この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
風営法の無許可営業に対する罰則は、2025年(令和7年)6月28日施行の改正で大幅に引き上げられました。
罰金の上限は200万円から1,000万円へ、法人に対する罰金は200万円から3億円へ。法人については150倍です。
ところがインターネット上には、改正前の数字のまま書かれた記事が今も数多く残っています。古い情報でリスクを見積もると、判断を誤ります。この記事では、現在の罰則を整理します。
| 対象 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 風俗営業の無許可営業等(拘禁刑) | 2年以下 | 5年以下 |
| 風俗営業の無許可営業等(罰金) | 200万円以下 | 1,000万円以下 |
| 両罰規定による法人への罰金 | 200万円以下 | 3億円以下 |
(参照: 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(概要)」)
・両罰規定とは
従業員や役員が違反行為をした場合に、行為者本人だけでなく、その法人にも罰金を科す仕組みです。法人の上限が3億円になったことで、無許可営業は事業継続そのものを脅かすリスクになりました。
「無許可営業」と聞くと、まったく手続をせずに開業したケースを想像しがちですが、実際に多いのは、届出だけで営業していて実態が許可の必要な営業だった、というパターンです。
・深夜酒類提供飲食店営業の届出だけで、接待をしていた
・飲食店営業許可だけで、客席の照度を10ルクス以下にしていた
・飲食店営業許可だけで、見通し困難な5㎡以下の客席を設けていた
・飲食店にゲーム機を置き、10パーセントルールを超えていた
・営業所を移転したのに、許可を取り直していなかった
・個人の許可のまま、実質的に法人が営業していた(名義貸し)
いずれも「まったく無届」ではなく、「手続はしているが実態と合っていない」というケースです。本人に違法性の意識がないまま、無許可営業の状態になっていることがあります。
見落とされやすい点です。
無許可で接待飲食等営業を営んで摘発された場合、接待をやめて飲食店営業として営もうとしても、飲食店営業の停止を命じられることがあります(法第34条)。
「接待をやめれば済む」という話ではありません。店そのものを続けられなくなる可能性があります。売上が止まる一方で、賃料と人件費は発生し続けます。
罰則を受けることの影響は、その場で終わりません。
・無許可営業で罰金刑を受けると、5年間は風俗営業の許可を受けられません
・法人の場合、役員個人が該当すれば、その法人も許可を受けられません
・2025年11月28日施行の改正により、親会社等が許可を取り消された法人も欠格となります
「罰金を払えば終わり」ではなく、5年間その業界で許可を取れなくなるということです。別会社を作って取り直す、という抜け道も2025年改正でふさがれました。
欠格事由の詳細は風営法の欠格事由をわかりやすく解説|具体例つき・2025年改正対応をご覧ください。
無許可営業以外にも、風営法・条例には各種の罰則があります。
・営業時間の制限違反/行政処分(営業停止等)の対象
・年少者を客に接する業務に従事させた/罰則の対象
・廃業時に許可証を返納しなかった/罰則の対象
・ゲームセンターで、保護者を同伴しない16歳未満の者を午後6時から午後10時前に立ち入らせた(愛知県条例第10条)/50万円以下の罰金(条例第29条)。法人にも両罰規定の適用があります
・2025年改正で新設された罰則
接待飲食営業(1号営業)については、客に注文や料金の支払等をさせる目的での威迫と、威迫や誘惑による売春・性風俗店勤務・AV出演等の要求が禁止行為として規定され、罰則が設けられました。
また、性風俗店を営む者によるスカウトバックも禁止され、罰則があります。
警察の立入りは、法の施行に必要な限度で行われるものです。ただし2025年改正に伴い、接待飲食営業については、表示・説明した料金と実際の請求額が異なることや、客が注文していないと主張する飲食等の伝票処理状況等を確認するため、会計帳簿や経理書類等の提出を求めることが認められることが明確化されました。
伝票の処理方法が、そのまま行政の確認対象になります。注文と提供と会計が対応する形で記録が残る運用にしておいてください。
許可を取る場合
・手数料24,000円
・標準処理期間55日
・書類・図面の準備
無許可営業が発覚した場合
・5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金
・法人は最大3億円の罰金
・飲食店営業の停止命令を受ける可能性
・5年間、風俗営業の許可を受けられない
・従業員の雇用、賃貸借契約、取引関係への影響
改正前であれば「罰金200万円のリスクと引き換えに営業を続ける」という判断もあり得たかもしれません。しかし現在は、リスクの桁が変わりました。
とくに法人で複数店舗を展開している場合、1店舗の無許可営業が、グループ全体の許可に影響します。
□自店の営業実態が、届け出た内容と一致しているか
□スタッフの接客が、接待に当たる可能性はないか
□客席の照度を実測したことがあるか(10ルクス以下になっていないか)
□個室・ボックス席が、見通し困難で5㎡以下になっていないか
□ゲーム機を置いている場合、10パーセントの範囲に収まっているか
□営業所の場所や名称に変更があったのに、手続をしていないことはないか
□料金の説明と請求が一致しているか
□客が注文していない飲食物を提供する運用になっていないか
1つでも心当たりがあれば、早い段階でご相談ください。営業形態を整えて許可を取り直すほうが、はるかにコストが小さくて済みます。
・古い記事の数字を信じないでください。「200万円以下」と書かれた記事は改正前のものです
・「まったく無届」より「実態とのずれ」のほうが多いパターンです。手続をしているから安心とは限りません
・接待をやめれば済むとは限りません。飲食店営業の停止を命じられる可能性があります
・罰金を受けると5年間許可を取れません。その間、同じ業態で再起できません
・法人は関係会社まで影響します。複数店舗を運営しているほどリスクが大きくなります
・迷う営業形態なら、始める前に確認してください。後から整えるほうが高くつきます
・無許可営業は5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(2025年6月28日施行)
・法人には両罰規定により3億円以下の罰金
・実際に多いのは「手続はしているが実態と合っていない」ケース
・摘発後、接待をやめても飲食店営業の停止を命じられることがある
・罰金刑を受けると5年間は許可を受けられない
・2025年改正で親会社等も欠格事由の対象になった
・愛知県では条例違反にも罰則がある(ゲームセンターの年少者立入りは50万円以下)
罰則の話は気持ちのよいものではありませんが、数字を正しく知ることが、適切な判断につながります。不安を煽るためではなく、事実として現在の水準をお伝えしました。
「この営業形態で大丈夫か」という確認だけでも構いません。問題が起きてからでは、選択肢が大きく減ります。お早めにご相談ください。
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