この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
キャバクラは、接待をすることが営業の中心にある業態です。そのため、風俗営業1号営業の許可が必要になります。ここに例外はほとんどありません。
問題は、その先です。許可を取ると、愛知県では原則として午前0時までしか営業できません。この制限を知らずに物件を契約し、深夜営業を前提とした事業計画を組んでしまうケースがあります。
この記事では、キャバクラの開業に必要な手続を、要件・費用・スケジュールの順に整理します。
風営法第2条第1項第1号は、風俗営業を次のように定めています。
キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
キャバクラは、キャストが特定の客に付いて継続的に談笑の相手となり、飲食物を提供します。これは解釈運用基準が接待に当たる行為として明示している類型そのものです。
許可証には、和風以外の営業として「社交飲食店」と記載されます。「キャバクラ」という区分は法律上存在しません。
| 手続 | 窓口 | 備考 |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 保健所 | 先に取得する。食品衛生責任者が必要 |
| 風俗営業1号営業の許可 | 営業所を管轄する警察署の生活安全課 | 手数料24,000円。標準処理期間55日 |
| 防火管理者の選任等 | 消防署 | 建物の規模・収容人員により必要 |
ここが、キャバクラ開業で最も重要な論点です。
・風俗営業者は、深夜(午前0時から午前6時まで)に営業できません(法第13条第1項)
・愛知県では条例により、午前6時後から午前9時までも営業できません
・したがって愛知県では、原則として午前0時から午前9時まで営業できません
・第五種地域等の接待飲食等営業は、条例で定める日に限り午前1時まで延長できます
「風俗営業許可を取ったうえで、午前0時以降は深夜酒類提供飲食店営業として営業する」という運用は認められていません。ラストオーダー、閉店時刻、シフト、客単価。すべてこの制限を前提に組む必要があります。物件を探す前に、この点を事業計画に織り込んでください。
詳しくは飲食店の営業時間は風営法でどう決まる?業態別の深夜営業ルールをご覧ください。
愛知県では、風営法施行条例により県内の区域が第一種地域から第五種地域に区分されています。
・第一種地域では許可を受けられません(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、田園住居地域)
・許可を受けられる地域でも、保全対象施設からの距離規制があります
・1号営業の場合、商業地域以外では大学以外の学校・幼保連携型認定こども園から100m、保育所・病院・有床診療所から50m。商業地域ではそれぞれ70m・30m
・第五種地域(名古屋市の一部)には距離規制がありません
用途地域の調べ方は風俗営業許可の営業が可能な用途地域について、保全対象施設の確認方法は保全対象施設の調べ方で解説しています。
施行規則第7条が定める1号営業の基準のうち、キャバクラで問題になりやすいものを挙げます。
・客室の床面積は1室16.5㎡以上(和風の客室は9.5㎡以上)。ただし客室が1室のみの場合は制限を受けません
・客室の内部が、営業所の外部から容易に見通せないこと
・客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
・客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所外に通じる出入口を除く)
・客室の照度を5ルクス以下としないこと
・騒音・振動が条例で定める数値に満たないこと
・VIPルームを作るときの注意
客室が1室だけなら面積制限を受けませんが、個室を1つ作った瞬間に「客室が2室以上」となり、それぞれが16.5㎡以上必要になります。「小さめのVIPルームを1つ」という設計は、この基準で行き詰まることがあります。
・「見通しを妨げる設備」の具体例
解釈運用基準は、仕切り、ついたて、カーテンのほか、高さがおおむね1メートル以上の背の高い椅子を例示しています。ボックス席のソファの背もたれ、パーテーション、装飾棚を選ぶ前に確認してください。
営業所ごとに管理者を1人選任する必要があります(法第24条第1項)。
・管理者とは、営業所における業務の実施を統括管理する者。店長、支配人等が該当します
