アミューズメントカジノ・ポーカー店の風営法上の扱い|5号営業と賭博罪の境界

この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。


アミューズメントカジノ、ポーカースポット、カジノバー。近年、開業の相談が増えている業態です。


しかし、愛知県警察はこの業態について、専用のページを設けて注意喚起を行っています。それだけ、法令上の問題が生じやすい領域だということです。


この記事では、風営法上の位置づけと、賭博罪との境界を整理します。



愛知県警察の注意喚起

愛知県警察は「アミューズメントカジノ等を営む皆様へ」というページで、次の3点を示しています。


名目を問わず、偶然の勝敗に関して現金のほか財物を賭ける行為は、賭博罪に該当する可能性がある
遊技の結果に応じた賞品の提供は、法律により禁止されている
法令に違反した場合は、取締りの対象となる可能性がある


(参照: 愛知県警察「アミューズメントカジノ等を営む皆様へ」


警察が業態を名指しして注意喚起を出しているという事実自体が、重要な情報です。「グレーだが黙認されている」という認識は、現在の愛知県には当てはまりません。


ルーレット台・トランプ台は明示された遊技設備です

風営法施行規則第3条は、5号営業の対象となる遊技設備を列挙しています。その中に、次の類型があります。


ルーレット台、トランプ及びトランプ台その他ルーレット遊技又はトランプ遊技に類する遊技の用に供する遊技設備


さらに警察庁の解釈運用基準は、この類型に賭博に用いられる可能性がある花札、サイコロ等を使用して遊技をさせ、優劣を争わせるための遊技設備も含まれるとしています。


つまり、ポーカー、ブラックジャック、ルーレット、バカラを提供する営業は、5号営業の許可が前提になります。解釈の余地がある領域ではありません。
(参照: 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」第4中2)


10パーセントルールは使えるか

飲食店にゲーム機を置く場合、遊技部分の床面積が客の用に供される部分の10パーセントを超えなければ、風俗営業の許可を要しない扱いがあります。


計算のルール
遊技の用に供される部分=遊技設備の直接占める面積のおおむね3倍
1台の3倍が1.5㎡に満たないときは、1台1.5㎡として計算
「客の用に供される部分」に、カウンター・レジの内側等専ら従業者の用に供されている部分、洗面所等は含まない


・カジノ形式の営業では、実質的に使えません
ポーカーテーブルやルーレット台は面積が大きく、しかもそれが営業の中心です。10パーセント以内に収まる規模では、業態として成立しません。


さらに解釈運用基準は、遊技設備を用いた競技大会であって客に参加させるものを恒常的に開催する場合について、営業全体が風俗営業に該当し、10パーセントルールの適用を行わないとしています。トーナメントを定期開催する形態は、この扱いに該当し得ます。


計算方法の詳細は5号営業とは|ゲームセンター開業と「遊技設備」の判定基準をご覧ください。


賞品の提供は禁止されています

5号営業の許可を取った場合でも、賞品には厳格な制限がかかります。


現金又は有価証券を賞品として提供してはなりません
提供した賞品を買い取ってはなりません
遊技の結果獲得した得点、数量等を電磁的方法により記録した媒体を発行・交付することは違反になります


「チップを換金しない」だけでは足りません。賞品として物品を提供すること自体が、5号営業では原則として認められていません。


なお解釈運用基準は、クレーン式遊技機等について小売価格おおむね1,000円以下の物品を提供する場合の例外的な扱いを示していますが、これはクレーンゲームに関するものです。カジノ形式の遊技に当てはまるものではありません。


賭博罪との境界

風営法とは別に、刑法上の問題があります。


愛知県警察は、名目を問わず、偶然の勝敗に関して現金のほか財物を賭ける行為は賭博罪に該当する可能性があるとしています。


・「一時の娯楽に供する物」の範囲は狭いと考えるべきです
賭ける対象が現金でなくても、財物に当たるものを賭ければ問題になり得ます。チップに金銭的価値を持たせる仕組み、勝ち点に応じて何かを提供する仕組みは、いずれも慎重な検討が必要です。


店側が場所を提供しているだけでも、賭博場開張等図利罪の問題が生じ得ます。「客同士が勝手にやっている」という説明が通るとは限りません。


賭博罪に該当する行為で処罰されれば、風営法の欠格事由にも該当します。賭博場開張等図利罪は、罰金刑でも5年間の欠格となる罪に含まれています。


5号営業として営む場合の要件

許可を取って適法に営む場合、次の要件がかかります。


営業できる場所/第一種地域では許可されません。保全対象施設との距離規制もあります(5号営業は商業地域以外で学校等70m・保育所等30m、商業地域で学校等50m・保育所等30m)
営業時間/愛知県では原則として午前0時から午前9時まで営業できません
構造設備/営業所内の照度10ルクス以上、客室に見通しを妨げる設備を設けない、客室出入口に施錠設備を設けない、騒音・振動の基準
年少者/18歳未満の者を客として立ち入らせることはできません(条例により、保護者を同伴しない16歳未満の者は午後6時から午後10時前も立入不可)
賭博類似行為の禁止/愛知県条例第9条第2項は、営業に関し、賭博類似行為その他著しく射幸心をそそるおそれのある行為をし、又は営業所で客にこれらの行為をさせないことを遵守事項としています
管理者の選任/営業所ごとに1人
手数料/24,000円、標準処理期間55日


愛知県の条例が「賭博類似行為」を明示的に禁止している点は重要です。許可を取っていても、営業の内容が賭博類似行為と評価されれば、条例違反になります。


深夜営業との関係

5号営業の許可を取ると、愛知県では午前0時から午前9時まで営業できません
営業終了後に飲食店営業として継続するには、遊技設備設置部分を区画して閉鎖するか、遊技設備を撤去する(元の電源を切り、かつ覆いを掛けるなど撤去に準じる措置でも可)ことが必要です


深夜がメインの時間帯になりやすい業態にとって、この制限は重い制約です。事業計画を立てる段階で織り込んでください。


実務上のポイント

ルーレット台・トランプ台は、規則が明示する遊技設備です。該当性を争う余地はほとんどありません
10パーセントルールは、カジノ形式では実質的に使えません。営業の中心が遊技設備だからです
トーナメントを恒常的に開催すると、10パーセントルールの適用がありません。解釈運用基準に明記されています
チップや勝ち点に金銭的価値を持たせないでください。賭博罪の問題に直結します
愛知県条例は賭博類似行為を明示的に禁止しています。許可を取っていても対象です
開業を検討する段階で、所轄の警察署に営業内容を示して確認してください。愛知県警察が注意喚起を出している業態です


まとめ

ルーレット台・トランプ台は風営法施行規則が明示する遊技設備。5号営業の許可が前提
花札・サイコロ等で優劣を争わせる設備も含まれる
10パーセントルールは、カジノ形式では実質的に使えない
トーナメントの恒常的開催は、10パーセントルールの適用外
現金・有価証券の賞品提供、賞品の買取り、電磁的記録媒体の発行は禁止
財物を賭ける行為は賭博罪に該当する可能性がある
愛知県条例は賭博類似行為を遵守事項として禁止している
愛知県では午前0時から午前9時まで営業できない


アミューズメントカジノは、風営法と刑法の両方を見る必要がある業態です。「他店がやっているから」という判断は、最も危険な進め方です。


営業の具体的な内容が決まっている段階でご相談いただければ、どこに法令上の問題があり、どう設計すれば適法に営めるのかを整理してお伝えできます。開業を決める前の段階でのご相談を強くおすすめします。


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