この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
「店を広げたい」「同じビルの上の階に移りたい」「内装を全面的に変えたい」。
営業が軌道に乗ると出てくる相談ですが、やり方によっては、変更手続では済まず、許可を取り直すことになります。そして許可の取り直しには、標準処理期間55日がかかります。その間は営業できません。
この記事では、どこまでが変更手続で、どこからが新規許可になるのかを整理します。
風俗営業許可は営業所ごとに受けるものです。
営業所が変われば、それは別の営業所であり、新たに許可を受ける必要があります。
これは「同じビルの別フロアに移る」場合でも同じです。住所が同じでも、営業所として特定されている場所が変われば移転にあたります。
「変更届で済むだろう」という前提で計画を立てると、開業予定日を大きく外すことになります。
移転しない場合でも、改装の規模によっては新規許可が必要になります。判断の基準が「営業所の同一性」です。
・同一性が保たれている → 変更承認申請(事前)+工事完了後の検査
・同一性が失われる → 新規許可の取得が必要
警察庁の解釈運用基準は、営業所の同一性について判断の枠組みを示しています。具体的にどこからが同一性を失うかは、改装の内容・規模・範囲によって個別に判断されます。
「この工事は変更承認で済むか、新規許可になるか」は、図面ができた段階で所轄の警察署に確認するのが確実です。
移転にあたります。新規許可が必要です。
移転先のフロアについて、改めて用途地域・保全対象施設・構造設備の要件を満たすか確認が必要です。用途地域と保全対象施設は建物単位で判断されるため通常は同じ結論になりますが、構造設備は新しい区画で満たす必要があります。
既存の営業所に別の階を加える場合、それが「同一の営業所の拡張」なのか「別の営業所」なのかが問題になります。階段やエレベーターの状況、内部で行き来できるか、客の動線がどうなるかなどが判断に影響します。
この判断は自己判断できません。計画段階で所轄に相談してください。
同一フロア内で壁を抜いて広げる場合も、増築・改築にあたるため変更承認申請が必要です。規模が大きければ、同一性が失われると判断される可能性もあります。
なお、客室を増やすことになれば、1号営業では新しい客室も16.5㎡以上(和風9.5㎡以上)が必要です。増床したのに面積要件を満たせない、という事態を避けてください。
壁や客室の配置を変えず、内装材や什器を入れ替えるだけであれば、軽微な変更の届出で足りる場合があります。
一方、間仕切りを追加する、客室の数を変える、照明を全面的に入れ替えるといった変更は、承認や届出の対象になります。とくに照明・音響・防音の変更は、届出期限が10日以内と短い点に注意してください。
愛知県警察は、地震、火災等による営業所の滅失によって申請する場合について、手数料が加算されること、滅失したことを疎明する書類が必要になることを案内しています。新規申請の一類型として扱われます。
①図面を作成する
②所轄の警察署に相談し、承認が必要かを確認する
③変更承認申請を行う(工事の前)
④承認を受ける
⑤工事を実施する
⑥工事完了後、公安委員会の検査を受ける
③を飛ばして工事を始めると、事後的に是正できない場合があります。「工事してから相談」は最も避けるべき進め方です。
・手数料24,000円が改めて必要です
・標準処理期間55日がかかります。ただし、申請時点で営業所が存在し実地調査が可能な場合に限られます
・許可が下りるまで、新しい営業所では営業できません
・証明書類(住民票・身分証明書等)も改めて必要です。発行から3か月以内のもの
・移転元の営業所については、廃止の手続が必要になります
・空白期間をどう埋めるか
移転の場合、新しい営業所の工事が終わってから申請し、許可が下りるまで55日程度かかります。その間、旧営業所で営業を続けられるかどうかは、賃貸借契約の期間や工事の段取りによります。
移転を検討し始めた段階で、スケジュールを逆算してください。
□この工事は移転にあたらないか
□営業所の同一性が保たれるか(所轄に確認したか)
□変更承認申請が必要か、軽微な変更の届出で足りるか
□客室を増やす場合、面積要件(1号営業は16.5㎡以上)を満たすか
□見通しを妨げる設備を追加していないか(高さおおむね1メートル以上)
□照明を変える場合、照度の基準を満たすか。調光器を入れていないか
□個室に施錠設備を設けていないか
□飲食店営業許可の施設基準に影響しないか(保健所への確認)
・移転は必ず新規許可です。同じビル内でも同じです
・「同一性が保たれるか」は自己判断しないでください。図面を持って所轄に相談してください
・工事の前に承認を受けてください。着工後では手の打ちようがなくなります
・増床で客室が増えるなら、面積要件を先に検算してください。広げたのに基準を満たせないのは最悪の結果です
・移転は55日を見込んでスケジュールを組んでください。賃貸借契約の重複期間も予算に入れてください
・保健所の手続も忘れないでください。厨房に手を入れるなら、飲食店営業許可にも影響します
・営業所の移転は、変更届ではなく新規許可
・同じビルの別フロアへの移動も移転にあたる
・改装は「営業所の同一性」が保たれるかで、変更承認か新規許可かが分かれる
・同一性の判断は個別。図面の段階で所轄に確認する
・変更承認は工事の前。完了後は公安委員会の検査を受ける
・新規許可になると、手数料24,000円と標準処理期間55日が改めて発生する
・許可が下りるまで新しい営業所では営業できない
改装・移転は、着工前に相談するかどうかで結果が大きく変わります。計画段階でご相談いただければ、変更手続で済む形に設計を調整できる場合もあります。
「この工事は承認がいるのか」という確認だけでも構いません。お気軽にお問い合わせください。
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