2025年(令和7年)風営法改正まとめ|罰則強化・欠格事由追加をわかりやすく解説

この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。


2025年(令和7年)5月、風営法を改正する法律が成立・公布されました。無許可営業の罰金は200万円以下から1,000万円以下へ、法人に対する罰金は3億円以下へ引き上げられています。


改正はすでに全面施行済みです。ところがインターネット上には、改正前の内容のまま書かれた解説が今も数多く残っています。古い記事を見て「罰金は200万円まで」と理解したままでは、リスクの見積もりを大きく誤ります。


この記事では、警察庁と愛知県警察が公表している資料にもとづき、今回の改正で何がどう変わったのかを整理します。



改正の背景

警察庁は改正の背景を次のように説明しています。


いわゆるホストクラブにおいて遊興又は飲食をした女性客が、売掛金等の名目で多額の債務を負担させられ、ホストやホストクラブ経営者から、その支払のために売春することや性風俗店で稼働すること等を要求される事案が発生し、社会問題化している。


背景がホストクラブ問題であるため「うちには関係ない」と考えられがちですが、罰則の強化と欠格事由の追加は、風俗営業全体に及びます。スナックでも雀荘でもゲームセンターでも、無許可営業の罰則は同じように引き上げられています。
(参照: 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(概要)」


改正の全体像

改正の内容は4つに整理されます。


項目 内容 施行日
① 接待飲食営業に係る遵守事項・禁止行為の追加 料金の虚偽説明、恋愛感情等につけ込んだ要求などを規制 令和7年6月28日
② スカウトバックの禁止 性風俗店がスカウトに紹介料を支払うことを禁止 令和7年6月28日
③ 無許可営業等に対する罰則の強化 拘禁刑・罰金の上限を大幅に引上げ 令和7年6月28日
④ 風俗営業からの不適格者の排除 許可の欠格事由を追加 令和7年11月28日


①接待飲食営業の遵守事項・禁止行為

対象は「接待飲食営業」です

まず、対象となる営業の範囲を正確に押さえてください。警察庁の資料は「接待飲食営業」を次のように定義しています。


接待飲食営業
設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業


これは風営法1号営業のことです。2号営業(低照度飲食店)や3号営業(区画席飲食店)は、1号から3号までをまとめた「接待飲食等営業」には含まれますが、今回の遵守事項の対象である「接待飲食営業」ではありません。名称が似ているため、混同しないよう注意してください。


遵守事項として規定された行為

次の3つが、接待飲食営業を営む風俗営業者の「してはならない行為」として規定されました。


料金に関する虚偽説明
客の恋愛感情等につけ込んだ飲食等の要求
客が注文していない飲食等の提供


禁止行為として規定された行為(罰則あり)

次の2つは、より重い「禁止行為」として規定され、罰則が設けられました。


客に注文や料金の支払等をさせる目的での威迫
威迫や誘惑による料金の支払等のための売春(海外売春を含む)、性風俗店勤務、AV出演等の要求


実務上とくに影響が大きいのは「客が注文していない飲食等の提供」です。従業員が独自の判断で高額なボトルを開ける、客の意思確認をせずに追加を入れるといった運用は、店の方針として明確に禁じておく必要があります。料金表示のあり方も含め、営業の方法を見直しておいてください。


②スカウトバックの禁止

性風俗店を営む者が、スカウト等から求職者の紹介を受けた場合に紹介料を支払うこと(いわゆる「スカウトバック」)が禁止されました。罰則があります。


これは、ホストクラブの売掛金を返済させるために女性を性風俗店へ送り込む流れを、資金の面から断つことを狙った規制です。


③無許可営業等に対する罰則の強化

今回の改正で最も数字が動いたのがここです。


対象 改正前 改正後
風俗営業の無許可営業等(拘禁刑) 2年以下 5年以下
風俗営業の無許可営業等(罰金) 200万円以下 1,000万円以下
両罰規定による法人への罰金 200万円以下 3億円以下


・両罰規定とは
従業員や役員が違反行為をした場合に、行為者本人だけでなく、その法人にも罰金を科す仕組みです。法人に対する上限が200万円から3億円へと150倍になったことで、無許可営業のリスクは事業継続そのものを脅かす水準になりました。


「接待に当たるかどうか微妙だが、とりあえず営業を始めてみる」という判断は、改正前とは比較にならないリスクを伴います。判断が難しい業態ほど、事前の確認が重要になりました。


④欠格事由の追加

令和7年11月28日施行分です。次の3類型が、風俗営業の許可を受けられない者として追加されました。


親会社等が許可を取り消された法人
警察による立入調査後に許可証の返納(処分逃れ)をした者
暴力的不法行為等を行うおそれがある者が、その事業活動に支配的な影響力を有する者


それぞれ、これまで使われてきた抜け道をふさぐものです。処分を受けた会社が子会社名義で許可を取り直す、取消処分が出る前に自主的に許可証を返納する、表向きは無関係を装って実質的に経営を支配する。こうした手法が通用しなくなりました。


法人で申請する場合、グループ会社の処分歴が自社の許可に影響します。申請時に提出する「密接な関連を有する法人に関する書面」の重みが増したことになります。


欠格事由の全体像は、風営法の欠格事由をわかりやすく解説|具体例つき・2025年改正対応で具体例とともに整理しています。


施行日の整理

改正法は令和7年5月28日に公布され、令和7年11月28日までにすべての規定が施行されました。現在はすべての内容が適用されています。


記事や資料を参照するときは、公表日と施行日の両方を確認してください。2025年6月から11月の間に書かれた記事は、欠格事由の追加が「今後施行される」という書き方になっていることがあります。
(参照: 警察庁「悪質ホストクラブ対策について」


すでに営業している店が確認すべきこと

料金表示と説明の方法/料金体系が客に正しく伝わる形になっているか。セット料金、指名料、サービス料、消費税の扱いが明確か
注文の取り方/客が注文していない飲食物を提供する運用になっていないか。従業員に周知されているか
売掛金の扱い/支払を求める際の方法が、威迫と評価されるおそれのないものになっているか
役員・グループ会社の状況/関連法人に処分歴がないか
営業の方法の記載内容/届け出ている内容と実際の営業が一致しているか


料金表やシステムの作り方については、風営法申請のシステム・料金表の作り方|記載項目と税込表示のポイントで解説しています。


これから開業する人への影響

新規に許可を取る立場からすると、影響は次の2点に集約されます。


許可が必要かどうかの判断ミスのコストが跳ね上がった/無許可営業の罰則が5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下)になったため、「たぶん大丈夫」で始めるリスクが以前とは桁違いになりました
法人の場合、関係会社まで確認が必要になった/代表者と役員だけを見れば足りる時代ではなくなりました


自分の店に許可が必要かどうかの判定は、風営法許可は必要?業態別に確認する判定方法とチェックリストから確認してください。


まとめ

改正法は令和7年5月28日公布、令和7年11月28日までに全面施行済み
接待飲食営業(=1号営業)に遵守事項3つと禁止行為2つが追加された
性風俗店によるスカウトバックが禁止された
無許可営業等は5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金
欠格事由に3類型が追加され、親会社等の処分歴や実質的支配者が問われるようになった


改正のポイントは、「悪質な事業者を市場から排除する」方向に制度全体が振れたことです。適正に営業している店にとって直接の負担が増えるわけではありませんが、料金表示や注文の取り方といった日常の運用が、これまで以上に問われる形になりました。


自店の営業方法が改正後の基準に照らして問題ないか確認したい方、これから開業される方は、お気軽にご相談ください。


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