は廃止の日から10日以内
▶変更届では「旧」の内容を書くため、開業時の控えと受領書の保管が前提になる
▶電球の同性能への交換、壁の傷の補修、色の塗り替え、音に影響しない機器の同性能交換は届出を要しないとされている
▶レイアウト変更・間仕切りの追加・照明の変更を伴う改装は、工事前に警察署へ相談する
▶法人化、移転、営業者の交代は変更届で処理できるとは限らない。実行前に確認する
▶閉店時は、警察への廃止届と保健所への廃業届の両方が必要
変更届は、忘れられやすい手続きです。店名を変えた、代表者が替わった、改装したというタイミングで思い出せるかどうかがすべてです。開業時の届出書の控えと受領書を、この記事の3項目と一緒に保管しておいてください。
変更届・廃止届の作成と提出にも対応しています。改装の計画段階からのご相談も歓迎します。