2号営業(低照度飲食店)とは|10ルクス以下で許可が必要になる仕組み

この記事の執筆者:行政書士久遠事務所
愛知・名古屋エリアを中心に風営法許可申請を専門に取り扱う行政書士事務所です。風俗営業許可・特定遊興飲食店営業許可・深夜酒類提供飲食店営業届出など、開業に関わる各種申請を専門にサポートしています。


接待をしなくても、風俗営業の許可が必要になる場合があります。その代表が2号営業(低照度飲食店)です。


落ち着いた雰囲気のバーを作ろうと照明を絞ったら、それだけで風俗営業に該当していた。こうしたケースは珍しくありません。基準は「10ルクス以下」という数値で決まっており、店主の意図は関係ありません。


この記事では、2号営業に該当する条件、照度の測り方、そして許可を取る場合の要件を整理します。



2号営業とは

風営法第2条第1項第2号は、次のように定めています。


喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた客席の照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業を除く。)


愛知県警察は、この営業を「低照度飲食店」と呼んでいます。許可証にもそう記載されます。


条文に「接待」という言葉はありません。接待をしていなくても、照度が10ルクス以下であれば該当します。逆に、接待をしていれば照度にかかわらず1号営業です(括弧書きで1号営業が除かれています)。


10ルクスはどれくらいの明るさか

10ルクスは、ろうそくの火程度の明るさとよく説明されます。テーブルを挟んで正面に座った相手の顔が、なんとか見える程度です。


「間接照明だけのシックなバー」「キャンドルを置いたダイニング」は、意図せずこの水準に近づきます。感覚で判断せず、実測することが重要です。照度計は数千円から入手できます。


どこを測るのか|「客室」の範囲

測定の対象は「客室」です。解釈運用基準は、客室を客に飲食をさせ、又は客に遊興をさせるために客に利用させる場所と定義したうえで、含まれない部分を具体的に挙げています。


客室に含まれないもの
調理場
バーカウンターの内側の、客が位置しない部分
洗面所
和風の営業所における床の間、押入れ、廊下
ショーや歌舞音曲を実演するためのステージで、客が位置しないもの


カウンター内が明るくても、客の座る側が暗ければ2号営業に該当し得ます。「厨房の照明があるから明るい」という判断は成り立ちません。


測定のルール

解釈運用基準は、客室の種類ごとに測り方を分けています。


客室の種類 測定場所 該当する条件
客席を設けず、客室全体で客に遊興をさせる客室 客席及び客に遊興をさせるための部分の双方 いずれかの測定場所が10ルクス以下
客席のみにおいて客に遊興をさせる客室 客席のみ 個々の営業時間のいずれかにおいて、半分以上の時間にわたって10ルクス以下
上記以外の客室(飲食のみ) 客席のみ いずれかの測定場所が10ルクス以下


・「半分以上の時間」ルールに注意
時間の要素が入るのは、客席のみにおいて客に遊興をさせる客室に限られます。通常の飲食のみの客室では、時間は関係なく、一瞬でも測定場所が10ルクス以下なら該当し得ます。「演出で一時的に暗くするだけ」という説明は、通常の客室では通りません。
(参照: 警察庁「解釈運用基準」第3)


下限もあります|5ルクス

ここが見落とされやすい点です。


2号営業の許可を受けたとしても、照度を無制限に落としてよいわけではありません。構造設備の基準として、営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持するための構造・設備を有することが求められます。


10ルクス以下にすると、2号営業として許可が必要になる
5ルクス以下にすると、基準違反になる
したがって、2号営業として営むなら実質的に5ルクス超〜10ルクス以下の範囲で運用することになります


なお、客席のみにおいて客に遊興をさせる客室については、個々の営業時間につき半分未満の時間に限って5ルクス以下とすることが認められています。演出のための一時的な暗転を想定した規定です。


調光器は設置できません

解釈運用基準は、照度について明確な制限を置いています。


照度の基準に満たない照度に自由に変えられるスライダックス等の照明設備を設けることは認められない


つまみを回せば基準以下に落とせる調光器は、それだけで基準を満たさないと判断されます。「普段は明るくしている」という運用では足りません。内装業者に照明を発注する前に、この点を伝えてください。


なお基準は、照明設備のほかに営業時間中に常態として光を発することが想定される設備がある場合、双方の光によって常態として基準に達するのであれば足りるとしています。


2号営業の構造設備基準

客室の床面積は1室5㎡以上(客に遊興をさせる態様の営業は33㎡以上)
客室の内部が、営業所の外部から容易に見通せないこと
客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと(仕切り、ついたて、カーテン、高さおおむね1メートル以上の背の高い椅子等)
善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真・広告物・装飾等の設備を設けないこと
客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所外に通じる出入口を除く)
営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるための構造・設備を有すること
騒音・振動の数値が条例で定める数値に満たないこと


1号営業の16.5㎡と比べると、2号営業の面積要件は1室5㎡以上と大幅に緩やかです。小規模なバーでも要件を満たしやすい構造になっています。


営業時間と場所の制限

2号営業も風俗営業ですから、1号営業と同じ制限を受けます。


愛知県では原則として午前0時から午前9時まで営業できません
第一種地域では許可を受けられません
保全対象施設からの距離規制がかかります(1号営業と同じ距離)
18歳未満の者を客に接する業務に従事させること、客として立ち入らせることはできません
管理者の選任が必要です


深夜営業をしたいバーにとって、これは重い制約です。照明を10ルクス超に上げて深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業するほうが、事業として成立しやすい場合が多くあります。


営業時間の比較は飲食店の営業時間は風営法でどう決まる?業態別の深夜営業ルールをご覧ください。


深夜酒類提供飲食店営業との関係

深夜0時以降も酒類を提供したいバーには、実質的に選択肢が1つしかありません。


照度を10ルクス超に保ち、接待もせず、深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業する


深夜酒類提供飲食店営業についても構造設備の基準があり、客室が2室以上ある場合は各9.5㎡以上とされています。2号営業の5㎡より厳しい点に注意してください。


実務上のポイント

照明を発注する前に、照度の方針を決めてください。10ルクス超で深夜営業を取るのか、10ルクス以下で2号営業を取るのか。これで内装も事業計画も変わります
調光器を入れないでください。基準以下に落とせる設備があるだけで問題になります
実測してください。感覚では判断できません。照度計で客席の各所を測り、記録を残しておくことをおすすめします
測るのは客が座る側です。カウンター内の明るさは関係ありません
接待をすれば1号営業です。照度を上げても、接待をすれば別の許可が必要になります


まとめ

2号営業=客席の照度を10ルクス以下として営む飲食店。接待の有無は関係ない
測定の対象は「客室」。調理場やカウンター内側の客が位置しない部分は含まれない
飲食のみの客室では、時間の要素なく、いずれかの測定場所が10ルクス以下なら該当し得る
許可を取った場合も5ルクス以下にはできない
基準以下に落とせる調光器(スライダックス等)は設置できない
客室は1室5㎡以上(遊興させる態様は33㎡以上)
愛知県では原則午前0時から午前9時まで営業できない


雰囲気を優先して照明を絞るか、深夜営業を優先して明るさを保つか。この選択は、内装工事に入る前に決めておく必要があります。店舗のコンセプトを伺えば、どちらの手続が適しているかご提案できます。


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