この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
「風俗営業」という言葉から、性的なサービスを提供する店を思い浮かべる方は多いと思います。しかし風営法上、この2つはまったく別の区分です。
キャバクラや雀荘、ゲームセンターが「風俗営業」、性的なサービスを提供する営業は「性風俗関連特殊営業」。前者は許可制、後者は届出制です。
ところが、届出だから手続が簡単というわけではありません。むしろ営業できる場所の制限は、風俗営業よりはるかに厳しくなっています。この記事では、両者の違いを整理します。
| 風俗営業 | 性風俗関連特殊営業 | |
|---|---|---|
| 手続 | 許可 | 届出 |
| 行政の判断 | 審査のうえ許可される | 受理される(審査による許可ではない) |
| 営業できる場所 | 第一種地域以外(距離規制あり) | 類型により県内全域で禁止 |
| 実地調査 | あり | なし |
| 手数料 | 24,000円等 | 不要 |
届出制であるということは、「行政がお墨付きを与える制度ではない」という意味です。受理されても、禁止区域で営業していれば違法な状態であることに変わりはありません。
つまり「届出を出したから大丈夫」という発想が最も危険な制度です。
風営法は、性風俗関連特殊営業を次のように分類しています。
・店舗型性風俗特殊営業(法第2条第6項第1号〜第6号)
・無店舗型性風俗特殊営業(同第7項)
・映像送信型性風俗特殊営業(同第8項)
・店舗型電話異性紹介営業(同第9項)
・無店舗型電話異性紹介営業(同第10項)
このほか、無店舗型性風俗特殊営業に係る受付所営業についても、別に規制が設けられています。
愛知県の風営法施行条例第12条は、店舗型性風俗特殊営業のうち法第2条第6項第1号、第2号、第4号及び第6号の営業(第4号については一定の構造設備を有するものに限る)について、県の全域で営むことを禁止しています。
つまり、これらの類型は愛知県内のどこでも新たに営業できません。
上記以外の店舗型性風俗特殊営業は、第一種地域、第二種地域及び第三種地域では営めません(条例第12条第2号)。
第三種地域は「第一種・第二種・第四種・第五種以外の地域」と定義されており、近隣商業地域、準工業地域、工業地域、市街化調整区域等の広い範囲が含まれます。
結果として、営業できるのは第四種地域(商業地域)と第五種地域に限られます。風俗営業が第一種地域以外で営めるのと比べて、格段に狭い範囲です。
愛知県の条例第11条は、禁止区域の基準となる施設として次を定めています。
・病院及び診療所
・公民館(社会教育法第5章に規定するもの)
・都市公園(都市公園法第2条第1項に規定するもの)
風俗営業の保全対象施設(学校・幼保連携型認定こども園・保育所・病院・有床診療所)とは、対象施設が異なります。混同しないでください。
・店舗型性風俗特殊営業のうち一定の類型(第五種地域に営業所があるもの)/午前1時から午前6時まで営業できません
・それ以外の店舗型性風俗特殊営業/深夜(午前0時から午前6時まで)営業できません
・受付所営業、店舗型電話異性紹介営業/深夜営業できません
性風俗関連特殊営業には、広告・宣伝を制限すべき地域が条例で定められています。営業できる地域とは別に、広告を出せない地域が設定されているということです。
映像送信型性風俗特殊営業や無店舗型についても、それぞれ広告制限の対象地域が定められています。
2025年(令和7年)6月28日施行の改正で、性風俗関連特殊営業に直接関わる規制が新設されました。
スカウトバックの禁止
性風俗店を営む者が、スカウト等から求職者の紹介を受けた場合に紹介料を支払うことが禁止されました。罰則があります。
これは、ホストクラブの売掛金を返済させるために女性を性風俗店へ送り込む流れを、資金の面から断つことを狙った規制です。求人の経路そのものが規制対象になったという点で、実務への影響は小さくありません。
改正の全体像は2025年(令和7年)風営法改正まとめで解説しています。
・18歳未満の者を客に接する業務に従事させることはできません
・18歳未満の者を客として立ち入らせることはできません
この点は風俗営業と共通ですが、性風俗関連特殊営業では違反時の扱いがより重くなります。採用時の年齢確認は、店側の責任です。
✕「風俗営業=性的なサービスの店」
〇風俗営業はキャバクラ、スナック、雀荘、パチンコ店、ゲームセンター。性的なサービスは性風俗関連特殊営業として別区分
✕「届出だから簡単」
〇届出は行政のお墨付きではない。禁止区域なら受理されても違法な状態
✕「風俗営業許可があれば性風俗も営める」
〇まったく別の制度。それぞれ独立した規制がかかる
当事務所は、風俗営業許可、特定遊興飲食店営業許可、深夜酒類提供飲食店営業届出を中心に取り扱っています。
性風俗関連特殊営業に関する届出については、営業の類型、営業所の所在地、条例による禁止区域の該当性など、確認すべき事項が多岐にわたります。ご相談の内容によっては、対応をお引き受けできない場合があります。
まずは、ご検討中の営業がどの区分に当たるのかを整理するところからご相談ください。
・風俗営業は許可制、性風俗関連特殊営業は届出制
・届出は行政の許可ではない。受理されても禁止区域なら違法な状態
・愛知県では、店舗型の一部類型が県内全域で禁止されている
・それ以外も第一種・第二種・第三種地域では営めない
・禁止区域の基準となる施設は、病院・診療所、公民館、都市公園
・2025年改正でスカウトバックが禁止された(罰則あり)
・18歳未満の従業・立入りはできない
風営法は、名前が似ていて中身の違う制度が並んでいる法律です。まず自分の営業がどの区分に当たるのかを正確に把握することが、すべての出発点になります。
区分の判定は風営法許可は必要?業態別に確認する判定方法とチェックリストから、風俗営業許可の全体像は風俗営業許可とは|愛知県・名古屋の申請ガイド完全版からご確認ください。
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