この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
風俗営業許可には有効期間がなく、更新の手続もありません。そのぶん、営業を続けるうえで発生するのが変更手続です。
ここで最も間違えやすいのが、「事前に承認を受けなければならないもの」と「事後に届け出れば足りるもの」の区別です。承認が必要な工事を先に始めてしまうと、それだけで違反になります。
この記事では、どの変更にどの手続が必要かを整理します。
| 手続 | タイミング | 対象 |
|---|---|---|
| 変更承認申請 | 事前 | 営業所の構造又は設備の変更(軽微なものを除く) |
| 変更届出 | 事後 | 営業者に関する事項の変更/構造設備の軽微な変更 |
| 許可証の書換え | 事後 | 許可証の記載事項が変わったとき |
承認は「やる前」、届出は「やった後」です。順番を間違えると取り返しがつきません。
風営法第9条第1項は、次のように定めています。
風俗営業者は、増築、改築、模様替えその他の営業所の構造又は設備を変更しようとするときは、公安委員会の承認を受けなければならない。ただし、公安委員会規則で定める軽微な変更については、この限りでない。
・工事を始める前に承認が必要です
承認を受けずに工事をしてしまうと、事後的に是正できない場合があります。「終わってから届け出ればいい」というものではありません。
内装のリニューアル、レイアウト変更、間仕切りの追加、照明の全面入替え。これらは工事の前に相談してください。
変更の承認を受けた後、当該変更に係る工事が完了したときは、公安委員会の検査を受ける必要があります。
承認だけで終わりではありません。工事完了後の検査まで含めて1つの手続です。
承認が不要なものは、事後の届出で足ります。届出には2つの類型があり、期限が異なります。
| 変更する内容 | 期限 |
|---|---|
| 氏名、住所(個人) | 10日以内 |
| 営業所の名称(屋号) | 10日以内 |
| 管理者の氏名・住所、管理者の交替 | 10日以内 |
| 法人の名称、住所、代表者の氏名、役員の氏名・住所 | 20日以内 |
法人に関する変更だけ20日以内と長く設定されているのは、登記事項証明書の添付が必要なためです。登記が完了しないと届出ができないため、その期間が考慮されています。
逆に言えば、登記が遅れると届出も遅れます。司法書士への依頼を含め、スケジュールを組んでください。
| 変更する内容 | 期限 |
|---|---|
| 照明設備、音響設備、防音設備に係る軽微な変更 | 10日以内 |
| 上記以外の軽微な変更 | 1か月以内 |
照明・音響・防音だけが10日以内と短く設定されています。照度や騒音の基準に直結する設備だからです。テーブルや椅子の入替えより短い期限であることに注意してください。
許可証の記載事項(営業者の氏名・名称、営業所の名称等)が変わったときは、変更届出とは別に、許可証の書換えを申請する必要があります。
屋号を変えたのに許可証が古いまま、という状態は避けてください。変更届出と書換え申請はセットで行います。
すべての変更に手続が必要なわけではありません。
届出も不要とされる例
・照明設備、音響設備等の同一の規格及び性能の範囲内で行われる設備の更新
・電球が切れたため、従前と同じワット数の電球に付け替える
・スピーカーが故障したため、従前と同じ音響パワーレベルのものに入れ替える
・破損箇所の原状回復(軽微な壁紙の貼り替え等)
ポイントは「同一の規格・性能の範囲内か」です。同じものに戻すだけなら不要、性能や配置が変われば届出、構造が変われば承認、という段階になります。
判断に迷う場合は、工事の前に所轄の警察署に確認してください。後から「承認が必要だった」と分かるより、はるかに損失が小さくて済みます。
最も重要な例外です。
・営業所を移転する/変更届ではなく、新たに許可を取り直す必要があります
・営業者そのものが変わる/個人から法人へ、事業譲渡など。新規許可が必要です
・大規模な改装で営業所の同一性が失われる/新規許可が必要になる場合があります
「変更手続で済む」と思って進めた結果、新規許可が必要と判明すると、標準処理期間55日が改めて発生します。その間は営業できません。
改装・移転の判断については改装・移転で新規許可になる場合|営業所の同一性、法人化については個人から法人にするとき|許可は引き継げないをご覧ください。
Q1 営業所を移転する、または営業者が変わる?
→ YES:新規許可/NOならQ2へ
Q2 営業所の構造・設備を変える?
→ NO(氏名・名称・管理者等の変更):変更届出(10日/20日以内)
→ YESならQ3へ
Q3 その変更は「軽微」か?
→ 軽微でない:変更承認申請(事前)+工事完了後の検査
→ 軽微:変更届出(照明・音響・防音は10日、その他は1か月以内)
→ 同一規格・性能の範囲内の更新:手続不要
Q3の「軽微かどうか」が最も判断の難しいところです。迷ったら、工事の前に所轄へ確認してください。
・工事の前に、承認が必要かを確認してください。着工してからでは遅い手続です
・照明・音響・防音の変更は10日以内です。他の設備より期限が短い点を覚えておいてください
・法人の変更は登記完了後でないと届出できません。20日以内という期限から逆算して登記を進めてください
・店長交代は10日以内に届出してください。放置している店舗が少なくありません
・屋号を変えたら、許可証の書換えも忘れないでください。変更届とセットです
・移転は新規許可です。「同じビルの別フロア」でも移転にあたります
・構造設備の変更は、原則として事前の変更承認申請が必要(法第9条第1項)
・承認を受けた工事は、完了後に公安委員会の検査を受ける
・営業者に関する変更は10日以内、法人の名称・代表者・役員等は20日以内に届出
・構造設備の軽微な変更は1か月以内。ただし照明・音響・防音は10日以内
・同一の規格・性能の範囲内での更新は、届出も不要
・営業所の移転、営業者の変更は、変更手続ではなく新規許可
変更手続は、「事前か事後か」を間違えないことがすべてです。工事や体制変更を計画した段階で、どの手続が必要かを確認しておいてください。
当事務所では、許可取得後の維持管理サポートも承っています。変更の予定が立った段階でご相談いただければ、必要な手続とスケジュールを整理してお伝えできます。
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