この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
「スナックを開くのに、風俗営業許可はいるのか」。開業相談で最も多い質問です。
答えは「営業のやり方によって変わる」です。同じ「スナック」という看板でも、必要な手続はまったく別物になります。分かれ目は、接待をするかどうかと、午前0時以降も営業するかどうかの2点です。
この記事では、警察庁の解釈運用基準が示す接待の判断基準にもとづいて、スナックが取るべき手続を3つのパターンに整理します。
| 営業のやり方 | 必要な手続 | 営業できる時間(愛知県) |
|---|---|---|
| 接待をする | 飲食店営業許可+風俗営業1号営業の許可 | 原則、午前9時~午前0時 |
| 接待をしない/午前0時以降も酒類を提供する | 飲食店営業許可+深夜酒類提供飲食店営業開始届出 | 時間の制限なし |
| 接待をしない/午前0時までに閉店する | 飲食店営業許可のみ | 午前0時まで |
「スナックだから許可がいる」「スナックだから届出でいい」という決まった答えはありません。自分の店がどのパターンかを、営業の実態から判断する必要があります。
風営法は、接待を次のように定義しています。
風営法第2条第3項
この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。
これだけでは判断できないため、警察庁の解釈運用基準が具体的な考え方を示しています。基準は、接待を次のように説明しています。
営業者側の積極的な行為として相手を特定して、興趣を添える会話やサービス等を行うこと。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して、単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うこと。
(参照: 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」第2中2)
解釈運用基準は、6つの場面について、接待に当たる行為と当たらない行為を具体的に示しています。スナックに関係の深いものを挙げます。
【接待に当たる】
・特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手となる
・特定少数の客の近くにはべり、継続して酒等の飲食物を提供する
【接待に当たらない】
・お酌をしたり水割りを作るが、速やかにその場を立ち去る
・客の後方で待機する
・カウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供する
・これらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わす、若干の世間話をする
【接待に当たる】
・特定少数の客の近くにはべり、その客に歌うことを勧める
・その客の歌に手拍子をとる、拍手をする、褒めはやす
・客と一緒に歌う(デュエット)
【接待に当たらない】
・客の近くに位置せず、不特定の客に歌うことを勧める
・不特定の客の歌に拍手をする、褒めはやす
・不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける
【接待に当たる】
・客と身体を密着させる、手を握るなど身体に接触する
・客の口許まで飲食物を差し出し、客に飲食させる
【接待に当たらない】
・社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触
・単に飲食物を運搬する、食器を片付ける
・客の荷物、コート等を預かる
基準を並べると、共通する2つのキーワードが見えてきます。
①特定少数の客に向けられているか
店全体・不特定の客に向けた行為は、接待に当たりにくい方向に働きます。「あのお客さんのために」という向き方をした瞬間に、評価が変わります。
②継続しているか
その場限りの行為と、席についてずっと続ける行為とでは扱いが違います。基準が「速やかにその場を立ち去る」を接待に当たらない例として挙げているのは、この点を示しています。
これは正確ではありません。
解釈運用基準が接待に当たらない例として挙げているのは、「カウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為」です。ポイントは「単に」「注文に応じて」「提供するだけ」という限定です。
カウンターの中にいても、特定の客の正面に立ち続けて継続的に談笑の相手をしていれば、接待と判断される可能性があります。物理的な位置ではなく、行為の内容と向き方で判断されるということです。
逆に、カウンターの外に出てお酌をしても、速やかに立ち去るのであれば、それだけで接待になるわけではありません。席についているかどうか、という形式だけでは決まりません。
接待の判断基準の全体像は、風営法の「接待」とは|接待に当たる行為・当たらない行為の一覧で6類型すべてを整理しています。
・飲食店営業許可(保健所)+風俗営業許可(公安委員会)
・申請手数料24,000円、標準処理期間55日
・営業所の場所(用途地域・保全対象施設)と構造設備の基準を満たす必要がある
・管理者の選任が必要
・愛知県では原則として午前0時から午前9時まで営業できない
1号営業の詳細は1号営業(接待飲食等営業)とは|社交飲食店・料理店の定義をご覧ください。
・飲食店営業許可(保健所)+深夜酒類提供飲食店営業開始届出(管轄警察署)
・届出手数料は不要
・営業開始日の10日前までに届出
・風営法上の営業時間の制限はない
・接待は一切できない
・飲食店営業許可(保健所)のみ
・警察への手続は不要
パターンAとパターンBは、両立できません。接待をする店は、午前0時(条例で延長が認められる場合は午前1時)で営業を終えることが前提になります。「深夜まで営業したい」のか「接待をしたい」のか、どちらを優先するかで営業形態が決まります。
業態ごとの営業時間の詳細は、飲食店の営業時間は風営法でどう決まる?業態別の深夜営業ルールで比較しています。
届出だけで営業していた店が、実際には接待をしていたと判断されれば、風俗営業の無許可営業になります。
・5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金
・法人の場合、両罰規定により3億円以下の罰金
2025年(令和7年)6月28日施行の改正で、大幅に引き上げられました。詳しくは2025年(令和7年)風営法改正まとめをご覧ください。
・物件を契約する前に、営業できる場所か確認してください。風俗営業許可を取る可能性があるなら、第一種地域では営業できず、保全対象施設からの距離規制もかかります。深夜酒類提供飲食店営業でも、第一種地域では営業できません
・内装を決める前に、どちらの手続を取るかを決めてください。風俗営業1号営業では、客室が2室以上なら1室16.5㎡以上(和風9.5㎡以上)が必要です。ボックス席の仕切り方も基準に関わります
・「様子を見て接待を始める」という進め方は避けてください。接待を始めた時点で無許可営業になります。許可を取り直すには、また55日かかります
・従業員への周知が必要です。店の方針が「接待しない」でも、従業員が席について話し込んでいれば、店として接待をしていることになります
・スナックに必要な手続は、接待の有無と営業時間で3パターンに分かれる
・接待の判断は「特定少数の客に」「継続して」がキーワード
・カウンター越しなら安全、という単純な線引きはできない
・接待をするなら風俗営業許可。愛知県では原則午前0時までの営業になる
・接待をせず深夜も営業するなら深夜酒類提供飲食店営業の届出
・判断を誤れば無許可営業。2025年改正で罰則が大幅に強化された
自分の店の接客が接待に当たるかどうかは、具体的な営業の仕方を聞かないと判断できません。開店前でも、すでに営業中でも構いません。営業形態を整理するところからご相談ください。
【行政書士久遠事務所】
風営法許可の要否判定から申請・取得・更新・変更届まで、
風俗営業に関わる各種手続きをワンストップでサポートします。
✓ 初回相談無料✓ 名古屋市内出張対応✓ 許可の維持管理サポート