この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。


店を閉めるとき、最後にやるべき手続があります。許可証の返納です。


風俗営業を廃止したときは、10日以内に許可証を返納しなければなりません。これを怠ると罰則の対象になり得ます。「店を閉めたのだから、もう関係ない」という理解は誤りです。


この記事では、廃業時に必要な手続と、その順番を整理します。



「廃業届」という書類はありません

一般に「廃業届」と呼ばれていますが、実際に提出するのは「返納理由書」です。


提出するもの/返納理由書許可証管理者証
提出先/営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課
期限/廃業となった日から10日以内
手数料/不要


様式は愛知県警察「各種申請届出様式」から入手できます。


返納を怠るとどうなるか

許可証の返納義務に違反した場合、罰則の対象になり得ます。


・それ以上に問題なのは、2025年改正との関係です
令和7年11月28日施行の改正により、警察による立入調査後に許可証を返納した者(処分逃れ)が欠格事由に追加されました。


つまり、返納という行為そのものが、状況によっては欠格事由の判断材料になります。適正に営業を終えるのであれば、正規の手続で速やかに返納してください。中途半端に放置している状態が、後から不利に働くことがあります。


廃業時にやるべきこと一覧

風営法の手続だけでは終わりません。


手続 窓口 期限の目安
許可証・管理者証の返納 管轄警察署(生活安全課) 10日以内
飲食店営業の廃業届 保健所 速やかに
防火管理者の解任届等 消防署 該当する場合
個人事業の廃業届等 税務署・県税事務所等 各制度による
社会保険・雇用保険の手続 年金事務所・ハローワーク 従業員がいる場合
賃貸借契約の解約、原状回復 貸主 契約による


警察の手続は10日以内という短い期限が設定されています。原状回復工事や在庫処分に追われる時期ですが、忘れないでください。


休業の場合はどうなるか

風俗営業許可には有効期間の定めがなく、更新の手続もありません。そのため、一時的に休業しても、許可がただちに失われるわけではありません。


ただし、営業を再開する見込みがないまま長期間放置するのは避けてください。実態のない許可を残しておくことに合理性はありません。


なお、休業中も営業所の要件は維持しておく必要があります。賃貸借契約を解約して営業所がなくなれば、許可を維持する前提が失われます。休業を検討する場合は、期間と再開の見込みを整理したうえで、所轄の警察署に相談してください。


店を売却・譲渡する場合

事業譲渡では、風俗営業許可は引き継げません。
売り手は廃業して許可証を返納し、買い手は新規に許可を取り直すことになります。


・タイミングの調整が必要です
売り手が先に廃業してしまうと、買い手の許可が下りるまで店を開けられません。標準処理期間は55日です。


一方、買い手の許可が下りる前に実質的な経営者が変わっていれば、名義貸しの問題が生じます。引渡し日と許可取得日の関係を、契約前に整理してください。


承継できる3つのケース(相続・合併・分割)については風俗営業許可の承継|相続・合併・分割の手続と期限をご覧ください。


法人を解散する場合

法人が解散すれば、風俗営業も廃止することになります
許可証の返納は、解散の登記より先か後か、清算人が行うのかを含め、手続の順番を確認してください
合併により消滅する場合は、あらかじめ承認を受ければ承継できます


合併による消滅と、単なる解散は扱いが違います。組織再編を伴う場合は、廃業の手続に入る前に確認してください。


相続で承認されなかった場合

営業者が死亡し、相続人が承継の承認を受けられなかった場合は、遅滞なく、被相続人が交付を受けた許可証を公安委員会に返納しなければなりません(法第7条第6項)。


また、死亡後60日以内に承認申請をしなかった場合も、許可は失効します。この場合も許可証の返納が必要です。


実務上のポイント

閉店を決めたら、10日以内という期限をカレンダーに入れてください。片付けに追われて忘れがちです
提出するのは返納理由書です。「廃業届」を探しても様式は見つかりません
許可証と管理者証をセットで用意してください。紛失している場合は、事前に警察署へ相談してください
保健所の廃業届も忘れないでください。飲食店営業許可は別の制度です
店舗の売却では、引渡し日と許可取得日を調整してください。空白期間か、名義貸しか、どちらかの問題が生じます
再開の見込みがないまま放置しないでください。2025年改正で、返納の経緯が欠格事由に関わるようになりました


まとめ

廃止したときは、廃業となった日から10日以内に許可証を返納する
提出するのは「廃業届」ではなく「返納理由書」。手数料は不要
許可証と管理者証をあわせて提出する
返納を怠ると罰則の対象になり得る
保健所、消防署、税務署等の手続も別途必要
事業譲渡では許可は引き継げない。売り手は廃業、買い手は新規許可
相続で承認を受けられなかった場合も、許可証を返納する


廃業の手続は、やるべきことが分散していて漏れやすいのが難点です。閉店の日程が決まった段階でご相談いただければ、必要な手続を一覧にしてお渡しできます。


店舗の売却・譲渡を検討されている方も、契約の前にご相談ください。許可のスケジュールが、取引条件に影響します。


【行政書士久遠事務所】
風営法許可の要否判定から申請・取得・更新・変更届まで、
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