この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。
結論から言うと、外国人でも風俗営業許可を受けることは可能です。風営法第4条が定める欠格事由に、国籍による制限はありません。
ただし、風営法でクリアできても、入管法の在留資格で止まることがあります。この2つはまったく別の制度であり、それぞれ独立して確認が必要です。
この記事では、外国人が風俗営業に関わる場合に確認すべき点を、経営者になる場合と働く場合に分けて整理します。
| 風営法 | 入管法 | |
|---|---|---|
| 何を判断するか | 許可を受けられるか | その活動をしてよいか |
| 国籍による制限 | なし | 在留資格による |
| 窓口 | 営業所所在地の管轄警察署 | 出入国在留管理局 |
「風俗営業許可が下りた」ことと「その人がその店で働ける」ことは、別の話です。許可を取っても、在留資格の範囲を超えた活動をすれば入管法違反になります。
風営法第4条の欠格事由は、次のようなものです。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
・一定の刑罰を受けて5年を経過しない者
・アルコール・薬物の中毒者
・暴力的不法行為を行うおそれがある者
・過去に許可を取り消されて5年を経過しない者
・営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
・役員のうちに上記に該当する者がいる法人
国籍に関する項目はありません。外国人であることを理由に許可が拒まれることはありません。
愛知県警察は、添付書類として「本籍又は国籍記載の住民票の写し」を求めています。
外国人住民の住民票には、国籍・地域、在留資格、在留期間、在留カード番号等が記載されます。取得の際に、これらの事項を省略しないよう窓口で指定してください。省略された住民票では、書類として不足する可能性があります。
添付書類の「市区町村長の発行する身分証明書」は、本籍地の市区町村が発行するものです。
日本に本籍がない外国人は、この身分証明書を取得できません。この場合の取扱いは、本国の官憲が発行する書類やそれに準ずる書類で代替するなどの方法が考えられますが、具体的にどの書類で足りるかは個別の判断になります。
申請前に、営業所を管轄する警察署の生活安全課に確認してください。翻訳文の要否も含めて、事前に整理しておくと手戻りがありません。
外国人が日本で風俗営業を経営しようとする場合、在留資格の種類によって扱いが分かれます。
・永住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・定住者
これらはいわゆる身分・地位にもとづく在留資格で、就労活動に制限がありません。風俗営業の経営者としても、従業員としても、入管法上の問題は生じにくい類型です。
事業の経営や管理に従事する在留資格ですが、風俗営業の経営がこの在留資格で認められるかについては、慎重な確認が必要です。
この点は、風営法ではなく入管法の運用の問題です。個別の事案によって判断が分かれる領域であり、当事務所が一般論として「認められる」「認められない」と断定することは適切ではありません。
在留資格の変更・更新を伴う場合は、出入国在留管理局または入管業務を扱う専門家に、事業計画を示して事前に確認してください。許可を取ってから在留資格で止まると、投じた費用が回収できません。
ここは、店側にとっても重要な論点です。不法就労助長罪のリスクがあるためです。
留学生や家族滞在の在留資格の方が受ける資格外活動許可には、風俗営業等が営まれている営業所において行う活動を除くという条件が付されています。
つまり、留学生を風俗営業の店舗でアルバイトとして雇うことはできません。キャバクラ、スナック(接待あり)、雀荘、ゲームセンターのいずれも対象です。
さらに、接客を伴わない皿洗いや清掃であっても、風俗営業が営まれている営業所内での活動であれば認められません。「ホールに出さなければ大丈夫」という理解は誤りです。
「技術・人文知識・国際業務」など就労系の在留資格についても、風俗営業に従事する活動は認められないとされています。採用時には、在留カードの表面(在留資格・在留期間)と裏面(資格外活動許可の有無と内容)を必ず確認してください。
在留資格の範囲を超えて外国人を働かせた場合、雇用した側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。「知らなかった」では免れないことがある点に注意してください。
風営法上も、従業者名簿には従業者の国籍等を記載して備え付ける必要があります。採用時の確認と記録が、そのまま両方の法律への対応になります。詳しくは風営法の「従業者名簿」とは?開業前に用意すべき書類をご覧ください。
風俗営業者は、営業所ごとに管理者を1人選任しなければなりません(法第24条第1項)。
・風営法上、管理者に国籍要件はありません
・ただし管理者にも欠格事由が適用され、未成年者は管理者になれません
・管理者は営業所に常勤して業務に従事し得る状態にあることが必要です
問題になるのは、やはり在留資格です。管理者としての勤務が、その在留資格で認められる活動の範囲に含まれるかを確認する必要があります。
身分・地位にもとづく在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)であれば、この点の制約は生じにくくなります。それ以外の在留資格の方を管理者に予定している場合は、事前に入管へ確認してください。
①在留資格を確認する/経営者・管理者に予定している方の在留カードを確認します
②その在留資格で予定の活動ができるか、入管に確認する/ここで止まるなら、物件を探す前に判明させるべきです
③風営法の欠格事由を確認する/国籍は関係ありませんが、他の事由は同じようにかかります
④身分証明書の代替書類を所轄に確認する/申請書類の準備段階で
⑤物件・構造設備の確認へ進む
①と②を後回しにすると、物件と内装に費用をかけてから止まることになります。順番を守ってください。
・風営法と入管法は別々に確認してください。どちらか一方をクリアしても営業できません
・住民票は、国籍・在留資格等を省略せずに取得してください。窓口で指定が必要です
・身分証明書が取れない場合の扱いは、事前に所轄へ確認してください。申請直前に発覚すると準備期間が延びます
・留学生・家族滞在の方は風俗営業の店舗で働けません。接客を伴わない業務でも同じです
・採用時は在留カードの裏面まで確認してください。資格外活動許可の有無と内容が記載されています
・在留資格の判断は、事業計画を示して入管に確認してください。一般論では判断できない領域です
・風営法の欠格事由に国籍要件はない。外国人でも許可を受けられる
・ただし在留資格による活動制限が別にかかる
・身分・地位にもとづく在留資格(永住者等)は就労活動に制限がない
・「経営・管理」で風俗営業を経営できるかは、事業計画を示して入管に確認が必要
・資格外活動許可では、風俗営業が営まれている営業所で働けない
・住民票は国籍・在留資格等を省略せずに取得する
・日本に本籍がない場合、身分証明書の代替書類を所轄に確認する
外国人の風俗営業は、風営法と入管法の両方を見る必要がある案件です。当事務所は入管業務も扱っておりますので、在留資格の確認から風俗営業許可の取得まで、まとめてご相談いただけます。
在留資格で止まる可能性があるなら、物件を探す前に判明させるべきです。まずは在留カードの内容と、予定している事業の形をお聞かせください。
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