この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
ダーツバー、ビリヤードバー、ボードゲームバー、アミューズメントカジノ。これらはいずれも風営法上の区分名ではありません。
必要な手続は、置いてある設備が「遊技設備」に当たるか、それをどう使わせるか、どれくらいの面積を占めるかで決まります。とくに重要なのが、大会やイベントを開催するかどうかです。ここで結論が変わります。
この記事では、警察庁の解釈運用基準にもとづき、判断の手順を整理します。
判断は3つの論点を順に検討します。
①その設備は「遊技設備」に当たるか
②当たる場合、10パーセントルールに収まるか
③客に自由に使わせるだけか、それとも大会等で遊興をさせるか
5号営業の対象となる遊技設備は、施行規則第3条が定めています。
| 設備 | 扱い |
|---|---|
| ルーレット台、トランプ台、花札・サイコロ等で優劣を争わせる設備 | 対象 |
| スロットマシン、メダルで結果が表示される設備 | 対象 |
| テレビゲーム機(勝敗を争う/結果が数字等で表示される) | 対象 |
| ピンボール(フリッパーゲーム機) | 対象 |
| ダーツマシン、ビリヤード台 | 下記の扱いによる |
| 占い機 | 対象外 |
| 投球速度・パンチ力の計測機 | 対象外 |
| ドライブゲーム、飛行機操縦ゲーム等の疑似体験ゲーム機 | 当面、規制対象としない扱い |
| 機械式等のモグラ叩き機 | 当面、規制対象としない扱い |
解釈運用基準は、次の扱いを示しています。
運動競技又は運動競技の練習の用に供されている実態が認められる遊技設備については、営業者により、当該遊技設備が本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供されないために必要な措置が適切に講じられていると認められる場合には、当面、賭博、少年のたまり場等の問題が生じないかどうかを見守ることとし、規制の対象としない扱いとする
ダーツやビリヤードは、この扱いの対象になり得ます。ただし要件は2つあります。運動競技又はその練習の用に供されている実態が認められること、そして賭博等に用いられないための必要な措置が営業者によって適切に講じられていることです。
「ダーツだから大丈夫」ではなく、賭けの対象にさせない運用が実際に行われているかが問われます。具体的な運営方法を示して、所轄の警察署に確認してください。
(参照: 警察庁「解釈運用基準」第4中2)
ルーレット台、トランプ及びトランプ台は、施行規則が遊技設備として明示的に列挙しています。ポーカー、ブラックジャック、ルーレットを提供する営業は、5号営業の許可が前提になります。
基準は、ルーレット遊技・トランプ遊技の用に供する遊技設備のほか、賭博に用いられる可能性がある花札、サイコロ等を使用して遊技をさせ、優劣を争わせるための遊技設備も含まれるとしています。
愛知県警察も、アミューズメントカジノ等を営む事業者向けの案内を公表しています。開業を検討している場合は、必ず事前に確認してください。
遊技設備に当たる場合でも、店舗内で占める割合が小さければ許可不要の扱いがあります。
遊技設備設置部分を含む店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して、客の遊技の用に供される部分の床面積が占める割合が10パーセントを超えない場合は、風俗営業の許可を要しない扱いとする
計算のルール
・遊技の用に供される部分=遊技設備の直接占める面積のおおむね3倍
・1台の3倍が1.5㎡に満たないときは、1台1.5㎡として計算
・「客の用に供される部分」に、カウンターやレジの内側等専ら従業者の用に供されている部分、洗面所等の完全に区画されている部分は含まない
ダーツマシンは筐体が大きいため、3倍で計算すると面積を取ります。小規模なバーでは、2台でも10パーセントを超えることがあります。設置台数を決める前に、必ず計算してください。
計算方法の詳細は5号営業とは|ゲームセンター開業と「遊技設備」の判定基準で解説しています。
ここが、ダーツバー・アミューズメントバーで最も重要な論点です。解釈運用基準は、深夜営業との関係で2つのケースを明確に分けています。
遊技設備を設置しているが、それを用いた競技大会は開催していないナイトクラブのように、遊技設備を設置して客自身に使用させるとともに、当該遊技設備を用いずに客に遊興をさせ、かつ客に飲酒をさせる業態を深夜に営もうとする場合
