ガールズバーに風俗営業許可は必要?カウンター越しでも接待になる場合

この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。


ガールズバーは、風営法上の区分名ではありません。「カウンター越しに女性スタッフが接客するバー」という営業の呼び名であって、法律にその区分は存在しません。


そのため、必要な手続は営業の実態から判断することになります。接待をしなければ深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業できますが、実態が接待と判断されれば、風俗営業の無許可営業になります。


この記事では、警察庁の解釈運用基準が示す判断基準にもとづき、どこから接待になるのかを整理します。



ガールズバーに専用の区分はありません

必要な手続は、次の3つに分かれます。


営業の実態 必要な手続
接待をしない/午前0時までに閉店 飲食店営業許可のみ
接待をしない/午前0時以降も酒類を提供 飲食店営業許可+深夜酒類提供飲食店営業開始届出
接待をする 飲食店営業許可+風俗営業1号営業の許可


一般に「ガールズバー」として運営されているのは2番目のパターンです。深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業し、接待はしない、という前提で成り立っています。


「カウンター越しなら大丈夫」は正確ではありません

最も広まっている誤解です。


警察庁の解釈運用基準が接待に当たらない例として挙げているのは、次のとおりです。


お酌をしたり水割りを作るが、速やかにその場を立ち去る行為
客の後方で待機する行為
カウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為
これらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為


注目すべきは「単に」「注文に応じて」「提供するだけ」「若干の」という限定です。カウンターの中にいることが免罪符になるわけではありません。


一方、接待に当たる行為として基準が挙げているのは次のとおりです。


特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となる行為
特定少数の客の近くにはべり、継続して、酒等の飲食物を提供する行為


この基準に「カウンターの内か外か」という条件は入っていません。カウンター越しであっても、特定の客の正面に立ち続けて継続的に談笑の相手をしていれば、接待と判断される可能性があります。


接待になりやすい5つの場面

解釈運用基準の各類型を、ガールズバーの実務に当てはめると次のようになります。


特定の客の前に張り付く/スタッフの配置を固定し、指名に近い運用をすると、「特定少数」「継続して」の要件に近づきます
客と一緒に歌う、客の歌を褒めはやす/基準は、特定少数の客の近くではべって歌を勧奨する行為、手拍子・拍手・褒めはやす行為、客と一緒に歌う行為を接待に当たるとしています
客と一緒にゲームをする/特定少数の客と共に遊戯・ゲーム・競技等を行う行為は接待に当たります。客同士でやらせる分には直ちに接待とはいえません
身体に接触する/手を握る、身体を密着させる行為は接待に当たります。社交儀礼上の握手は除かれます
客の口許まで飲食物を差し出す/これも接待に当たると明示されています


・チェキやプレゼントの扱い
これらの行為が接待に当たるかどうかは、一次情報で個別に明示されていません。実施の態様(特定の客に向けられているか、継続的か、身体接触を伴うか)によって評価が変わり得るため、営業に取り入れる前に所轄の警察署に確認することをおすすめします。


遊興の論点もあります

接待とは別に、「遊興」の問題があります。深夜に客に遊興をさせると、特定遊興飲食店営業の許可が必要になるためです。


この点について、解釈運用基準は明確な記載を置いています。


いわゆるガールズバー、メイドカフェ等で、客にショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたりせずに、単に飲食物の提供のみを行う行為は、「客に遊興をさせる」ことには当たらない。


つまり、単に飲食物を提供しているだけなら、遊興には当たりません。ただし、ショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたりすれば、遊興に当たり得ます。イベントを企画する際は、この線引きを意識してください。
(参照: 警察庁「解釈運用基準」第10中2(3))


判断を誤ったときのリスク

届出だけで営業していた店が接待をしていたと判断されれば、風俗営業の無許可営業になります。


5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金
法人の場合、両罰規定により3億円以下の罰金


2025年(令和7年)6月28日施行の改正で、罰金は200万円以下から1,000万円以下に、法人に対する罰金は200万円以下から3億円以下に引き上げられました。グレーゾーンで営業を続けることのコストが、以前とは桁違いになっています。


さらに、無許可で接待飲食等営業を営んで摘発された場合、接待をやめて飲食店営業として営もうとしても、飲食店営業の停止を命じられることがあります(法第34条)。「接待をやめれば済む」とは限りません。


改正の詳細は2025年(令和7年)風営法改正まとめをご覧ください。


営業形態をどう設計するか

ガールズバーとして届出で営業するなら、次の点をルール化しておく必要があります。


スタッフの立ち位置を固定しない/特定の客の前に張り付く運用にしない
会話は店全体に開かれた形にする/特定の客との継続的な談笑にならないようにする
カラオケの扱いを決めておく/一緒に歌う、褒めはやすは接待に当たります
身体接触を禁止する/店の方針として明確にし、従業員に周知する
ゲームは客同士でやってもらう/スタッフが客と共に行うと接待に当たります


重要なのは、店の方針だけでなく、実際の運用がそうなっているかです。店長が「接待はしない」と決めていても、スタッフが特定の客と盛り上がっていれば、店として接待をしていることになります。採用時と定期的な研修での周知が必要です。


実務上のポイント

物件を契約する前に、営業できる場所か確認してください。深夜酒類提供飲食店営業も、第一種地域では営業できません
接待をする可能性が少しでもあるなら、最初から1号営業を検討してください。途中で切り替えるには、また55日かかります
グレーな運用のまま営業を続けないでください。2025年改正後は、判断を誤ったときの損失が事業継続を左右する水準です
迷ったら所轄の警察署に確認してください。営業所の所在地によって管轄する警察署が異なります


まとめ

ガールズバーは風営法上の区分ではなく、営業の実態で判断される
接待をしなければ深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業できる
「カウンター越しなら接待にならない」は正確ではない。判断基準に内外の別はない
鍵は「特定少数の客に」「継続して」の2つ
単に飲食物を提供するだけなら遊興には当たらない(解釈運用基準に明記)
無許可営業は5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下


ガールズバーは、営業の実態と手続が食い違いやすい業態です。届出で営業を始めたあと、運用が少しずつ接待寄りになっていく、というケースもあります。


すでに営業されている方の運用チェックにも対応しています。「この接客は大丈夫か」という確認だけでも構いません。


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