この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。


風営法には、許可が必要な営業が2種類あります。風俗営業と、特定遊興飲食店営業です。


どちらも公安委員会の許可を受けるという点は同じですが、必要になる理由も、営業できる時間も、営業できる場所も、まったく違います。とくに愛知県では、特定遊興飲食店営業の営業所を設置できる地域が名古屋市の指定された区域に限られています。


この記事では、2つの制度の違いを整理します。



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風俗営業1号営業 特定遊興飲食店営業
必要になる理由 接待をするから 深夜に遊興をさせ、かつ酒類を提供するから
代表的な業態 キャバクラ、ホストクラブ、社交クラブ、接待を行うスナック ナイトクラブ、ライブハウス、深夜のショーパブ
手続 許可 許可
深夜0時以降 営業できない 営業できる
営業できない時間(愛知県) 午前0時〜午前9時 午前5時〜午前6時
営業できる場所(愛知県) 第一種地域以外
(距離規制あり)
第五種地域及び条例別表第五の地域のみ
客室の床面積 1室16.5㎡以上
(和風9.5㎡以上、1室のみは制限なし)
33㎡以上
照度 5ルクス以上 10ルクス以上
騒音(愛知県) 地域・時間帯で55〜40デシベル 第一種・第二種40デシベル
第三〜第五種50デシベル


分かれ目は「接待」か「遊興」か

接待は特定少数の客に向けられた行為

警察庁の解釈運用基準は、接待を「特定の客又は客のグループに対して、単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うこと」と説明しています。


接待に当たる例
特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手となる
特定少数の客の近くにはべり、継続して酒等を提供する
客と一緒に歌う、客の歌を褒めはやす
特定の客の身体に接触しながらダンスをさせる


遊興は不特定の客に向けられた行為

遊興は、営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせることを指します。


遊興に当たる例
不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる
不特定の客に歌手の歌やバンドの生演奏を聴かせる
客にダンスをさせる場所を設け、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる
のど自慢大会等の遊戯・ゲーム・競技等に不特定の客を参加させる
カラオケ装置を設け、不特定の客に歌うことを勧奨し、照明の演出・合いの手・褒めはやす行為を行う


遊興に当たらない例
単にテレビの映像や録音された音楽を流す
客が自分から歌うと要望した場合に、マイクや歌詞カードを手渡す
バー等でスポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる
ボウリングやビリヤードの設備を設けて、不特定の客に自由に使用させる


同じダンスでも、特定の客と一緒に継続して踊れば接待、フロアで不特定の客を踊らせれば遊興です。誰に向けられた行為かで区別されます。


接待の判断基準は風営法の「接待」とは|接待に当たる行為・当たらない行為を6分類で解説で詳しく整理しています。


特定遊興は「深夜」+「遊興」+「酒類」の3点セット

特定遊興飲食店営業に該当するのは、次の3つがすべて揃う場合です。
深夜(午前0時から午前6時まで)に営業する
客に遊興をさせる
客に酒類を提供する


1つでも欠ければ、特定遊興飲食店営業には当たりません。


深夜に遊興させるが酒類を出さない → 該当しない
深夜に酒類を出すが遊興させない → 深夜酒類提供飲食店営業の届出
遊興させ酒類も出すが、午前0時までに閉店 → 該当しない


・たまたまの深夜イベントは該当しません
解釈運用基準は、特に人々の関心の高い試合等が行われるときに、反復継続の意思を持たずにたまさか短時間に限って深夜に遊興をさせたような場合は、特定遊興飲食店営業としての継続性は認められないとしています。年に数回の大きな試合で盛り上がる程度であれば、直ちに許可が必要になるわけではありません。


愛知県では場所が大きく限られます

ここが、特定遊興飲食店営業の最大のハードルです。


愛知県の風営法施行条例第22条は、営業所を設置できる地域を第五種地域(条例別表第四)及び条例別表第五に掲げる地域に限定しています。


対象となる町名
千種区 今池、内山の一部
東区 東桜、東新町の一部
中区 栄、新栄、新栄町、錦の一部


いずれも名古屋市内の、丁目・番地まで指定された区域です。名古屋市外では、特定遊興飲食店営業の許可を受けられません。


さらにその区域内でも、児童福祉施設(深夜において児童を入所等させるもの)、病院、診療所、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院の敷地の周囲から30メートルの範囲内は除かれます。


正確な区域は愛知県風営法施行条例の別表第四・別表第五でご確認ください。


・第五種地域は風俗営業にとっても好条件です
第五種地域は、風俗営業について保全対象施設からの距離規制がなく、接待飲食等営業は午前1時まで営業を延長できる区域でもあります。愛知県で最も条件のよい立地といえます。


営業時間の違い

風俗営業1号営業(愛知県)
午前0時から午前9時まで営業できません
第五種地域及び条例別表第五の地域では、接待飲食等営業に限り午前1時まで延長できます


特定遊興飲食店営業(愛知県)
県内全域において、午前5時から午前6時まで営業できません
実質的に午前5時まで営業できます


この差は決定的です。深夜営業を事業の中心に据えるなら、接待をしない形態を選ぶ必要があります。営業時間の全体像は飲食店の営業時間は風営法でどう決まる?業態別の深夜営業ルールをご覧ください。


年少者に関する規制

風俗営業1号営業
18歳未満の者を客に接する業務に従事させることはできません
18歳未満の者を客として営業所に立ち入らせることはできません


特定遊興飲食店営業(愛知県)
午後6時から午後10時前の時間において、18歳未満の者(保護者が同伴する者を除く)を客として立ち入らせないこと(条例第25条第9号)


両方を同時に営むことはできません

同じ営業所で、風俗営業と特定遊興飲食店営業を同時に営むことはできません。


接待をするなら1号営業、深夜に遊興させるなら特定遊興飲食店営業です。「深夜まで営業しつつ、キャストが席について接客する」という形は成り立ちません。


なお、特定遊興飲食店営業の営業所で接待を行えば、風俗営業の無許可営業になります。


実務上のポイント

特定遊興を考えるなら、物件を探す前に地域を確認してください。名古屋市内の指定区域以外では許可を受けられません
客室33㎡以上という面積要件は、1号営業より厳しい基準です。物件の広さから逆算してください
「接待」と「遊興」を混ぜないでください。どちらか一方に振り切った営業設計にする必要があります
スタッフの動き方をルール化してください。盛り上げるつもりの行為が接待と評価されると、無許可営業になります
騒音の基準は特定遊興のほうが厳しい地域があります。音響設備を使う業態なので、防音は入念に


まとめ

風俗営業1号営業は「接待」、特定遊興飲食店営業は「深夜の遊興+酒類」で必要になる
接待は特定少数の客に、遊興は不特定の客に向けられた行為
特定遊興は深夜・遊興・酒類の3つが揃って初めて該当する
愛知県では、特定遊興の営業所を設置できるのは第五種地域及び条例別表第五の地域のみ
1号営業は午前0時まで、特定遊興は午前5時まで営業できる
客室は1号営業16.5㎡、特定遊興33㎡以上
同じ営業所で両方を営むことはできない


どちらの許可を取るかは、「接待をしたいか」「深夜に営業したいか」の二択で決まります。両立できない以上、事業計画の段階で選ぶ必要があります。


物件と営業内容が固まっていない段階でも、選択肢を整理してお伝えできます。お気軽にご相談ください。


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