→ 遊技設備を客自身に使用させることにつき5号営業の許可、遊技設備を用いずに深夜に遊興と飲酒をさせることにつき特定遊興飲食店営業の許可が必要
→ ただし、遊技設備が少なく、客の遊技の用に供される客室の部分の床面積が小さいときは、10パーセントルールの適用がある。これにより5号営業の許可が不要とされた場合には、風俗営業が認められない時間になった後も、当該遊技設備を客自身に使用させることが可能
遊技設備を用いた競技大会であって客に参加させるものを恒常的に開催するバーのように、遊技設備を用いて客に遊興をさせ、かつ客に飲酒をさせる業態を深夜に営もうとする場合
→ 遊技設備を用いて客に遊興をさせることにつき5号営業の許可が必要。当該営業は全体として風俗営業に該当
→ この場合、遊技設備が少なく床面積が小さかったとしても、10パーセントルールの適用は行わない
・違いは決定的です
ダーツ大会を恒常的に開催すると、台数が少なくても10パーセントルールが使えなくなり、5号営業の許可が必須になります。そして5号営業の許可を取ると、愛知県では原則として午前0時から午前9時まで営業できません。
基準は、この扱いの理由を「深夜に客に飲酒をさせ、かつ営業者が客に働き掛けて当該遊技設備による遊興をさせることにより、享楽的雰囲気が過度のものとなって賭博を始めとする風俗上の問題を誘発するおそれがあるため」と説明しています。
| 営業のやり方 | 10%ルール | 必要な手続 |
|---|---|---|
| 設備を客に自由に使わせるだけ/10%以内 | 適用あり | 5号営業の許可不要。深夜営業なら別途届出等 |
| 設備を客に自由に使わせるだけ/10%超 | 適用あり(超過) | 5号営業の許可が必要 |
| 大会等を恒常的に開催する | 適用なし | 5号営業の許可が必要 |
なお、解釈運用基準は、ボウリングやビリヤードの設備を設けてこれを不特定の客に自由に使用させる行為は「客に遊興をさせる」ことには当たらないとしています。自由に使わせるだけであれば、遊興の問題は生じません。
・5号営業の許可を取ると/愛知県では原則として午前0時から午前9時まで営業できません
・営業終了後に飲食店営業として継続するには/遊技設備設置部分を区画して閉鎖するか、遊技設備を撤去する(電源を切り、覆いを掛けるなど撤去に準じる措置でも可)ことが必要です
・10パーセントルールで許可不要となった場合は/風俗営業の時間規制を受けないため、深夜も遊技設備を客自身に使用させることができます
深夜営業を重視するなら、遊技設備の台数を10パーセント以内に抑え、大会等は開催しないという設計が有力な選択肢になります。ただし深夜に酒類を提供するなら、別途、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。
・設置台数を決める前に、10パーセントを計算してください。1台あたり最低1.5㎡、通常は設備面積の3倍で計算します
・大会・イベントの開催予定を、開業計画の段階で決めてください。恒常的に開催するなら10パーセントルールは使えません
・ダーツ・ビリヤードの扱いは、運営体制とセットで判断されます。賭けの対象にさせない措置を具体的に講じ、その内容を説明できるようにしてください
・トランプ台・ルーレット台を置くなら、許可が前提です。10パーセントルールの検討以前に、営業の中心が遊技設備であれば適用の余地はありません
・設置前に所轄の警察署に確認してください。図面と機種が決まっていれば、具体的な相談ができます
・ダーツバー・アミューズメントバーは風営法上の区分ではない
・判断は「遊技設備か」「10パーセント以内か」「大会を開くか」の3段階
・ダーツ・ビリヤードは、運動競技又はその練習の実態があり、賭博等に用いられない措置が適切に講じられていれば、当面規制対象としない扱い
・ルーレット台・トランプ台は施行規則が明示する遊技設備。許可が前提
・設備を客に自由に使わせるだけなら、10パーセントルールの適用がある
・大会を恒常的に開催すると、営業全体が風俗営業となり、10パーセントルールは適用されない
・5号営業の許可を取ると、愛知県では原則午前0時から午前9時まで営業できない
ダーツバーは、台数とイベントの2つを決めるだけで、必要な手続が確定する業態です。逆に言えば、この2つを曖昧にしたまま開業すると、後から営業内容を制限されることになります。
店舗の図面と、置きたい設備・やりたいイベントが決まっていれば、必要な手続を整理してお伝えできます。
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