・営業者自らが統括管理する場合は、自らを管理者として選任すれば足ります
・管理者は営業所ごとに専任。その営業所に常勤して業務に従事し得る状態にあることが必要です
・未成年者は管理者になれません
・欠格事由に該当しないことが必要です
・許可申請書、営業の方法を記載した書類
・営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(登記事項証明書、賃貸借契約書の写し、使用承諾書等)
・営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
・本籍記載の住民票の写し、身分証明書、誓約書
・法人の場合:定款、登記事項証明書、法人の誓約書、密接な関連を有する法人に関する書面、株主名簿の写し、役員全員分の書類
・管理者の誓約書、住民票等、写真2葉(縦3.0cm×横2.4cm、申請前6か月以内に撮影した無帽・正面・上三分身・無背景のもの)
手数料は24,000円です。添付書類の発行・作成日は、申請日から3か月以内のものが必要なので、取得のタイミングに注意してください。
費用の全体像は風俗営業許可の費用|手数料・実費・行政書士報酬の内訳、書類の詳細は風営法(風俗営業許可)申請に必要な書類一覧をご覧ください。
①物件の事前確認(用途地域・保全対象施設)
②物件契約・内装設計(構造設備基準を踏まえる)
③内装工事
④保健所の飲食店営業許可を取得
⑤図面・書類作成、証明書類の取得
⑥警察署へ申請、手数料納付
⑦審査・現地調査(標準処理期間55日)
⑧許可、許可証の交付、営業開始
許可証の交付を受ける前に営業を始めることはできません。審査期間中も賃料は発生します。物件契約からオープンまで、最低でも3か月程度を見込んで計画してください。
期間の詳細は風営法許可は申請から何日で取れる?標準処理期間55日の正しい読み方で解説しています。
接待飲食営業(1号営業)を営む者には、次の遵守事項・禁止行為が追加されました。キャバクラは直接の対象です。
【遵守事項】
・料金に関する虚偽説明
・客の恋愛感情等につけ込んだ飲食等の要求
・客が注文していない飲食等の提供
【禁止行為(罰則あり)】
・客に注文や料金の支払等をさせる目的での威迫
・威迫や誘惑による料金の支払等のための売春、性風俗店勤務、AV出演等の要求
・シャンパンの扱いに注意
解釈運用基準は、「客が注文していない飲食等の提供」の例として、客が注文する前にシャンパンボトルを開栓すること、シャンパンタワーを組み上げること、シャンパンコールを実施し終えることを挙げています。キャストの判断で先に開けてしまう運用は、店として明確に禁じておく必要があります。
・広告表示にも影響します
解釈運用基準は、接客従業者の指名数、売上額等の営業成績や役職を殊更に強調するなど、接客従業者間に過度な競争意識を生じさせる広告が、法第16条の広告規制の対象となることを明示しています。ランキング表示を行っている店舗は、表示方法の見直しが必要です。
改正の全体像は2025年(令和7年)風営法改正まとめをご覧ください。
・物件を契約する前に、その場所で1号営業ができるか確認してください。第一種地域、保全対象施設との距離。契約後に判明しても取り返しがつきません
・内装の設計段階で、客室の区切り方を決めてください。VIPルームを作るなら16.5㎡以上。ソファやパーテーションの高さも基準に関わります
・営業時間を前提に事業計画を組んでください。午前0時までという制限は、後から変えられません
・役員と管理者の欠格事由を、早い段階で確認してください。申請直前に判明すると、体制の組み直しから始めることになります
・料金体系と注文の取り方を、開業前にルール化してください。2025年改正で、ここが直接の規制対象になりました
・キャバクラは風俗営業1号営業。許可証には「社交飲食店」と記載される
・飲食店営業許可と風俗営業許可の両方が必要
・愛知県では原則として午前0時から午前9時まで営業できない
・客室が2室以上なら1室16.5㎡以上(和風9.5㎡以上)
・手数料24,000円、標準処理期間55日
・2025年改正で、料金説明・注文の取り方・広告表示が直接の規制対象になった
キャバクラの開業でつまずくのは、物件と内装です。この2つは、後から変更するのに最もコストがかかります。物件を決める前の段階からご相談いただければ、無駄な出費を避けられます。
【行政書士久遠事務所】
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